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【知らないと加算が取れない】薬局に義務化された「流通改善への協力」とは?2026年改定

2026年度(令和8年度)調剤報酬改定では、新設された**「地域支援・医薬品供給対応体制加算」**の算定要件として、医薬品流通の改善への協力が明確に位置づけられました。

具体的には、以下のような行為が薬局に求められます。

  • 単品単価交渉の徹底

  • 過度な値引き交渉の自粛

  • 頻回配送・急配の抑制

  • 在庫調整目的の返品の自粛

これらの考え方の根拠となるのが、2026年3月4日に改訂された
**「医療用医薬品の流通改善に向けて流通関係者が遵守すべきガイドライン」**です。

本記事では、

  • なぜガイドラインが改訂されたのか

  • 薬局が具体的に何を守る必要があるのか

  • 調剤報酬改定とどのように関係するのか

を、薬局経営の視点からわかりやすく整理します。


1. なぜガイドラインが改訂されたのか(2026年改訂の背景)

今回の改訂には、主に2つの大きな政策背景があります。

① 改正薬機法による「供給確保医薬品」の制度化

2025年(令和7年)の薬機法改正により、医薬品の安定供給を確保するための制度が大きく強化されました。

新たに法的に位置づけられたのが次の区分です。

  • 供給確保医薬品

  • 重要供給確保医薬品

また、製薬企業には

  • 出荷停止

  • 供給制限

などを行う際の届出義務が課されることになりました。

これにより、医薬品サプライチェーン全体で安定供給を守るルール整備が求められ、流通ガイドラインも改訂されることになりました。


② 物流費・人件費の高騰による流通コストの上昇

もう一つの背景が、近年の急激なコスト上昇です。

特に医薬品流通では

  • 配送コスト

  • 倉庫管理費

  • 人件費

が大きく上昇しています。

これまでの医薬品取引では、

  • 過度な値引き交渉

  • 頻回配送

  • 在庫調整返品

などが行われてきました。

しかしこれらは、流通コストを圧迫し医薬品供給の不安定化を招く要因と指摘されています。

今回の改訂では、医薬品の価値と流通コストを適切に反映した取引へと転換することが明確に示されました。


2. 薬局に求められる「流通改善への協力」4つのポイント

ガイドラインでは、薬局と医薬品卸売業者の取引について、特に次の4点が重要とされています。


① 単品単価交渉の徹底(重要医薬品は「別枠」扱い)

医薬品価格交渉の基本は、単品単価交渉です。

これは、

「医薬品ごとに適正な価格で交渉する」

という考え方です。

今回の改訂では特に、次の医薬品を別枠で交渉することが明記されました。

  • 重要供給確保医薬品

  • 基礎的医薬品

  • 不採算品再算定品(適用後2年以内)

  • 血液製剤

  • 麻薬

これらは安定供給の観点から価格だけで判断すべきではない医薬品とされています。

注:以下の交渉は、単品単価交渉には該当しません。

・総価値引率を用いた交渉(総価交渉および総価交渉除外を含む)
・全国最低価格に類する価格をベンチマークとして用いた交渉
・ベンチマークを用いた交渉のうち、配送コストなどの地域差や、購入金額、支払条件、返品、急配等の取引条件を考慮していない単価を基準とし、当該価格で決定する一方的な交渉
・法人格または個人事業主が異なる加盟施設との取引価格の交渉を一括して受託する業者による価格交渉のうち、加盟施設ごとの地域差や取引条件等を考慮しない取引価格での交渉、または加盟施設ごとの確認が行われない交渉

医療用医薬品の流通改善に向けて流通関係者が 遵守すべきガイドライン

② 流通コストを考慮した価格交渉

ガイドラインでは、次の点が明確に示されています。

医薬品の価値を無視した過度な値引き要求は慎むべき

卸売業者が提示する価格には、次のようなコストが含まれています。

  • 地域差を考慮した物流費

  • 人件費

  • 在庫管理費

  • 医薬品配送体制維持費

これらを無視した値引き交渉は、

卸の「一次売差マイナス」問題を招き、結果的に医薬品供給を不安定化させる

とされています。

※一次売差マイナス 納入価が仕切価よりも低い状況。

③ 頻回配送・急配の自粛

医薬品流通では、配送頻度の増加が大きな問題になっています。

特に問題視されているのが

  • 少量発注(小口配送)

  • 急配依頼

  • 当日配送依頼

などです。

ガイドラインでは、

  • 計画的な発注

  • 適正な在庫管理

によって頻回配送を抑制することが求められています。

また、急配などで追加コストが発生する場合には、費用負担契約を締結する可能性も示されています。


④ 在庫調整目的の返品の禁止

返品についても、今回のガイドラインで明確化されています。

特に問題とされているのが、在庫調整目的の返品です。

例として、

  • 月末に返品

  • 翌月に再購入

といった取引が挙げられます。

また、以下の医薬品の返品は原則認められません。

  • 厳格な温度管理が必要な医薬品

  • 有効期限切れ医薬品

  • 開封・破損医薬品

返品の適正化は、サプライチェーンの安定性確保の観点から重要視されています。


3. メーカーと卸の取引ルールも大きく変更

今回のガイドライン改訂では、メーカーと卸売業者の取引ルールも見直されています。

主なポイントは次の3つです。

① 適切な仕切価設定

メーカーは、

  • 妥結価格の水準

  • 流通コスト

  • 物価水準

を踏まえて、適切な仕切価を設定することが求められます。


② メーカーと卸の情報共有

卸は、薬局との取引状況をメーカーに共有し、メーカーはそれを踏まえて価格設定を行うことが期待されています。


③ 割戻し(リベート)の透明化

これまで複雑化していた

  • 割戻し

  • アローアンス

については、

仕切価に反映できるものは整理・縮小する

方向が示されました。


まとめ|流通改善への協力は「加算算定の前提条件」

2026年度調剤報酬改定では、薬局に対して

医薬品の安定供給を支える流通パートナーとしての役割

がより強く求められるようになりました。

特に重要なのは次の4点です。

薬局が守るべき流通改善ルール

  • 単品単価交渉の徹底

  • 過度な値引き交渉の自粛

  • 頻回配送・急配の抑制

  • 在庫調整目的の返品禁止

これらは単なる取引ルールではありません。

2026年改定で新設された
「地域支援・医薬品供給対応体制加算」を算定するための前提条件でもあります。

これからの薬局経営では、

  • 薬価差益を追求する交渉
    から

  • 医薬品供給を支える流通の持続性を重視した取引

へと発想を転換する必要があります。

計画的な発注、適正な在庫管理、流通コストへの理解は、
結果として薬局の評価(加算算定)と地域医療への貢献の両立につながると言えるでしょう。


出典:「医療用医薬品の流通改善に向けて流通関係者が遵守すべきガイドライン」 の改訂について

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