一は全。全は一。それは、出会いと別れに似ている。
夢を見た。
いつも着けている使い捨ての「ホットアイマスク」が床に落ちる。
パラシュートをつけているように、ゆっくりと。
目力の強い太陽の眼差しが、私を照らす。
なんだ、やっぱり夢かと思い。
1日人よりも多く生きた、得した気分で早朝の階段を下り。
家族に「おはよう」と告げた。
4月3日(金)、今日の夢を振り返る…。
誰とも分からない家を掃除していた。
ベランダに向かう大きなガラスの扉に目をやると。
透き通る美しい水が見えた。
どうやら、外は大災害、大洪水のようだ。
奥には陸のようなものが見える。
どうやら、私のいる家は間もなく水に飲み込まれるらしい。
不思議と頭はクリアで。まぁまぁ、夢でしょ。
そんな風に思いながら風景を楽しんでいた…。
透き通る水、一筋の光、まるで自分が魚になったようだ。
でも、冷静に考えてみる…水族館の魚?
いや。私は海の魚でありたい。
と言って、夢から覚めた。
久々に見た夢を、夢分析にかけてみると。
ストレスからの解放。新たな自分を発見。
運気の好転、と書かれていた。
良いことは素直に受け取るタイプ。
今日も良い事あるかも。
春は「出会い」と「別れ」の季節。
今日から来る新入社員に期待を膨らませ。
家を後にした。
ダーク・ファンタジー漫画『鋼の錬金術師』は、錬金術を通して出会いと別れを秀逸に表現する。
主人公エルリック兄弟(通称、エドとアル)は、自分たちの母親を死の世界から呼び戻すために禁忌とされる「人体錬成」を行う。失敗の代償として、エドは右腕と左足を、アルは身体(魂のみ)を失う。
人体錬成を通じて「真理の扉」を開いた事で大きな力を得た。錬金術における知識、技能、全てが最高レベルとなった。
しかし、2人には大きな心の傷を残した……。
そして、兄のエドワードはもう一度、真理の扉を開いて、弟アルフォンスの身体をサルベージすること誓う。
この作品は、錬金術師たちが人体錬成(禁忌の術)と向き合う物語。
過去と向き合うか、過去に止まるか。皆、選択を迫られる。
そして、キーアイテム「賢者の石」からも目が離せない。
一は全。全は一。
エルリック兄弟の根底にある考え方。師匠直伝。
学生時代は何回読んでも意味が分からなかった……。
ワンフォーオール、オールフォーワンみたいな、人のためと皆のためと思っていた。
30歳を超えた今では、少し別の視点で見れるようになったことが少し嬉しい。
1人のヒトを例に考えてみる。
遠くから見れば全体で1つの塊と見える。近くに寄る、顕微鏡を使うと何億もの細胞が集まり1つの塊がバラバラの集合体に見えてくる。外見か中身かの違い。これが一でも、全でもある状態だ。
俺の中にいる、536,329人全員との対話を終えている。

私は、エルリック兄弟の父親ヴァン・ホーエンハイムがとても好きだ。
賢者の石の謎を解く事に一生を捧げた。
その謎を解くと、自分の特性「不老不死」を解除できるのだ。
この作品の登場人物は、何かしらの悩みを抱え、賢者の石を追い求めている。
そして、どの大人たちも自分の信念のために動く。カッコいい。
その中でも、ホーエンハイムは特に魅力的だ。
自分を救ってくれた妻と一緒に死ぬために、魂たちとの対話の旅に出る。
しかし、真理に辿り着いた時、妻の寿命が尽きてしまう。
この場面は辛くて、何度も泣いてしまった。
さらに、追い討ちがホーエンハイムを襲う。
自分が不老不死であることは誰にも言えないため、結果として妻にも子どもたち(エド、アル)に嘘をつき、ダメな夫を演じる。その結果、エドとアルの信頼を……そして、2人は禁忌の術に手を染め、身体を失う。辛すぎる。
この物語は、多くの魂が犠牲となり、新しい魂を生む。
まるで、出会いと別れを繰り返す。輪廻転生のような、そんな世界観。
錬金術は、宇宙の真理になぞらえられることもある。
それを見事に表現した作品、それが「鋼の錬金術師」なのである。
まさに、名作だ。
「人よりも長く生きすぎるなんて、しんどい事ばかりだと思っていた。だけど、君(妻)や息子たちに会えて。生きてて良かったと心から思うようになったよ。充実した人生だった、そうさ十分だ…。……ああ、くそっでも、やっぱり、死にたくねぇなぁと思っちゃうな」

優しく穏やかな性格。奴隷として生き、不老不死として生き、最後は人として生きたホーエンハイムらしい言葉。
ホーエンハイムがエルリック兄弟に最後に残すもの。
この場面は涙腺崩壊、確定だ。ぜひ、何を残すかは本編で確認してほしい。
私もホーエンハイムのように、救ってくれた人のために人生を、時間を使う生き方をしたい。
この作品はアクションも、イラストも一級品。
でも、大人たちの生き様を追う作品。
カッコいい大人に憧れて、人生をちょっと頑張ろうかなって思わせてくれる。
マスタング大佐やキング・ブラッドレイ、アームストロング少将など、他にも魅力的な人物が沢山いる。
この物語が、私の弱った背中を押してくれる…。
よし。決めた。
今日の1on1(面談)は、ホークアイ中尉みたいにキリっと決めてみよう。
そう心に誓い、職場の扉を開くのであった。
