『いまあなたに伝えたいこと。時空を 超えて、36歳の私へ託す手紙』
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窓から差し込む柔らかな光。
テレビからはお気に入りのアニメの主題歌や、プロ野球中継の熱狂的な歓声が聞こえてくる。
かつての私なら、この光景を「贅沢すぎる」と罪悪感すら抱いたかも しれません。
でも、46歳になった時を振り返ると、私は深く椅子に腰かけていた時間を
噛み締めていました。
立ち直るまでに、10年。
長かったけれど、ようやく私の日常は、本来の穏やかさを取り戻して
いました。
34歳。
念願だった自分の会社を設立し、最初の2年は順調に滑り出したはず
でした。
けれど、経営の世界は残酷なほど速く変わります。
3年目、仕入れ先からの「商品価格」の改定と、取り扱い商品の変更。
それに対応できるだけの知識も経験も、当時の私には不足していました。
自分の実力不足を、突きつけられた瞬間でした。
36歳の私は、会社を維持するために自分を追い込むことでしか立ち上がれませんでした。
午前3時、冷え切った空気を切り裂く新聞配達。
その足で、清掃会社の「ゴミ収集大型車」に乗り込み、街中を回る
「派遣ドライバー」の仕事。
汚れた体にシャワーを浴びて気合を入れ、そしてようやく、本業である自営での商品の販売・配達。
寝る暇さえ惜しんで踏ん張った、壮絶なトリプルワークの日々。
バックミラーに映る自分の顔は、悲痛なほどこわばり、余裕なんて1ミリもありませんでしたね。
あの時の私に、いま伝えたいことがあります。
「実力不足だった」と自分を責め、あの日々を歯を食いしばってつないで くれたからこそ、いまの私がいるのだと。
立ち直るまでに10年という歳月を要しました。
けれど、その時間は決して無駄ではありませんでした。
あの過酷な日々を通り抜けたからこそ、いま手にしている
「好きな番組や動画を見て笑える時間」の尊さが、誰よりも深く、身体に 染み渡っています。
36歳の、あの悲痛な顔をしてハンドルを握っていた私へ。
もう、そんなに自分を追い詰めなくていいんだよ。
頑張りすぎなくても、世界はちゃんと回っていく。
あなたが必死に守ろうとしたものは、形を変えて、ちゃんと未来の私に 届いているから。
いま、私は休日には穏やかに笑っています。
あなたが託してくれたバトンは、最高に幸せな形で受け取りました。
ありがとう。
もう、ゆっくり眠っていいんだよ。
黎音 貴士(れいおん たかし)
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チップありがとうございます。
静かに受け取らせていただきました。