ショートショート|金持ち鬼(410字)|#爪毛の挑戦状
鬼は外、福は内。
玄関にいる鬼は、高価な防具を付けています。家主の投げた豆をはじきます。防具のおかげで身体はちっとも痛みませんが、心が痛みました。鬼はとぼとぼ帰ります。
その翌年、鬼は、全身を整形し、人間と変わらぬ見た目になっていました。家主は、訪問者を歓迎し、家に招き入れました。しかし、その者が鬼と分かると、態度を豹変させます。
鬼は外、福は内。
豆が身体に当たります。鬼は逃げ出しました。
その翌年、またもや鬼がやってきました。何かを差し出しています。
鬼は外、福は――。
それを見て、家主は豆を投げるのを止めました。全自動掃除機のプレゼント。毎年、床に落ちた豆を掃除するのも手間でしょう。鬼と家主は、そんな話で意気投合しました。
「来年もきてくれよ」
家主に見送られ、鬼は思います。鬼は外、福は内。それなら、福を持っていけば良い。来年は最高級の大豆にしよう。仲間の鬼に投げられても痛くない、うんと柔らかい大豆。
