仲間を幸せにできる料理人こそ、プロフェッショナル
料理の力で、人を育て、地域を豊かに。
はじめまして。
東銀座のレストラン「ULU」でシェフをしている、神木亮です。
フランス料理を軸に料理人として歩みながら、商品開発、人材育成、店舗運営、経営改善など、飲食に関わるさまざまな仕事を経験してきました。
料理をつくることは、もちろん僕の原点です。
しかし、料理人人生を重ねる中で、料理人の役割は厨房の中だけにあるのではないと考えるようになりました。
料理人が料理をつくるだけでなく、人を育て、組織をつくり、経営を学び、生産者や地域とつながることができれば、その可能性はもっと広がる。
このnoteでは、料理の技術だけでは語りきれない、料理人の本当の価値について書いています。
教えることから始まった料理人人生
辻学園調理専門学校を卒業した後、最初に就いた仕事は母校の講師でした。
まだ自分自身も学ぶことが多い中で、人に料理を教える立場になりました。
自分が料理をつくれることと、人に教えられることは違います。
なぜ、この工程が必要なのか。
どこを見て判断するのか。
どう伝えれば、相手が再現できるのか。
自分の感覚を言葉にし、相手の成長に向き合う。
振り返れば、この経験が、現在の人材育成やチームづくりの原点になっています。
ベルギー、フランスで学んだこと
その後、日本を離れ、ベルギーとフランスで約6年間働きました。
言葉も文化も、仕事に対する考え方も異なる環境です。
そこでは、料理の技術だけでは通用しませんでした。
自分から学ぶこと。
相手の考えを理解すること。
厳しい状況でも、目の前の仕事に誠実であること。
海外で過ごした時間は、料理人としての技術だけでなく、人として仕事に向き合う土台をつくってくれました。
銀座の厨房で知った、チームの力
帰国後は、ドミニク・コルビシェフのもとで、銀座を中心に約8年間働きました。
その後は料理長として厨房に立ち、ミシュラン一つ星を獲得する経験もしました。
そこで強く感じたのは、料理は一人では完成しないということです。
どれほど良い料理を考えても、厨房とサービスの気持ちが揃わなければ、その価値はお客様に届きません。
料理長の一言や態度によって、厨房の空気は変わります。
スタッフが安心して働けること。
一人ひとりが自分の仕事に誇りを持てること。
同じ目的に向かって、力を合わせられること。
料理の完成度を高めるためには、技術と同じくらい、人を育て、チームをつくる力が必要だと学びました。
「俺の株式会社」で広がった視野
2013年からは「俺の株式会社」で働き、最終的には専務執行役員として、フレンチだけでなく、和食、イタリアン、焼肉など、さまざまな業態の商品開発、人材育成、店舗改善に携わりました。
一皿の料理を追求する世界から、多くの店舗やスタッフ、事業全体を考える世界へ。
現場の料理だけでなく、組織づくりや事業運営に関わったことで、料理人としての視野は大きく広がりました。
料理がおいしいことは、飲食店にとって大前提です。
しかし、それだけでは店を続けることはできません。
売上、原価、人件費、採用、教育、仕組みづくり。
利益が残らなければ、店は続きません。
店が続かなければ、働く人の生活も、生産者との関係も、お客様へ料理を届ける場所も守れません。
この経験から、僕は料理人であると同時に、
食を起点に、人と組織と事業を動かす視点
を持つようになりました。
料理人の価値を、厨房の外へ
料理人には、料理をつくること以外にも多くの力があります。
食材の魅力を見つける力。
その価値を一皿に表現する力。
人を育て、チームをまとめる力。
品質と原価のバランスを考える力。
お客様が過ごす時間を設計する力。
これらの力は、厨房の中だけで使われるものではありません。
生産者と新しい商品をつくること。
ホテルや飲食店の立ち上げ、改善に関わること。
企業の理念や思いを、料理や食体験として表現すること。
地域に眠る食材や文化を、新しい価値として伝えること。
料理人だからこそ見つけられる価値があり、料理人だからこそ結びつけられる人や地域があると、僕は考えています。
今、僕が向き合っている問いは、
料理人の経験を、店の外でどこまで社会に生かせるのか。
ということです。
料理人が経営、教育、発信、地域連携まで担えるようになれば、料理人の社会的な価値は、もっと高められるはずです。
現在、東銀座ULUで
現在は、東銀座にある「ULU」でシェフをしています。
ULUは、カウンター7席と個室からなる小さなレストランです。
店名の「ULU」には、ハワイの言葉で「成長する」「広がる」という意味があります。
料理を食べるだけでなく、人と人との関係や、新しい考え、次の挑戦が生まれる場所にしたい。
そんな思いで、日々お客様をお迎えしています。
小さな店だからこそ、お客様との距離が近く、料理人の表情も、スタッフ同士の空気も隠すことができません。
料理だけでなく、挨拶、言葉、立ち居振る舞い、店に流れる空気まで、すべてがレストランの価値です。
ULUは、僕にとって単に料理を提供する場所ではありません。
これまで培ってきた料理、人材育成、経営、そして人や地域とのつながりを、一つの現場で形にしていく場所です。
このnoteで伝えたいこと
このnoteでは、料理人として現場に立ち続けてきた経験をもとに、次のようなことを書いていきます。
料理人の価値を、技術以外の視点から考えること
人が育ち、チームが強くなる現場のつくり方
良い店と、続く店を両立させる考え方
料理人が知っておくべき数字と経営
料理長の言葉や態度が、組織に与える影響
食材、生産者、地域の価値を伝えること
現場で経験した失敗、反省、そこから得た学び
成功した話だけを書くつもりはありません。
僕自身、今も迷い、失敗し、反省することの繰り返しです。
しかし、失敗した経験も、そこから得た気づきも、誰かの役に立つかもしれません。
自分が経験してきたことを自分の中だけにとどめず、言葉にして、次の人へ渡していきたいと思っています。
料理を通じて、人生を味わう場をつくる
僕が目指しているのは、
料理の力で、人を育て、地域を豊かにすること。
そして、料理を空腹を満たすだけのものではなく、
人生を味わう時間へ変えていくことです。
料理人が正しく評価されること。
働く人が、自分の仕事に誇りを持てること。
生産者や地域の価値が、料理を通して伝わること。
レストランを訪れた人の人生が、少し豊かになること。
その一つひとつを、料理人として形にしていきたいと思っています。
このnoteを読んで、
「この考え方は、自分の事業にも通じるかもしれない」
「食を通じて、地域や商品の価値を高められないだろうか」
「人材や組織について、一度話をしてみたい」
「この人と話せば、何か新しいものが生まれるかもしれない」
そう感じてくださる方がいれば、ぜひお会いしたいと思っています。
料理人と経営者。
立場や専門分野は違っても、人を育て、価値を生み出し、それを未来へつなぐという点では、きっと共通するものがあります。
東銀座ULUで料理を囲みながら、お互いの経験や、これから生み出せることについてお話しできることを楽しみにしています。
神木 亮
東銀座ULU シェフ
Creation Culinaire
