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だれに遠慮しているの? 自己紹介で「無難な自分」を演じるのは、終わりにしよう

「◎◎の仕事をしている、○○です。▲▲に住んでいます。趣味は■■です。よろしくお願いします」

先日、ある企業のライティング研修で、参加者の方々に簡単なプロフィール文を書いてもらう機会があった。

みなさんが書いたプロフィール文は、不思議なくらいどれも似通っている。
シンプルで、当たり障りのない、無難な文章。
引っかかるところも気になるところもない代わりに、まったく印象に残らない。
だから、その人のことを覚えられない。

しかし、この人たちは本当に、当たり障りのない、印象の薄い人たちなのだろうか?

そんなはずはない。

休憩時間の雑談では、まったく別の顔が見えてきた。
週末は少年サッカーのコーチに情熱を燃やす人、年間50以上の山に登る人、学生時代から小説を書き続けている人——そこには、豊かな表情といきいきとした言葉があふれている。
全然、さっきの自己紹介と違うやないの~。

自己紹介やプロフィールの意義は、つながりたい相手と「握手」すること

心理学の研究では、人は他者の承認や肯定によって充足感や幸福を感じると報告されている。
それなのに、無難なプロフィールでは、承認されるどころか「あの人、誰だっけ?」と薄い印象しか与えられない。
もったいないこと、この上ない!

私は、自己紹介やプロフィールの意義を「握手」だと考えている。

つながりたい相手に手を差し出し、握手を交わしながら、自分の経験や価値観、活動への熱量、未来に向けたビジョンや伝える。
そう、一瞬で勝負するコミュニケーションなのだ。

無難な自己紹介は、ぶあつい手袋をしたまま握手をするようなもの。
相手に自分の熱量も思いも何も伝わらないどころか、
「この人は、本当の自分を見せる気がないんだな」と、瞬時に判断されてしまう。

ねえ、本当にそれでいいの?

プロフィール文で「無難な自分」を演じてしまう5つの理由

自己紹介やプロフィール文がどうも苦手……。
そう感じる背景には、私たちを縛る5つの「心のブレーキ」がある。

1.「何者でもない」という思い込み:
日々のタスクに追われ、自分と向き合う時間がない。
いざ自己紹介文を書こうとしても、「語れるようなものがない」と感じてしまう。

2.どの自分を出せばいいかわからない:
家庭での自分、職場での自分、友人といるときの自分……。
場面ごとに異なる顔をもつ私たち。どの自分を「公式の自分」として書けばいいのか、迷ってしまう。

3.頭の中の「検閲官」が邪魔をする:
「自慢だと思われるかも」「意識高い系だと思われたくない」。
他人の目を気にするあまり、言葉がどんどん当たり障りのないものになっていく。

4.「謙遜は美徳」という日本文化の呪縛:
「出る杭は打たれる」ということわざがあるように、私たちは自分を堂々と語ることに、どこか罪悪感を覚えてしまう。

5.SNSにあふれる「キラキラした人」との比較:
華やかな経歴や実績を目にするたびに、自分と比べてしまい、書く前から自信を失っている。

あなたの「普通」は、だれかの「特別」です!

冒頭の研修で「週末はただの登山です」と謙遜していた男性がいた。

彼が撮った山の写真を見せてもらうと、そこには、都会で暮らす人たちがなかなか見ることのできない、みずみずしい自然風景が広がっていた。

写真を見ながら登山について聞いてみると、山で出会った珍しい鳥のこと、ソロキャンプのエピソードなど、彼の話は同僚たちをあっという間に魅了した。

あなたが「つまらない日常」だと思っている経験は、だれかにとって「特別」な、非日常の世界なのだ。

「握手」ができるプロフィール、3つのコツ

では、どうすればプロフィールで自分らしい「握手」ができるのか。ここでは3つのコツを紹介する。

➀インパクトのある「つかみ」を意識する:
冒頭に、あなたを一言で表すキャッチフレーズを置いてみよう。

(例)「毎朝4時起きの超朝型人間、○○です」
(例)「週末農家で、野菜作りに夢中になっている○○です」

➁具体的な「数字」が説得力を底上げする:
数字は、あなたの経験や価値に圧倒的な説得力を与える。

「たくさんの人に教えてきました」
→「5,500人以上の文章と向き合ってきました」

「記者をしていました」
→「新聞記者として8年半、4,000本以上の記事を執筆しました」

➂「ただの事実」を「価値あるドラマ」に変換する
「何をしたか(Fact)」だけでなく、「なぜそれをするのか(Why)」や「誰に何を届けたいのか(Value)」を少し加えるだけで、物語が生まれる。

Before:
「趣味は、登山です」

After:
「週末はよく登山にでかけます。都会の喧騒から離れ、山の静けさの中で自分と向き合う時間は格別です」


自己紹介やプロフィールは、完璧じゃなくていい。キラキラしてなくていい。

未来を目指してもがいている、あなたの「現在地」を伝え、
「なんか、この人ともっと話してみたい」と共感してくれる相手と出会う。

そこから、新しい物語がきっと動き出すはずだ。


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