魔女のハーブは、あんまり甘くない 9ー8 魔女と星の裁判(8)
◯みなと裁判所(星が、顔をみせるころ)
法廷では、たくさんのちょうちょが、ひらひらと舞い、人びとが、おどろきの表情。
白いちょうちょが、ネピアの肩にのる。
ネピア、目をつむる。
ネピア「・・・・わかりました」
ネピア、顔をあげる。
ネピア「・・本日は、これにて、閉廷します。みなさま、おつかれさまでした」
ココが「ニャオ」となく。
フェンネルが、手をひろげて、カノンをハグする。
カノンが、嬉しそうに、ハグをかえす。
アカリ「ほんとに、よかった・・・・」
アカリが、2人を見ていると、クワトロが、法廷から姿をけす。
アカリ「クワトロさん・・・・」
ネピアが、クワトロのあとにつづいて歩き出すと、人びとが、ゆっくりと裁判所のそとへでていく。
セーラ「・・さ、アカリちゃん、これから、ハーブティーとパンで、お祝いしよ」
セーラが、アカリに、カゴを見せながらいう。
アカリ「・・うん、そうしよっか」
アカリ、小さくわらうと、ココを抱き上げて裁判所のそとにでる。
正門まえの広場では、人びとが、ちょうちょを手にのせて、わらっていた。
カノン「・・フェンネルちゃん、どうも、ありがとう」
カノン、フェンネルの手を、ぎゅっとにぎる。
フェンネル「ううん、お礼なら、アカリさんたちにね」
フェンネル、アカリのほうを見る。
ココが、「ニャオ」となく。
カノン、アカリに、ふりむく。
カノン「ほんとうに、ありがとうございました。かならず、お礼はさせていただきます」
カノン、アカリとセーラに、ふかくおじぎをすると、花飾りを2人にわたす。
アカリ「わあ、すてき」
アカリ、花飾りを手に、目をかがやかせる。
カノン「わたし、花屋をやってるんです。すごく、小さいけど」
セーラ「お、いいねえ。フェンネルちゃんが、みんな、ちょうちょに、変えちゃうかもしれないけど」
カノン「え・・・・?」
カノン、きょとんとした顔になると、アカリ、小さくわらう。
フェンネル「・・でも、これでまた、この街で、ずっと暮らせるんだよ」
フェンネル、左目を、かがやかせる。
カノン、つよく、うなずく。
カノン「・・ねえ、フェンネルちゃん。こうやって、この街にきたんなら、いっしょに花屋をやらない?」
カノン、花飾りをフェンネルに、むける。
フェンネル「え、ほんとうに・・・・?」
フェンネル、おどろいた顔で、わらう。
カノン「うん、ひとりだけだと、やっぱり大変だから、もう一人ほしいと思ってたの・・・・」
フェンネル「もちろん、OKよ」
フェンネル、大きな声で即答。
カノン、「わあ」とよろこぶ。
カノン「・・あと、アカリさん。ペンダント、お返ししますね。ありがとうございました」
アカリ、ペンダントをうけとると、小さくキスをする。
アカリ「よく、がんばってくれたね・・・・」
ペンダントが、きらりと光る。
セーラが、ほほえむ。
ネピア「・・おみごとでしたわ」
ふりむくと、ネピアが、ぱんぱんと、拍手をしながら、歩みよってきた。
アカリ、ネピアを見る。
ネピア「あんな結果になるなんて、夢にも思いませんでした・・・・」
ネピア、メガネをゆびで、あげる。
フェンネル「じゃあ、カノンちゃんは・・・・」
ネピア「・・はい、追放はしません。この街で、いままでどおり、暮らしていただきます」
フェンネルとカノン、「やった」といって、手をとりあう。
ネピア、小さくわらうと、アカリを見る。
ネピア「あと、その、ペンダントの力・・・・」
ネピア、アカリにいう。
ネピア「とても、不思議な力をもっているみたいですね。よろしければ、ちょっと・・、え?」
セーラが、ひょいと、ネピアのメガネをはずす。
ネピア「・・・・は?」
ネピア、セーラを見る。
セーラが、ネピアを見て、おどろきの表情。
セーラ「あ、なんだ、カワイイじゃない・・。メガネかけてると、わかんなかった」
ネピア「な、なんですか・・・・。 人の顔を、じろじろ・・・・」
ネピア、顔が、赤くなる。
セーラが、ぷーっと、ふきだす。
セーラ「ネピアちゃん、ふだんから、そのほうがいいよ、ぜったい」
セーラがいうと、ネピアが、ますます赤くなる。
ネピア「そ、そんなことは、私の勝手です・・」
セーラ「えー、もったいないよー」
ネピア「ちょ、ちょっと、セーラさん。メガネ、かえしてください・・・・」
セーラと、ネピアが、おいかけっこをはじめる。
フェンネルとカノンが、楽しそうに2人をみる。
クワトロ「アカリお嬢さま・・・・」
とつぜん、アカリのはいごで、ひくい声がした。
アカリ、ふりむくと、クワトロに目をあわせる。
アカリ「・・クワトロさん、おひさしぶりです」
クワトロ、しばらく、アカリを見ると、ふっと笑みをうかべる。
クワトロ「すこし見ないうちに、大きくなられて・・、アルカスさまも、およろこびになります」
クワトロの視線に、アカリも、小さくわらう。
アカリ「いま、お父さんも、この街に・・・?」
クワトロ、すこし目をふせる。
クワトロ「はい、きゅうに熱をだされて、いま、近くの病院で・・・・」
アカリ、すこし、おどろいた表情。
クワトロ「・・お嬢さま、アルカスさまに、会っていただけますか?」
クワトロ、アカリを、じっと見る。
セーラ、ネピアにメガネを返すと、2人を見る。
アカリ「・・・・ええ、いいわ」
アカリ、小さく返事をする。
クワトロ「・・・・よかった。その言葉を、期待していました」
クワトロ、ふっと、肩をおろし、ほほ笑む。
アカリとクワトロが歩き出すと、セーラがあとにつづく。
セーラ「・・あたしも、ついていっていい?」
セーラ、アカリの顔を、のぞきこむ。
アカリ「それって・・、きく必要あるかな?」
セーラが、ほほえむ。
ココが「ニャ」と、嬉しそうになく。
◯森のおく(星が、きらきらするころ)
森のなかでは、小さな妖精たちが、レオーナの笛の音にひかれて、集まってきた。
レオーナ「ほら、森の妖精たちが、みんな・・」
レオーナ、笛をふくのを、とめる。
ミレイユ「わ、わわ、なに・・・・?」
きらきらの妖精たちが、ミレイユに手をひろげてくる。
ミレイユ、目を、しろくろさせる。
レオーナ「あら、ミレイユ、あなた、すごい人気じゃありませんの・・・・」
レオーナ、くすっと、わらう。
レオーナ「・・ふふ、森に、こんなに妖精っているんですね。わたくしも、おどろきですわ」
やがて、レオーナのまわりにも、妖精たちが、あつまってきた。
ミレイユ「レ、レオーナさま、でも、これで、どうしようと・・・・?」
ミレイユ、森の妖精と、手をあわせながらいう。
レオーナ「あら、あなたは、感じませんの?」
レオーナ、ちらりと、ミレイユを見る。
ミレイユ「・・・・?」
レオーナ「森が、すこしずつ、黒く染まっているのが・・・・」
レオーナ、森の木々を見ながら、つぶやくと、そばの妖精の羽をじっと見る。
レオーナ「・・ほら、この妖精たちも、羽のさきが、かすかに、黒くなっているでしょう・・」
ミレイユ、はっとする。
レオーナ「・・この子たちは、あなたの美しい羽が見たくて、集まってるんですわ、きっと」
ミレイユ、森をみわたす。
ミレイユ「ど、どうすれば・・・・?」
うでのなかの、みるくが、ぴんと耳をたてる。
レオーナ「・・そうですわね。やはり、魔女座のちからが・・・・」
レオーナ、星がうかぶ空を、見る。
7つの星が、きらりと光った。
すると、みるくが、ぴくっと森のおくを見る。
レオーナ「・・・・え?」
ミレイユ「・・・・?」
ミレイユも、森のおくを、見る。
ミレイユ「あれ、いま、なにか、おおかみみたいなのが・・・・?」
ミレイユが、不思議な表情で、つぶやく。
レオーナの耳が、ぴょこぴょこと、うごく。
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<9ー9に、つづく>
