見出し画像

「静かな生活」のために戦う兄妹の映画

『静かなる生活』(1995/ 日本)監督伊丹十三 出演渡部篤郎佐伯日菜子今井雅之緒川たまき岡村喬生

解説:  大江健三郎による連作小説を大江の義弟にあたる伊丹十三が映画化。絵本作家を目指すマーちゃんには、大学入試を控えた弟オーちゃん、障害者ながらも音楽に非凡な才能を発揮する兄のイーヨーがいる。作家のパパと優しいママもいたのだが、パパがふとしたことから家長のプレッシャーに耐えられず、招かれていた海外の大学講師を引き受けてママと共に渡航してしまった。両親の留守を引き受けたマーちゃんがイーヨーたちの面倒を見ることになるのだが、てんやわんやな毎日を送る。そんなとき、パパの知り合いという新井君がイーヨーの水泳コーチを引き受けてくれることになり…。

allcinema

大江健三郎原作本を伊丹十三(妹が大江健三郎の妻)が監督。伊丹十三の映画としてはそれほど注目されないのだが、大江健三郎ファンとしては嬉しい映画だった。親戚である伊丹十三の目を通した大江健三郎一家が描かれており、自虐的な大江健三郎の姿もコミカルに描かれている。

大江健三郎の心身不調のために妻が海外生活に同行することになって、兄妹(他に弟がいるがこの映画では蚊帳の外という感じ)で残される。得に兄は障がい者であり、近所で障がい者の変質者が出没したというニュースがあったり心配(得に性のこと)が絶えないのだ。

兄を守る妹の構図は柳田国男の「妹の力」という感じだろうか?そんな生活の中にスイミングのコーチとして潜入してきたのが、かつての作家のモデルとなった男で作家に恨みを持っている。彼の噂を保護者代わりのピアノの先生(イーヨの音楽の先生)から聞いて心配が重なる。それでもイーヨは彼に懐いており水泳の上達も見られるのだ。

結局イーヨの意のままにそのコーチに教わることになったのだが、ピアノの先生と一騒動があって、彼女は警戒するがある日男に襲われてしまう。

兄妹愛のドラマで守っている方が守られていたというような話。最後はちょっと感動的。佐伯日菜子が良かった。今は全然見ないけど。そんなことはなかった。結婚して引退したが離婚してまた役者に復帰したみたいだ。たぶん若い頃の面影がないのかな(それで気づかない)。この頃は可愛かった。誰かに似ていると思ったのだが思い出せない。

あとイーヨ演じる渡部篤郎も上手いかもしれない。光さんの特徴を捉えているような。全体的には喜劇調なのだが、終盤の展開が伊丹十三なのかな。やっぱ面白い映画を撮る。正義ということだよな。正義は戦わなくちゃという大江と伊丹の二人の共通したスタイル。

いいなと思ったら応援しよう!