【投資メモ】骨太の方針2026 に向けて
NOTEを書き始めて、早いもので1ヶ月半程度が経ちました。
これまで様々な観点から株式投資に関連する記事を執筆し、「次に来るだろう」というテーマや銘柄についてもいくつか仕込んできました。
特に「国策に売りなし」という格言があるように、政府の方針やニュースでテーマになるような銘柄、セクターに注目してきました。
しかし、足元の地合いは一筋縄ではいきません。金曜日の晩には米雇用統計の発表があり、さらにスペースXのIPOに向けた換金売りや、アンソロピック(Anthropic)による大型AI投資への疑問の投げかけなどが重なりました。
これらを受けて、月曜日の日経平均は大幅安で始まることが予想されます。
ですが、このような全体地合いの下落局面こそ、次の仕込み時です。
骨太の方針のスケジュール
骨太の方針は、翌年度の予算編成や国の基本政策の方向性を決定するため、毎年春から初夏にかけて議論・策定されます。
昨年の「骨太の方針2025」は、以下の日程で閣議決定されました。
閣議決定日:2025年(令和7年)6月13日
この方針では、「今日より明日はよくなる」と実感できる社会へ、という副題がつけられ、医療・介護DXの推進、少子化対策(こども・若者政策)の加速化プランの本格実施、防災・国土強靱化の推進などが大きな柱として盛り込まれました。
今年の動き
2026年4月13日: 経済財政諮問会議が開催され、高市首相から「経済財政運営の方針を明確に示す、真に骨太な、簡潔で分かりやすく、メッセージ性のある内容とする」との策定に向けた指示が出されました。
今年ももう、間も無くです。
今回の記事ではこれまで紹介してきた銘柄の中から、国策として資金の流入が期待できるものをピックアップします。
2025年の振り返りと「17の成長投資分野」
株式市場において、例年の「骨太の方針」は国策に沿った巨大な投資テーマを見極めるための重要なイベントです。
昨年(2025年)の骨太の方針では、賃上げや人手不足対策、DX、地方創生、そして国土強靱化(防災)などが重点的に打ち出され、関連銘柄に大きな資金が向かいました。
そして現在の市場で最も意識すべきなのが、国が本気で資金とリソースを投じる方針を示している「17の成長投資分野」です。
AI・半導体、量子、航空・宇宙、デジタル・サイバーセキュリティ、資源・エネルギー安全保障、マテリアル、港湾ロジスティクス……これら17分野の多くは「経済安全保障」と直結しています。
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/nipponseichosenryaku/kaigi/dai3/shiryou1.pdf

まず押さえておきたい「王道」銘柄
この17分野のド真ん中を行く「王道」として外せないのが、ソフトバンクグループ(9984)とNEC(6701)です。
ソフトバンクG(9984)
17の成長投資分野のなかで、「AI・半導体」「資源・エネルギー安全保障」「デジタル」「情報通信」という複数の最重要クアドラント(領域)をまたいで主役に躍り出ているのがソフトバンクグループ(9984)です。
政府の「骨太の方針」や国策のアップデートに伴い、同社は単なる一企業の枠を超え、国家の経済安全保障戦略と表裏一体の動きを見せています。注目すべきは以下の3つの国策テーマとの連動です。
エネルギー安全保障 ✕ AIデータセンター
今年(2026年)3月、米国オハイオ州での巨大なAIデータセンター建設と、その電力を自前で賄うための大規模なガス火力発電所建設計画が発表されました。これは日米の国策的な投融資案件(経済安全保障)の第1弾と目されており、AIの爆発的な電力消費をエネルギー供給の面から解決する、まさに「資源・エネルギー安全保障」のド真ん中の動きです。
「日の丸AI」の基盤構築(AI・半導体 ✕ 情報通信)
海外の巨大テック企業への依存を脱却するため、政府(経済産業省)はAIの国産化に本腰を入れています。
ソフトバンクが中心となる「国産AI基盤モデル」開発会社に対し、経産省は5年間で最大1兆円規模の支援を検討中。
さらに、単なるソフトウェアに留まらず、産業用ロボットや自動運転と融合する「フィジカルAI」の開発を主導しており、日本の次世代の産業競争力を担う国策の受け皿となっています。
社会課題の解決(医療・介護DX ✕ 地方創生)
骨太の方針で毎年最重要視される「医療・介護DX」への参入(AIを活用した遺伝子・医療データ事業)だけでなく、子会社BOLDLYを通じた「自動運転バス」の社会実装でも国内をリードしています。
人手不足や地方の交通網維持という、国が最も頭を悩ませる課題に対し、AIモビリティという直接的な解を提供しており、国の予算や規制緩和の後押しを最も受けやすいポジションにいます。
巨額の国費が投じられる「王道」の中の王道として、地合いが崩れた局面では真っ先に監視リストに入れておきたい存在です。
日本電気(NEC)(6701)
ソフトバンクGが「AIとエネルギー」の王道であるならば、「量子」「デジタル・サイバーセキュリティ」「航空・宇宙」「防衛産業」という、国家の安全保障の根幹に関わる複数分野を網羅するもう一つの王道がNEC(6701)です。
政府が巨額の予算を割くこれらの分野において、同社は単なるベンダーではなく、日本のインフラを死守する「防衛線」としての役割を明確にしています。
直近の動向から、以下の3つのテーマが特に注目されます。
「.JPを守る」サイバーセキュリティの要(デジタル・サイバーセキュリティ)
2025年、「.JP(日本のサイバー空間)を守る」という強力なスローガンを掲げ、米国政府の高度なセキュリティ基準(NIST SP800-53)に準拠したサイバー防衛拠点「Cyber Intelligence & Operation Center」を新設しました。
経済安全保障推進法に基づく重要インフラの防衛や、政府機関向けのサイバー対策において、国の指名買いが集中しやすい圧倒的な立ち位置を築いています。
「量子コンピュータの脅威」への先回り(量子 ✕ デジタル)
将来、量子コンピュータが普及すれば現在の暗号技術はすべて解読されてしまう恐れがあります。そこでNECは今年(2026年)2月、官公庁や民間企業向けに「耐量子計算機暗号(PQC)移行方針策定支援サービス」の提供を開始しました。
また、絶対に盗聴されない「量子暗号通信(QKD)」の社会実装も牽引しており、次世代の「信頼の通信基盤」構築という国策の最前線を走っています。
宇宙・防衛ビジネスの本格的な収益化(航空・宇宙 ✕ 防衛産業)
従来の国内向け防衛需要に加え、今年(2026年)3月には豪州政府が調達するフリゲート艦向けに防衛装備品を供給する大型契約を締結するなど、防衛装備品の輸出本格化という新たなフェーズに入っています。
また、日本初の「光通信衛星コンステレーション」や「準天頂衛星システム(みちびき)」の開発中核も担っており、骨太の方針で急務とされる「宇宙安全保障」の予算を強力に吸収していく存在です。
これらの領域は景気動向に左右されにくく、国費によって中長期的な成長が約束されている分野です。
全体相場が崩れた際にこそ、こうした「国策のど真ん中」にある銘柄をポートフォリオの核として拾っていくのが有効な戦略となります。
“次なる”テーマ株
王道の大型株も魅力的ですが、今回の骨太の方針発表を機に、見落とされがちなセクターにも必ず資金の波が来るはずです。
個人的に注目している分野と銘柄を挙げます。
1. 港湾インフラ(港湾ロジスティクス)
17の分野にも明記されている「港湾ロジスティクス」。

経済安保や港湾サイバーセキュリティ強化の観点に加え、米国などにおけるクレーンの脱・中国依存(同盟国化)の動きが追い風となっています。
注目銘柄:三井E&S(7003)
今年(2026年)5月25日に発表された新3カ年計画「Rolling Vision 2026」において、米国やアジア地域に向けて港湾クレーンの増産体制を構築することが明記されました。
人手不足や脱炭素に対応する遠隔・自動化クレーンは、今後国内外で強力なインフラ更新需要を取り込んでいくはずです。
2. 都市鉱山・マテリアル(重要鉱物・部素材)
AI半導体の需要爆発やEVシフトの裏で、レアメタルなどの重要鉱物確保は国家の生命線であり、「資源・エネルギー安全保障」や「マテリアル」分野に直結します。

注目銘柄:
エンビプロ・ホールディングス(5698)
中国へのレアアース、レアメタル依存リスクが高まる中、今年5月には米国が「都市鉱山(廃電子機器等からの資源回収)」によるサプライチェーン再編に本腰を入れ始め、日本企業にも商機が拡大しているとの見方が強まっています。
また、5月末には大阪マラソンの金メダルを都市鉱山の資源から作るプロジェクトが特集されるなど、地政学リスクと環境対応の両面から中長期的なテーマとして再浮上しています。
さいごに
相場全体が恐怖で売られる時こそ、国策という太いテーマに沿った優良銘柄を冷静に拾っていくチャンスです。
来週からの荒れ相場も、しっかりと監視していきたいと思います。

