第2話:転職直後に叩き込まれた「今までにない基準と速度」──基準とは“同じ目標に向かう約束”だった
転職して最初に驚いたのは、技術じゃありません。
朝礼でした。
みんなで同じ理念を語り、
仲間を褒める。
「え、飲食でここまでやるの?」
その瞬間、僕は衝撃を受けました。
そして気づいたんです。
ここで言う「基準」と「速度」は、作業を縛るためのものじゃない。
**全員が同じ目標に向かうための“約束”**なんだと。
目次
1)朝礼で分かった。「育成」が仕事の中心にある現場だった
僕がいた現場では、朝礼が“形式”じゃありませんでした。
理念を声に出して確認する
今日の目標を揃える
仲間の良かった行動を褒める
これが、ただの雰囲気づくりじゃない。
育成の仕組みになっていたんです。
人が育つ現場は、偶然じゃなくて設計されている。
入社して最初にそれを体感しました。
2)基準とは「ルール」じゃなく、同じ目標に向かうための約束
僕は当初、基準=細かいルールだと思っていました。
でも違った。
基準の正体は、
全員が同じ目標に向かうために、判断と行動を揃える“約束”。
朝礼で理念や目標を語るのは、
この「約束」を毎日更新していたからだと思います。
3)同じ目標に向かうために、言葉が必要になる
同じ目標があっても、
言葉が曖昧だと現場はズレます。
だから必要になるのが
A=言葉(返事・報連相・伝え方)。
速度も、ただ急かすためじゃない。
ズレを早く見つけて、早く揃えるために必要だった。
朝礼で「今日の目標」と「大事にする言葉」を揃えていたのは、
現場のズレを最小化するためだったんだと思います。
4)同じ目標に向かうために、段取り・品質が必要になる
次に必要なのが
B=段取りと品質。
料理の世界は“個人技”に寄りやすい。
でも、育成を回すには「当たり前」を揃えないといけない。
仕込みの状態
盛り付けの状態
衛生の状態
提供の流れ
Bが揃うほど、新人は早く育ちます。
教える側が「感覚」ではなく「基準」で伝えられるから。
5)同じ目標に向かうために、数字が必要になる
最後が
C=数字。
数字は冷たいものじゃない。
同じ目標に向かっているかどうかを確認する、共通言語です。
どこで詰まったか
何が改善できたか
何を変えれば良くなるか
朝礼で目標を言葉にして、
営業後に数字で確認する。
これが“育成が回る現場”のリズムになっていました。
6)基準×速度の本当の目的は「育成を回すこと」
ここまでまとめると、結論はこれです。
基準=同じ目標に向かう約束(ベクトル合わせ)
その約束を現場に落とすために、
A(言葉)B(段取り・品質)C(数字)が必要になる。
そして速度は、急ぐことじゃない。
揃えるスピードを上げること。
これが揃った瞬間、料理人は「ただのプレーヤー」では終わらない。
人が育つ現場をつくる料理人になれる。
今日の育成の1手:朝礼で「理念→目標→称賛」を3分だけやる
明日、現場でこれだけやってください。
朝礼を3分でいいからやる。
1)理念(大事にすること)を一言
2)今日の目標を一言
3)仲間の良かった行動を一言で褒める
褒めるのは、上手い下手じゃなくて行動で。
例:
「昨日、返事が早くて助かった」
「仕込みの段取りが丁寧だった」
「お客様への声かけが良かった」
基準は、縛るためじゃない。
同じ目標に向かって、育成を回すための約束です。
次回予告(第3話)
次回は、僕が料理長を降りた日の話。
プレーヤーの誇りと、育成側に回る覚悟がぶつかった瞬間を、正直に書きます。
