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これからのキャリアを、自分の手で選び直す

未経験の一歩が、未来の選択肢を増やしていく
キャリアについて考えるとき、私たちはつい「これまで何をしてきたか」を基準に、これから進む道を決めようとします。現在の仕事で身につけた経験、これまで積み上げてきた実績、周囲から期待されている役割。どれも大切な判断材料です。しかし、それだけを見ていると、いつの間にか「自分にはこの道しかない」と思い込んでしまうことがあります。

私自身も、以前はキャリアとは、最初に選んだ仕事を長く続け、その延長線上で少しずつ役職や待遇を高めていくものだと考えていました。転職や副業に興味を持ったことはあっても、「未経験だから難しい」「今さら始めても遅い」「失敗したら周囲にどう思われるだろう」と、不安を理由に踏み出せずにいました。

けれども、日々の仕事を続ける中で、少しずつ違和感を覚えるようになりました。仕事に不満があるわけではありません。任された業務には責任を持って取り組み、一定の成果も出せていました。それでも、数年後の自分を想像したとき、今と同じ仕事をしている姿しか思い浮かばなかったのです。その瞬間、安定していることと、納得して働けることは、必ずしも同じではないのだと気づきました。

転職を考えたことで見えた、自分の思い込み
転職を意識し始めて最初に行ったのは、求人サイトを見ることでした。しかし、仕事内容を眺めるほど、自分の経験不足が目につきました。応募条件に「実務経験三年以上」と書かれていると、自分には無理だと感じます。新しい職種に求められるスキルを調べれば調べるほど、足りないものばかりが見えてきます。

そこで私は、いきなり転職を決めるのではなく、まず自分の経験を別の角度から整理することにしました。これまで担当してきた業務を細かく分解し、どのような課題に対して、どのような工夫をし、どのような結果につなげたのかを書き出したのです。

すると、単なる「事務作業」だと思っていた仕事の中にも、関係者との調整、情報の整理、問題点の発見、進行管理、相手に合わせた説明など、さまざまな力が含まれていることがわかりました。職種名が変われば価値がなくなると思っていた経験が、実は別の分野でも活かせる可能性を持っていたのです。

未経験とは、何も経験がないという意味ではありません。新しい職種の専門知識が不足している状態であっても、これまで培ってきた考え方や行動の仕方まで失われるわけではないのです。この視点を持てたことは、転職を考えるうえで大きな転機になりました。

副業で試した、小さな挑戦
転職には生活や収入の変化が伴います。考えた末、私はまず副業という形で、興味のあった分野に挑戦することにしました。最初から大きな仕事を受けようとしたわけではありません。オンライン講座で基礎を学び、実際に手を動かし、身近な人の依頼を受けながら経験を積んでいきました。

もちろん、最初から順調だったわけではありません。時間の使い方がうまくいかず、本業との両立に疲れることもありました。思ったような成果物を作れず、自分には向いていないのではないかと落ち込む日もありました。知識のある人の作品を見ると、自分との差が大きく感じられ、始めたこと自体を後悔しそうになったこともあります。

それでも、続けるうちに変化が生まれました。わからないことを調べる習慣がつき、以前なら避けていた課題にも、まずは試してみようと思えるようになりました。依頼された内容を理解し、相手の希望を聞き、形にして提案する過程には、本業で身につけた調整力や責任感が活かせました。未経験の分野であっても、自分がこれまで積み上げてきたものが役に立つ場面は確かにあったのです。

副業を始めたことで、転職するかどうかを決める前に、その仕事が自分に合っているかを確かめられたことも大きな収穫でした。憧れだけではわからなかった難しさを知る一方で、難しいからこそ感じられる面白さも見つけられました。挑戦とは、必ずしも一度に環境を変えることではありません。小さく試し、振り返り、次の一歩を決めることも、立派な挑戦です。

失敗から学んだ、準備の大切さ
挑戦を通じて、私は「やる気があれば何とかなる」という考え方も見直しました。熱意は大切ですが、熱意だけでは継続できません。具体的に何を学ぶのか、いつ取り組むのか、どこまでできれば次の段階に進むのかを決めなければ、挑戦は気分に左右されてしまいます。

そこで、目標を細かく分けるようにしました。最初の一か月は基礎知識の習得、次の一か月は成果物の制作、その後は第三者から意見をもらうというように、短い期間で達成できる目標を設定しました。できなかったことだけでなく、できるようになったことも記録しました。振り返ると、成長は一気に現れるのではなく、小さな変化の積み重ねとして表れていることに気づきます。

また、すべてを一人で抱え込まないことも学びました。経験者に質問したり、同じように挑戦している人の話を聞いたりすることで、自分だけが遅れているわけではないとわかりました。失敗を避けることよりも、失敗したときに修正できる環境をつくることのほうが重要なのです。

これからのキャリアで大切にしたいこと
転職や副業を経験した今、私はキャリアを「正解の道を一度決めること」ではなく、「その時々の自分に問い直しながら選び続けること」だと考えています。環境が変われば、価値観も生活の優先順位も変わります。以前は安定を最優先していたとしても、これからは成長や裁量を重視するかもしれません。反対に、新しいことに挑戦した結果、今の仕事の良さを再発見することもあります。

これからの私は、肩書きだけで自分の可能性を決めないようにしたいと思います。未経験という言葉に立ち止まるのではなく、今の自分が持っている経験を新しい場所でどう活かせるかを考えたい。そして、足りないものがあるなら、学びながら補っていきたいと考えています。

もちろん、挑戦すれば必ず成功するわけではありません。転職先が想像と違うことも、副業が思うように収入につながらないこともあるでしょう。しかし、挑戦しなかった場合、数年後に残るのは「もし始めていたら」という想像だけかもしれません。実際に動いたからこそ得られる気づきや出会いは、結果が期待どおりでなかったとしても、次の選択に活かせます。

キャリアの転機は、特別な人にだけ訪れるものではありません。毎日の中で感じた小さな違和感や、ふと湧いた興味を見過ごさず、自分に問いかけることから始まります。大きな決断を急ぐ必要はありません。情報を集める、学び始める、誰かに話を聞く、小さな仕事を試してみる。その一つひとつが、未来の自分に向けた準備になります。

これから先、どのような仕事を選ぶのか、まだすべてが決まっているわけではありません。それでも、以前のように「今さら遅い」とは思わなくなりました。キャリアは、過去の実績だけで決まるものではなく、これからの行動によっても変えていけるものだからです。

未経験の領域に踏み出すことは、不安をなくしてから始めるものではありません。不安を抱えたままでも、できる範囲の一歩を踏み出してみることです。その一歩がすぐに大きな成果を生まなくても、視野を広げ、自分の可能性を確かめるきっかけになります。

これからのキャリアを、自分の手で選び直していく。そのために、私は学び、試し、振り返ることを続けていきたいと思います。そして、変化を恐れるのではなく、変化の中で自分らしい働き方を見つけていきたいと考えています。未来は、最初から用意された答えではありません。今日の小さな挑戦の先に、少しずつ形づくられていくものなのです。

#これからのキャリア

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