「幕開く者たち」イタリア語小ネタ|アークナイツ
アークナイツのイベント「幕開く者たち」がはじまりました
シラクーザ関連イベントのストーリーはいつも大変おもしろい
マフィア映画好きすぎるでしょライター
バトルもSPはそこそこ歯ごたえがあってよい
花火はよく分からない
不屈最強
前置き
アークナイツはすべてのキャラ名やイベント名など、用語を現地語でつけている
こういうこだわり好き
シラクーザ関連はいわずもがなイタリア語
しかし日本語でプレイしていると全部翻訳されてしまうのでそもそも気がつかない
その上翻訳で現地語のニュアンスが失われていることもある
もったいない
とりあえず今回のイベント関連で分かる範囲で簡単に解説しておく
Twitterで適当に呟いたら反応があったので
ストーリーのネタバレを含みます!!!
「ディチェンテ」
ヴェネツィア家のモットーとして頻出する
これはイタリア語ではdecente
音写が間違っており、本当はデチェンテと読む
英語で言えばdecent
一般的な語義としては「きちんとした」「慎みのある」という意味
言葉遣いとかファッションとかにつく形容詞
TPOが分かっている、という表現
ただしマフィア同士の間でデチェンテというとき、少し一般とは異なるニュアンスを得る
マフィアにとって「きちんとした」というのは何がきちんとしていることか
つまりデチェンテは「筋が通っている」ということ
行為や発言に嘘、ごまかしがなく、落とし前もつける、責任を果たす気概がある
これがデチェンテであるということ
そういう意味で「信頼に値する」ということでもある
アウトローは筋を重視するもの
外在的な法をシステムとして持たないがゆえに、内生的な論理がad hocに持ち出される
ヴェネツィア家はこれを特に中核信条として掲げていた
暴力の強さや経済力、政治力ではない
これを背景にすると(他ファミリーとの比較での)ヴェネツィア家のポジションや、アントニオの立ち回りがよく分かってくる
ラップランドのコードネーム
異格ラッピーのコードネームは荒蕪ラップランド(Lappland the decadenza)
「荒蕪」とかいう雰囲気訳語は無視して、元の言葉を考えよう
decadenzaもやっぱりイタリア語
デカデンツァ
フランス語のdécadenceと一緒
一般的には「退廃」を指す単語
つまり、継続的に常識的なラインを下回って堕落した状態のこと
これもマフィアの文脈に当てはめると独特のニュアンスになる
マフィアにとっての常識とは何か?
それは組織の掟(おきて)
ということで、マフィア的デカデンツァというのはつまり「掟破り」という意味
個人で言えば、掟を破るどうしようもない構成員のこと
当然破門の対象になる
組織全体で言えば、掟破りが発生しすぎて統制が失われていることも指す
なるほど、掟破りね
ん、そういえば異格テキサスのコードネームは何だったかな
血掟テキサス(Texas the Omertosa)
「血掟」とかいう雰囲気訳語は無視して、元の言葉を考えよう
オメルトーザというのは字義通りには「緘黙する」「頑なに口を閉じる」という形容詞
マフィアの文脈でしゃべってはいけないのはいつ、なぜか?
警察に捕まったとき、組織に類が及ばないようにするため
シチリアマフィアでは、組織について自白することが最大の禁忌とされた
これが「オメルタ(Omertà)」(沈黙)と呼ばれる掟
つまり、マフィア的にはオメルトーザというのは、文字通り「オメルタを守るもの」という意味
ここまで来ると、ラッピーとテキサスはまったく逆の名前がついていることが分かる
二人の性格とストーリーでの関係性を端的に表した表現になっている
荒蕪と血掟じゃあ対比がわからないよね
イベント名「幕開く者たち」
イタリア語の題はI Portatori dei Velluti
イ・ポルタトーリ・デーイ・ヴェルーティ
英語で言えばthe porters of the velvets
つまり直訳すると「ベルベットの運び屋たち」
邦題と全然違うじゃん!!!
ベルベットの運び屋というタイトルだとすると
まず第一の主人公はサルトリアであるルキーノ(フィグリーノ)
サルトリア(sartoria)は仕立て屋のこと
お使いで服を届け、大物と知り合い、事件に巻き込まれ、過去を知り、未来を向くもの
ラップランドも服を届けている
親アルベルトに、半ばからかいの、最後通牒として
運び屋に注目すれば
次の主人公は互助会、エイレーネ
物流という重大機能を担っていながらファミリーの下部組織のように扱われ、しかしヌエバ・ウォルシーニの新体制下で運び屋としてのアイデンティティを得るに至る
ラップランドがタクシードライバーをやっていることもこの視点で見るとおもしろい
このシナリオでは、誰かが何かをどこかに届ける構図が徹底されている
イングリッド、ディミトリ、リュドミラ……
邦題はこの緻密な設計とニュアンスを捉えきれていない
まとめ
ほかにもいろいろあるけど書ききれないのでこのへんで
アークナイツは言語にこだわりがあってすばらしい
でも日本語ローカライズはそこについていけてない
もう少し頑張れ
アークナイツはストーリーが本当におもしろいのでみんな頼む、スキップしないでくれ……
ストーリーは確かに長い、それは認めよう
でも決して冗長ではないです、必要な長さ
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