風の寄宿舎にて_秘密の逢瀬
皆様、こんにちは!!
アップルティーでございます!!!
え。やだ。
もう風シリーズも第2話目!?
時間が経つのは、本当にあっという間ですこと。
今回は、ガラッと視点を変えて
『大正ロマン×BL×風』で
行きますよ~~~!!!!
あ~~~~ん。
大正ロマンって聞いただけで、
もうエモエモのエモエモンですわよね。
結構ね、レトロ系のBLってあんまり
私読んだことないから……
書いてみたくなったんです~~~キャッ♡
寄宿舎で働く僕(葵)と、
そこへ出入りする書生の千紘が繰り広げる
今回は、ちょっと攻めた感じに書いてみましたよん。
書生とは、お金持ちのお嬢様の家に
出入りしている、頭の良い青年って感じです。
まあ、女学生の付き人って感じですね。
それでは、どうぞ~~~♪
風の寄宿舎にて_秘密の逢瀬
寄宿舎の裏庭は、
午後になるとひどく静かになる。
女学生たちの明るい声は本棟の方へ吸い込まれ、
ここだけが別世界のように、
風のささやきだけが支配していた。
僕は落ち葉を踏まないようにそっと足を踏み入れた
。
今日もこの場所へ来るまでに、何度も振り返った。
人の目を避けるために遠回りをし、
廊下でもなるべく存在感を消し……
全部を済ませて、ようやくここに辿り着いた。
胸が高鳴っているのは、風のせいではない。
──彼が、いる。
銀杏並木の中央で、
千紘が背を向けて立っていた。
夕陽に照らされた横顔は、落ちてくる銀杏の葉と同じくらい静かで、
同じくらい、息をのむほど美しかった。
「……来てくれた」
振り返った瞬間、その声に満ちていたのは、
抑えきれない安堵と、隠しきれない熱だった。
「寄宿舎の前に人が多くて……
抜けるのに時間がかかった」
「わかっています。あそこは目が多い。
……だからこそ、こうして来てくれたことが
嬉しいのです」
そう言いながら、千紘は一歩、
僕へ歩み寄った。
その一歩だけで、
世界が変わる気がする。
銀杏の葉がふたりの間を舞う。
風の音さえ、胸の鼓動に負けていく。

「今日は……会えてよかった」
その言葉の重みが、そのまま心臓を打つ。
「ここは……誰にも見られない?」
「ええ。あなたが来る前にすべて確認しました」
その慎重さに胸が熱くなった。
昔は、こんなふうに気を張る必要はなかった。
惹かれ合うようになってから、
僕らの関係は“秘密にすべき宝物”に変わった。
「……僕の名前」
「はい?」
「呼んでください」
胸の奥が焼けるような期待で満たされる。
「……葵さん」
「……っ」
名前を呼ばれただけで足が止まった僕に、
千紘は手を伸ばし、
そっと僕の手首をつかんだ。
その触れ方は、
“誰かの前では絶対に見せない触れ方”だった。
「……逢いたかった」
耳元に落ちた声で、背筋が震えた。
「寄宿舎では……あなたを“知らないふり”を
しなくてはならないでしょう?
すれ違うだけで、胸が潰れそうになる」
その吐息が近すぎて、呼吸が乱れる。
「僕だって……同じだよ。あなたを目で追いそうになる。
それを悟られないようにするのが
……苦しい。本当は……」
「だからこそ、ここでだけは……」
千紘は僕の手首から指を滑らせ、
手の甲に触れ、そのまま指を絡めてくる。
指が絡んだ瞬間、
胸が締め付けられた。
触れ合っているだけなのに、
心が剥き出しになる。
「ここでだけは……
僕を、千紘として扱ってください。
書生でも、護衛でもなく……あなたの」
僕の喉が震えた。
「……千紘」
名前を囁いた瞬間、千紘の手の力が強くなる。
「その声……ずるい。
抱きしめたくなるじゃないですか」
僕は目を伏せた。
でも、逃げる気はなかった。
「抱きしめて……ほしいの?」
自分で言って、頬が熱くなる。
「あなたが望むなら」
彼の声があまりに優しくて、
言葉にならなかった。
次の瞬間、
千紘の腕が僕の肩を包み込んだ。
力任せではない。
けれど、離す気がないほどの熱を孕んでいた。
僕の額が千紘の肩に触れ、
互いの呼吸が触れ合う距離。
「……千紘」
「葵さん……」
名前を呼ぶたびに、
身体の奥が震える。
銀杏の葉が舞い落ち、
ふたりだけの世界が深くなる。
「ねえ、葵さん」
「……うん」
「あなたに触れていると、
本当に……生きている気がするんです」
「……そんな、大げさだよ」
「大げさじゃありません。
あなたが知らないだけです。
僕は、あなたが——」

言いかけて、千紘は僕の頬に指を添えた。
その指先がゆっくりと頬から耳へ、
耳の後ろから首筋へ滑り、
そこで柔らかく止まる。
呼吸が止まった。
唇が触れそうで、触れない距離。
この距離が、苦しいほど甘い。
「……葵さん。
本当に触れてしまいますよ?」
「……千紘が、望むなら」
その答えに、千紘の瞳が揺れた。
風がふたりの間を撫でていく。
銀杏の葉が舞い、夕陽が混ざる。
「……そんなふうに言われたら、
本当に、触れてしまう」
千紘がゆっくり顔を近づける。
息が混ざる。
額がそっと触れ合う。
それだけで体温が跳ね上がる。
「あなたを抱きしめるたび、
離したくなくなるんです」
「離れなくても……いいよ。
ここには、誰も……」
僕が言い終える前に、寄宿舎の鐘が鳴った。
戻る時間を知らせる残酷な音。
僕はわずかに肩を震わせた。
「……時間だ」
「わかっています」
千紘は一瞬だけ目を閉じた。
けれど、僕を抱く腕は離れなかった。
「最後に……」
そして千紘は、
僕の額へそっと口づけを落とした。
ほんの一秒にも満たない。
なのに、その温度で全身が震えた。
「……また、ここで」
「うん」
「すぐに……会いたいです」
「僕も」
絡めた指をそっと離し、
ふたりは銀杏並木に影を
残したまま別々の道へ戻った。
風が戻り、秘密の熱を
そっと散らすように吹いた。
今日の風は、どこかあたたかい。
僕は、その温度を確かに胸に刻んでいた。

最後に
いかがでしたでしょうか。
もうね、書きながらヒイヒイ言ってるの
多分、noteの中で私だけだと思う。
「誰にも知られていないけれど、
俺だけは知っている」
「許されない恋」
……そういう“秘密の温度”みたいなものに、
本当に弱いんですよ、私。
今回の作品は、そんな私の“好き”を
ぎゅっと詰め込んだ一話になりました。
読んでくださった皆様にも、
少しでも共感していただけたら最高に嬉しいです。
少し、長くなってしまい申し訳ありません。
次回は、水曜日に投稿するよ~~~♪
まったね~~~♪
