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逆転のフルスイング 〜俺たちのWBC 西成から愛を込めて & 追加2話 延長戦 俺たちのフルスイング〜

これまで公開していた
「逆転のフルスイング」全7話と
その後の物語「延長戦」2話を
追加しまとめた完全版です。


逆転のフルスイング〜俺たちのWBC 西成から愛を込めて〜 全7試合


※本作はフィクションです。実在の団体・人物とは関係ありません。

【第1試合 俺たちの大黒屋】

いつものように大黒屋でやっさんとたけさんは

昼間から飲んだくれていた

西成の大衆酒場では見慣れた風景だ。

どのタイミングで出来上がったのかは

わからないがすでに出来上がっている

やっさんが日刊スポーツの一面を見ながら


「来週からWBCやな」

といつもの調子で店中に聞こえるくらいの大きな声で

隣にいるたけさんに話しかけた

「やっさん、WBCは見られへんよ」

とたけさんが悟っているような口調で

やっさんへ伝えた

「なんでや」

「今回のWBCはなんやネットフなんちゃら、
なんやったけネットフリックやったかな」

するとカウンターの向こうから大黒屋の大将が

「いやたけさんそれネットフリックスやで」

「おーそうやそうやネットフリックスとかいう
アメリカの会社が放送するらしいんよ。だからテレビじゃ見れんのよ」

するとやっさんはスポーツ新聞の一面をたけさんに見せつけた

「なんやそれ、おいサトテル見れんのか!」

「そやサトテル見れんのよ」

「なんやそれほんまに、どないしたら見れんのじゃ」

「なんかインターネットでなんや契約したら見れるらしいぞ」

「そんなん言ってもやり方わからへんわ」

「ネットフリックに入ったら見放題らしいぞサブスクとかなんとか」

「なんやサブスクって食いもんか!
ようわからんわ、それスリーアウトや!」

脂ぎったカウンターを拳でドンと叩き、ジョッキのビールを飲んだ。

すると大将が苦笑いしながら

「やっさん食いもんちゃうわ、でもってたけさんネットフリックスやで」

「どっちでもええわ」

と間髪入れづにやっさんとたけさん二人同時にツッコミを入れると

残ったジョッキのビールを飲み干した。


その時休日で昼飯を食べにきていた
中西はカウンター越しにその話を聞いていた。


第1試合ゲームセット

次回【第2試合 俺たちのプロ野球】 へ続く


【第2試合 俺たちのプロ野球】

遡ること4ヶ月前

大阪ビジネスパーク近くの読売テレビ本社では急遽

幹部や担当者が招集され緊急会議が開催された。


開口一番、

岡田部長が

「今回のWBCはネットフリックスの独占契約で
民放やNHKですら何も放送ができないことになった」

「みんなには必死に準備してくれていたのに
本当に申し訳ない」

と震える拳を会議室のテーブルの下で固く握りしめて

こみ上げてくる無力感を無理やり喉の奥へ

押し込むと、絞り出すような声で皆に頭を下げた。



するとテーブルの奥に座っていた中西が

「部長日テレは何も動かなかったんですか、
民放合同とかでもどうにもならなかったんですか」

と立場はわかっているが抑えることが

できなという表情で部長に問いかけた

「中西、すまん。今回はWBC側と
ネットフリックスが日本側との話もなく
早々に契約を締結してしまっったのだ。」

「しかも150億円という日本側にはどうにもできない破格の契約だそうだ。」

「部長、ということはネットフリックス
加入すれば見れますが、
高齢者とかネット環境揃ってない人とかは
厳しいですよね」

「そうなんだ、日本のプロ野球は世界の野球とは
違い小さい子供からお年寄りまで、
しかもWBCは毎回国民みんな熱狂する
大会なのに、、、
テレビで放送ができなく
ラジオのみだ、、、今時ラジオで聴くとか、、
本当に申し訳ない」


「部長が謝ることではないですよ、
完全に外資のビジネスゲームになってしまいましたね」

「そうなんだ。」

と項垂れながら岡田部長は自分の席についた。
.
.
.
そして中西は会議が終わり今日の仕事を終えると、

そのまま帰宅しようと思ったが

どうしても飲まずにはいられず、

帰宅途中にある西成の酒場に寄ることにした。


そして中西は大黒屋の暖簾をくぐった。


暖簾の先のテレビでは金曜ロードショーの

アルマゲドンが放送されており

やっさんとたけさんがジョッキ片手に見つめていた


そしてこの日から数カ月後

ついにWBCが始まった。

第2試合ゲームセット

次回【第3試合 俺たちの生放送】へ続く


【第3試合 俺たちの生放送】

中西はWBCを間近に控えて街の声の

生放送取材に西成に行くことになった


該当インタビューをしている女性アナウンサーを

見守りながらも中西は生の声を聞いてより一層

悔しさが込み上げてきた。


「なんやテレビやんけあれ」と
やっさんが大黒屋へ行く途中で

生放送をしているカメラを見つけた。


「なんやわしが国民代表してしゃべったるわ」
と息巻くと

やっっさんは生放送のカメラに
いきなり入り込みマイクを奪った。


「おい!お前ら読売やろ、WBCテレビ放送も
できんとこんなことして何がおもろいんじゃ!

アウトやアウト!スリーアウトじゃ!
サトテル隠して何がおもろいんんじゃ!
ワレ、 おいカメラマンわしを映せ!」


中西はそのまま放送を続けたい気持ちを

押し殺し止めに入った


「気持ちはわかりますが生放送ですのですみません」

といいやっさんをその場からどかそうとしたが、

「なんや坊主、わしのことなめとんのか!
いてまうぞ!」

というとやっさんは中西の顔を思いっきり

生放送のカメラの前で殴っていた。
.
.
.

大黒屋の大将がやっさんの身元引受人として

警察から連れて帰ってきた。

「やっさん、あんまり無茶しちゃいかんよ」

「うっさい関係ないやろお前は」
とやっさんはまだ収まりがつかない様子だった

すると大将が
「やっさんな、あのテレビ局の中西って子な
前にうちに来たんよ。
そんときな、

一生懸命準備してたのにテレビで放送できない
こととか、見れない人が出てしまって悔しいし
申し訳ないってここで一人泣いてたんよ」


「、、、、」
やっさんは何も言わずビールを飲みながら

ただ大将の話を聞いていた。


「そして俺がな、気にしちゃあかんよと伝えたら、
まだ可能性があるならできることやってみます。

だっておかしいですよ、WBCが放送されないなんて、
とかいってほんまに動いてたんらしいよ。」


「そんでな先月かな、また中西くん来たんやけど
勝手にNHKとか関係するところに動いてたら
会社からこっぴどく怒られたらしいで」

と大将自身も悔しさを抑えるようにやっさんに話した
.
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.
そして
その日の生放送の映像はSNSで拡散された。

予想外だったのは

やっさんの声が届いたのか讀賣テレビには
多くの苦情が寄せられていた事だった。


第3試合ゲームセット

次回【第4試合 俺たちのラジオ】へ続く


ここまで読んでくださってありがとうございます。

物語はここから
やっさんたちのフルスイングが
本物の意味で始まります。


【第4試合 俺たちのラジオ】

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