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SES会社でヘルプデスクから抜け出すために、私がやったこと|努力する"場所"を間違えないために

「このままじゃ、スキルが何も身につかない」

SESでエンジニアとしてキャリアをスタートした人なら、一度はこう思ったことがあるんじゃないでしょうか。

私もそうでした。

最初に配属されたのはヘルプデスクの現場。
電話を受けて、一次切り分けをして、マニュアル通りに対応する。
同じことの繰り返しで、技術力がまったく上がっていく気がしない。

そしてもうひとつ、地味に効いてくるのが単価の頭打ちです。
ヘルプデスクのような案件は単価が低い。
単価が低いということは、会社から見た自分の価値もそこで止まっているということ。
このままでは収入も上がらないと、はっきりわかってしまいました。

「ここで頑張っても、行きたい場所には行けないんじゃないか」

その不安が、動き出すきっかけでした。

まず私がやったこと:資格を取って営業にアピールした

最初にやったのは、資格の取得です。

CCNA、LPIC、そしてAWS。とにかく「自分は学んでいる」「もっと上流の仕事ができる」という材料を作って、営業に直接アピールしました。

「もっと技術が身につく現場に行きたいです」と。

返ってきた答えはこうでした。

「今の現場はあと2年は続けてほしい」

資格を取っても、現場はすぐには変わらない。
むしろ「今の場所にいてほしい」と言われる。ここで一度、心が折れかけました。

転職を決意したら、引き止められた

このままでは何も変わらない。そう思って、私は転職を決意しました。

ところが、いざ辞めると伝えると引き止められます。

「特別に案件を変えてあげるから、残ってくれないか」

会社としても、辞められるよりは現場を変えてでも残ってほしい。
そう言われると、「じゃあもう一度だけ」と思ってしまうものです。

そして移った先の現場は
——また監視業務のような、技術力のあまりつかない現場でした。

切り分けて、エスカレーションして、決まった手順を回す。
名前が変わっただけで、本質はヘルプデスクのときと何も変わっていませんでした。

気づいた本質:「会社が上流案件を取ってこれるか」がすべて

ここで私はようやく、本当に大事なことに気づきます。

現場を変えても意味がない。問題は、会社そのものにあったんです。

試しに営業へこうお願いしてみました。

「上流工程に参画している社員の方に、一度話を合わせてもらえませんか」

返ってきた答えは衝撃的でした。

「今、上流工程を担当している社員はいません」

つまり、会社全体として上流の案件を持っていなかったのです。

蓋を開けてみれば、その会社は未経験エンジニアを積極的に採用している会社でした。
そして抱えている案件は、ヘルプデスクや事務作業のような、極端に言えば派遣社員でもできるような仕事ばかり

どれだけ自分が資格を取って勉強しても、会社に上流の案件がなければ、行ける場所は存在しなかったのです。

SESでよくある話

これはSESでは、本当によくある話です。

エンジニアとは関係のないような案件に飛ばされる。そして営業にこう言われる。

「ここで経験を積めば、次は上流に行けるから」

その言葉を信じて頑張っているうちに、気づいたときにはスキルもつかないまま、何年も時間が過ぎている。

悪意があるわけではないのかもしれません。
でも、会社の構造上「上流に行けるルートがそもそも存在しない」のなら、その言葉は実現しようがないのです。

なぜSESは「誰でもできる案件」に入れたがるのか

ここには、SESという仕組みの構造的な理由があります。

SES会社は、待機期間にも給料が発生することが多いです。
エンジニアが案件に入らず待機している期間は、会社にとって丸ごとマイナスになります。
だから会社は、一刻も早く社員をどこかの案件に入れたい。

ここで問題が起きます。

本人の経歴のために、実際に持っているスキル以上の案件に参画させようとすると、営業にそれなりの労力がかかるんです。
クライアントを説得し、面談を通し、ときには経歴を盛ってでも通そうとする。手間がかかるし、決まる保証もない。

一方で、誰でもできるような案件なら、簡単に決まる。

だから会社は、本人の成長よりも「早く・確実に決まる案件」を選びがちになる。
これはサボっているわけではなく、ビジネスとして合理的だからこそ起きてしまう構造です。

それでも「誰でもできる案件」にメリットはある

誤解のないように言っておくと、誰でもできる案件にも良い面はあります。

仕事が簡単な分、残業もほとんどなく、資格の勉強をする時間がたっぷり取れる。
実際、私もその時間を使って資格を取りました。これ自体は悪いことではありません。

ただ、何年かこの業界でやってきて、はっきりわかったことがあります。

本当に大事なのは、実務でその技術を使った経験があるかどうかです。

どんなにすごい資格を持っていても、現場でそれを経験したことのある人には、面談で勝てません。

面談で聞かれるのは「資格を持っているか」ではなく「実際にやったことがあるか」です。
「AWSでこういう構成を組んだ経験は?」と聞かれたとき、資格の知識だけで答える人と、実際に手を動かした人とでは、説得力がまったく違う。

採用する側は、後者を選びます。

資格は入口を作ってくれる。でも、最後にものを言うのは実務経験なんです。

抜け出すために、本当に必要だったこと

長い遠回りの末に、私がたどり着いた結論はシンプルです。

自分のいる「会社」が、上流の案件を取ってこれるかを見極める。

これに尽きます。個人の努力ではどうにもならない部分が、SESには確かにあります。
資格も、現場異動の交渉も、無駄ではありません。
でも、その努力が報われるかどうかは、会社が持っている案件の質で決まってしまう。

だから私がやったことを一言でまとめると、こうです。

  • 資格を取って、技術の土台と「学ぶ姿勢」の証明を作った

  • 現場を変える交渉をして、その限界も知った

  • そして最終的に、上流案件を持てる環境へ移ることを決めた

今の私は、フリーランスのインフラエンジニアとして、要件定義や概要設計といった上流工程から案件に携わっています。
あのままあの会社にいたら、たどり着けなかった場所です。

最初こそ、しっかり経験の積める現場に入るべき

ここまでの話をふまえて、これからキャリアを作る人に伝えたいことがあります。

最初はどんなに大変であっても、しっかりと経験の積める現場に入るべきです。

楽な現場で資格を取りながら過ごす数年と、大変でも実務経験を積める数年とでは、その後のキャリアがまったく変わります。
最初の数年でついた「実務経験の差」は、後からではなかなか埋められません。

そして、もし今の会社で自分の目的を果たすために転職が必要なのであれば、すぐに行動したほうがいい。

「もう少し様子を見よう」「あと1年頑張れば変わるかも」——そう思っているうちに時間だけが過ぎていきます。
私自身、引き止められて残った結果、また同じような現場で時間を失いました。
会社の構造が変わらない限り、待っていても状況は変わらないのです。

迷っている時間が、一番もったいない。

同じ場所で悩んでいる人へ

もし今、SESのヘルプデスクや監視の現場で「このままでいいのか」と悩んでいるなら、一度だけ確かめてみてください。

自分の会社に、今まさに上流工程をやっている社員はいますか?

もしいないなら、それはあなたの努力不足ではありません。
環境の問題です。

努力する場所を間違えなければ、ちゃんと前に進めます。
私がそうだったように。

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