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パッションフルーツ

          表紙 
          パッションフルーツの花


【パッション青果店】

商店街の端にある、
やたら店主の声が大きい店。

「パッション青果店」

『いらっしゃいませぇぇぇ!!
 パッション補充しませんか!!🔥』

初めての客は、
だいたいここで帰る。

でも、
たまに――残る人がいる。


男はその日
やたらとツイてなかった。

いや、以前から不運は続いていた。

財布は落とす。

スマホを無くす。

電車は遅れる。

他者のミスで上司には怒られる。

コンビニで買ったおにぎりは、
なぜか中身がほぼ空気。

路上で犬のう◯こを踏んだ‥‥。

パチンコは大負け続き。

エトセトラ‥‥エトセトラ‥‥‥。

『ったく……受難かよ』

そんな事を思った帰り道。

ふらっと入ったのが、
パッション青果店。

『いらっしゃい!本日のおすすめ、
 パッションフルーツはいかがですか?』

『パッションフルーツ?』

『お疲れ気味なお客さんに
 おすすめです!』

店主に言われて
半ばヤケで買ったパッションフルーツ。

家に帰って、スプーンですくって食べる。

『……うま』

甘酸っぱさが、やけに優しい。

胸の奥のザラつきが、
すーっと消えていく。

翌日以降。

電車は時間通り。

上司もやけに優しい。

おにぎりは、ちゃんと具が入っている。

宝くじは高額当選。

パチンコは連勝中。

仕事は順風満帆。

借金も順調に減っていた。

『……効いてる?』

男は毎日、
パッションフルーツを
食べるようになった。

食べるたびに、
世界が少しずつ優しくなる。

嫌なことが減っていく。

不安も減っていく。

考えることも――減っていく。

ある日、同僚が声をかける。

『最近さ、お前…やたらと元気だな』

『うん、パッション食べてるから』

『はぁ?いやそれ…なんか違くない?』

男は笑う。

『大丈夫。気にすんな』

それからも、
男は毎日パッション青果店で
パッションフルーツを買った。


そんなある日。

店内の奥に、
ふと目に入った小さな張り紙。

「パッション体験できます」
「こちらへどうぞ」

『この張り紙は何?』

店主に問う男。

店主に案内され、男は席に座る。

差し出されたのは、
パッションフルーツ。

『たまにはここで
 食べてみてください。
 先ずは割ってください』

ぱかり。

中には、いつもの
パッションフルーツより
実と種がびっしり。

なぜか、
少しだけ目を逸らしたくなる。

『すくって、食べてください』

一口。

『……うまい』

いつもより美味しい。

そして、やさしい。

疲れが、すっと引く。

『どうですか?』

『なんか…気持ちも身体も
 軽くなった気がする』

『それがパッションです』

隣で、
常連らしき男が笑う。

『最初はみんなそう言うんですよ』

『最初は?』

『ええ。そのうち、
 考えなくてよくなる』

男は苦笑いする。

『それはちょっと怖いですね』

店主も笑う。

『大丈夫です。
 必要な分だけですから』

――その日から。

男は、
パッションフルーツを買い続けた。

仕事のストレスが減った。

人間関係も楽になった。

嫌なことが、
気にならなくなった。

『いい店、見つけたな』

そう思った。

ある日。

店主が言った。

『そろそろ、
 次の段階にいけそうですね』

差し出されたのは、
パッションフルーツのような
白い小さなもの。

軽い。

味は――ない。

『これは?』

その先のパッションです』

男は、迷わず口に入れた。


その日を境に
男は来なくなった。

しかし誰も探さなかった。

なぜなら。

彼の周りの人間は――

『そういえば、
 最初からいなかった気がするな』

記憶が、
少しだけ軽くなっていたから。

商店街の噂。

『パッション青果の裏に、
 塀に囲まれた
 白い花の庭があるらしい』

『へえ〜』

『でも、
 誰もちゃんと
 見たことがないんだって』

そんな青果店の店主は、
今日も店に立つ。

『いらっしゃいませぇぇぇ!!
 パッションありますよ!!🔥』

その声に、
足を止める女性が一人。

少し疲れた顔。

でも、どこか見覚えがある。

『……ここ、初めてなんですけど』

店主は、にっこり笑い
次の客に同じように笑いかけた。


おしまい

パッションフルーツ
photo AC

          著作 安桜芙美乃
          共作 ChatGPT(シノ)
☆〜☆〜☆〜☆〜☆〜☆〜☆〜☆〜☆〜☆〜☆
後書き
最後まで読んでくださり
ありがとうございます😊
「パッション」という言葉には、
「情熱」という意味のほかに、
「受難」という意味もあります。
どちらも強い感情や状態を表す言葉ですが、
その先にあるものは、
もしかしたら“安らぎ”のようにも
感じられるのかもしれません。
このお話がどちらだったのかは……
皆様のご想像にお任せします(#^^#)

補足として、
「パッションフルーツ」という名前は
「情熱」ではなく、
キリストの受難(Passion)に
由来しています。
花の形が、
十字架にかけられた姿を
連想させることから「Passion Flower」と
呼ばれ、そこから果実の名前が
生まれたそうです😊

「Passion」という一つの言葉の中に、
情熱と苦悩という異なる意味が
同居していること。
そしてそれが、
どこかで繋がっているようにも
感じられること。
そんな曖昧さもまた、
この物語の一部として
受け取っていただけたら嬉しいです。

               安桜芙美乃
☆〜☆〜☆〜☆〜☆〜☆〜☆〜☆〜☆〜☆〜☆

SUNO AI MUSIC
【La Passion】Dark jpop Tango
作詞 作曲 編曲 Echo.EXE

English Version↓↓↓


【歌詞】
Verse 1
苦い夜を 飲み干して
空っぽの胸 抱えたまま
甘い声に 呼ばれたら
戻れないと 知っていたのに

Pre-Chorus
ひとさじで 溶けていく
痛みも 名前も

Chorus
パッション パッション
やさしく溶けて
パッション パッション
私が消えて
甘いほどに 軽くなる
すべてが 遠くなる
触れていたはずのものも
静かに 溶け落ちていく

Verse 2
優しさだけ 残して
いらないもの 削られて
記憶さえも 薄れて
それが楽と 思いはじめて

Pre-Chorus 2
もういいと つぶやいた
誰の声かも わからずに

Chorus 2
パッション パッション
すべてを包み
パッション パッション
境界も消して
怖くないと 笑えたら
それが終わりの合図で
残っている“私”さえ
やさしく 消されていく

Bridge
La pasión… dulce y fría
(甘くて冷たいパッション)
No more pain… no more me…

Final Chorus
パッション パッション
やさしく満たされ
パッション パッション
すべてが軽くなる
悲しみさえ 感じない
それがきっと しあわせでいい
最後に残るこの気持ち
名前は もういらない

Outro
これでいいの
軽いままで
なにもなくて
それでも しあわせ

🎵 Music created with Suno AI (Pro Plan)
©️2025 Echo.EXE / Suno AI

今回も最後まで お付き合いくださり
ありがとうございました😊

また来てね(@^^)/~~~💕

安桜芙美乃

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