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第6話:僕の判断軸の正体──人が育つ現場をつくる“根っこ”の話

迷ったとき、あなたは何で決めていますか。
正しさ、効率、売上、上司の顔色、経験則。
料理人の現場には、判断の材料が溢れています。
でも、危機のときほど問われるのは、技術より先に「軸」でした。

この連載で書いてきたことを、最後にひとつにまとめるなら――
僕の判断軸の正体は、これです。

「一緒に働く仲間を、何人幸せにできるかがプロフェッショナル」


価値が上がり始めた瞬間、僕は“軸”で動いていた


第1話で、面接室で聞いた言葉が僕の料理人生を変えた。
第2話で、「今までにない基準と速度」を叩き込まれた。
第3話で、料理長を降りた日、価値が上がり始めた。
第4話で、コロナ禍の危機の先頭に立ち、行動の軸に支えられた。
第5話で、それを“再現レシピ”としてまとめた。

振り返ると、僕が変わったのは「技術」だけじゃない。
むしろ、迷ったときの“決め方”が変わった。

そして、その決め方はいつも「人」に向いていた。

  • 誰の不安を減らせるか

  • 誰が成長できるか

  • 誰の尊厳を守れるか

  • 明日、現場は強くなるか

この問いが、僕の中の根っこになっていった。


「価値観を揃える」より先に、揃えるべきものがある

誤解されやすいけれど、僕は「全員に同じ価値観を持ってほしい」とは思っていません。
価値観は、人それぞれ違うからです。

だから、いきなり「こうあるべき」を押し付けないようにしています。
先に相手の見えている景色(不安・負担・こだわり)を聞いて理解してから、僕の伝えたいことを話す。
それを大事にしています。

その上で、現場で“自然に浸透”させるために揃えるのは、価値観ではなく――

**個人の目標、店の目標、そして目的(なぜやるのか)**です。

価値観が違っても、目指す方向が揃うと、行動は揃いやすい。
逆に、方向が曖昧だと、正しさがぶつかって現場は疲弊していく。


点の指導ではなく「目的→ギャップ→改善→達成」で現場を育てる

現場では、どうしても“その時の事案(点)”に反応しがちです。

ミスが起きた。
遅れた。
味がブレた。
段取りが崩れた。

もちろん放置はできない。
でも、点だけを叱っても、現場は強くならない。

僕が大事にしているのは、いつもここに戻すことです。

  1. 目的・目標は何か?

  2. それに対して、何ができていないか?(ギャップ)

  3. どうしたらいいか?(改善)

  4. 何が達成できたか?(前進の確認)

この流れで話すと、指導が“人格否定”になりにくい。
そして、現場が「前に進む会話」になる。

人は、責められると黙る。
でも、目的に戻ると考え始める。
この違いは大きい。


僕の軸は、現場でいうと「フォローを褒める」に現れる

コロナ禍のような危機の時、現場は簡単に折れます。
だからこそ、僕が徹底したのはこれでした。

ミスした人を責めるのではなく、フォローした人を褒める。

助けた人の行動を言葉にする。
声をかけた人を見逃さない。
守った人に「ありがとう」を伝える。

これを続けると、現場は強くなる。
なぜなら、「誰かが守ってくれる」空気が生まれるから。

その空気があると、人は挑戦できる。
挑戦できる現場で、人は育つ。
人が育つ現場で、料理人の価値は上がっていく。


料理人の価値は、皿の外側で育つ

料理がうまい人は、たくさんいる。
努力している人も、たくさんいる。

でも、任される人には共通点がある。

  • 目的に戻せる

  • 目標を言葉にできる

  • 相手を理解してから伝えられる

  • 点ではなく、流れ(仕組み)で整えられる

  • そして、仲間を守れる

ここに、料理人の“皿の外側の価値”があると思っています。


明日からできる「1アクション」

最後に、1つだけ。
明日からできる、いちばん小さい実践です。

誰かに何かを伝える前に、先に1つ質問する。

「今、いちばん不安なことって何?」
「どこが一番負担?」
「何がうまくいってないと思う?」

相手の景色を理解してから話す。
これだけで、言葉の届き方が変わります。


コメントのお願い(最終回)

この連載は「技術」より先に、**考え方(判断軸)**を整える話でした。
もしよければ、あなたは迷ったとき、何を軸に決めていますか?

一言でも、途中の言葉でも大丈夫です。
コメントで教えてください。僕も学びながら、言葉を磨いていきたいです。

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