自律神経失調症の鍼灸治療的アプローチ
自律神経失調調の場合、どんな治療を受けたらいいのでしょうか?
私は鍼灸師ですので、私が経験してきた鍼灸治療的アプローチについてご紹介したいと思います。
たとえば、交感神経が優位になり副交感神経があまり働かない場合、 副交感神経をもっと働くようにすればいいわけです。 いたって簡単な理屈ですよね。
しかしこれがそう簡単にはいかない。 なぜ簡単にいかないか、それは自律神経は自分の意志とは関係なく働く神経だから。 「こうなれ!」と命令を出しても思う通りにはならないのです。
交感神経が優位になりがちなため寝付けない人が、 「もう寝る時間だから、副交感神経よ、もっと優位になりなさ~い」 と思っても、なかなかうまくいかない…。
自律神経失調症が長きに渡って続いている場合、 一日二日で、あっという間に改善とはいかないのが現状です。 やはり積み重ねてきた分、それなりに時間がかかるようです。
また、原因を排除すれば症状は改善されやすくなります。 たとえばストレスの原因は「仕事」という場合、仕事をしなければいいわけです。 それができる人はいいけど、そうはいかない場合、困ってしまいます。
それに仕事をやめたからといって急に改善しないことも多々あります。 長年積み重ねてきたものは、そう簡単になくならないということでしょう。
また、もともとの体質で自律神経失調症の方もいらっしゃいます。そういう方の場合、原因を排除するというわけにはいきません。体質改善ということになりますが、持って生まれた要素を変えるのは、けっこう時間がかかるものです。
代表的な治療法
●自律訓練法などによるセルフコントロール
●薬物療法
●カウンセリングなどの心理療法
●鍼灸治療、指圧やマッサージ、ストレッチなどの理学療法
●音楽療法やアロマテラピーなど五感に働きかける治療法
●自己管理によるライフスタイルの見直し
自律神経失調症と実際の鍼灸治療
鍼灸治療的所見

私の鍼灸治療では、まず始めに患者様の脈をみます(「脈診」と言います)。脈の場所は両手首の橈骨動脈。ここに指(人差し指、中指、薬指)をあてチェックします。(脈診の詳しい内容は、また別の機会に。)
この段階で自律神経が乱れているかどうかわかります。乱れている方は手のひら、手首あたりに汗をかいているのです。ジワ~とした程度の汗から、ベッタリ汗が出ている方までさまざまです。汗の程度は自律神経の乱れ具合とだいたい比例しています(私の経験上)。
また手のひらに汗をかいている場合、足の裏にも汗をかいている方がほとんどです。
脈診の次に、体をチェックさせていただきます。足の先から、お腹、首、頭と、全身を手で触れて目で見て、どんな状態かを診ます。自律神経が乱れている方の多くが、とても首が凝っています。ピーンと硬く張っていることが多いですね。頭の状態も、カチカチに硬くなっているか、逆にとてもむくんでブヨブヨしていることが多いです。
手のひら、足の裏に慢性的に汗をかいている場合、ここがとても冷えています。特に冬は辛いでしょう。また夏なのに手のひら、足の裏は冷えていて、体の熱バランスが悪く不快に感じている方も多いですね。
鍼灸治療
鍼灸治療では、五臓六腑、各経絡のバランスを取るよう鍼を打ちます。
自律神経の中枢は脳にあるので、頭やそれに関連したツボに施術します。
足が極端に冷えている方が多いのですが、いきなりお灸をしてもあまり温まりません。ホットパックなどで十分温めてからお灸をします。
また、自律神経失調症といっても、みなさん全く同じ症状とは限りません。個人個人に合わせた施術をしていきます。
治療頻度と期間
自律神経失調症は、一回の鍼灸治療で治るものではありません。はっきり言って手強いです。治療頻度の目安として、最初は最低でも週1回は受けていただきたいです。今まで月1回しか治療を受けない方もいらっしゃいましたが、正直言って私には無理でした。
期間の目安は、まず3ヶ月。それで改善具合をみて、週1回ペースを続けるか、頻度を下げるか検討します。
私のおすすめとしては、1年は続けた方がいいと思います。それは、自律神経失調症は季節の変わり目に症状が悪化しやすく、そういう時期こそしっかり治療を受けた方がいいからです。
また自律神経失調症で鍼灸治療を受けにいらっしゃる方は、重症な方が多いのです。いろいろ試した、病院にも行った、でも良くならない、そういう方が多いのです。週1回ペースを何年も続けて、やっと良くなったという方もいらっしゃいます。
そんなにかかるのか、と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、何もしなければ良くならないし、今までそれなりにやってきたけど良くならなかった方からすれば、時間がかかっても改善したことに喜びを感じていらっしゃいます。
