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#141やる気は「上げる」ものではない。「消さない」ものだ。

「やる気がない子どもが多いんです」

現場でよく聞く言葉です。
でも私は、この言葉に少し違和感を覚えます。

本当に、子どもたちは最初から「やる気がない」のでしょうか。

むしろ逆ではないか。
子どもは本来、学びたがる存在です。

新しいことを知りたがり、できるようになりたがり、誰かと関わろうとする。
好奇心も創造性も、生まれながらに持っている。

それなのに、学年が上がるにつれて「やる気がない」と言われる子が増えていく。
これは、子ども側の問題なのでしょうか。

私は、「環境の問題」だと考えています。

やる気を左右する、たった3つの条件


人が内発的に動き続けるためには、3つの条件があります。

それが
有能感・自立性・関係性です。

これは心理学の分野でも広く知られている考え方ですが、教室に当てはめると非常に示唆的です。

まず、有能感。
これは「自分にもできそうだ」と感じられる感覚です。

どれだけ魅力的な授業でも、「どうせ無理だ」と思った瞬間に、子どもの思考は止まります。
大切なのは、成功体験そのものよりも「できるかもしれない」という予感です。

課題を小さく区切る。
できた瞬間を見逃さずに価値づける。
他者との比較ではなく、本人の成長に目を向ける。

こうした積み重ねによって、有能感は育っていきます。

次に、自立性。
これは「自分で選んでいる」と感じられる状態です。

同じ学習内容であっても、「やらされている」と感じた瞬間に意欲は下がります。
逆に、「自分で決めた」と思えるだけで、人は驚くほど主体的に動き出します。

やり方を選ばせる。
取り組む順番を選ばせる。
考えや意見を尊重する。

ここで重要なのは、自由=放任ではないということです。
教師が適切に設計した「選択肢」の中から選べることが、自立性を支えます。

そして、関係性。
これは「ここにいていい」と感じられる安心感です。

安心できない環境では、人の脳は学習よりも防御を優先します。
間違えたら否定されるかもしれない。
笑われるかもしれない。

そう感じている状態で、主体的に学ぶことは難しいでしょう。

否定しないこと。
つながりをつくること。
存在そのものを認めること。

関係性は目に見えませんが、教室のすべての土台になります。

教師の役割は「やる気を与えること」ではない


ここまで見てきたように、
子どものやる気は「外から与えるもの」ではありません。

もともと内側にあるものです。

だからこそ、教師の役割は変わります。

やる気を引き出すことではなく、
やる気が消えない環境をつくること。

有能感・自立性・関係性が満たされているとき、
子どもたちは自然と学びに向かっていきます。

逆に、このどれかが欠けたとき、やる気は簡単に失われてしまう。

環境は、設計できる


「やる気がない」と感じたとき、
私たちはつい子どもに目を向けてしまいます。

でも本当に見るべきなのは、環境です。

課題の出し方は適切だったか。
選択の余地はあったか。
安心して発言できる空気だったか。

教室の空気は、偶然できあがるものではありません。
教師の言葉や関わり、授業の設計によって形づくられます。

つまり——
環境は、設計できるのです。

おわりに


やる気は、上げるものではありません。
そして、無理に引き出すものでもありません。

大切なのは、消さないこと。

子どもたちは、本来学びたがっている。
その前提に立ったとき、私たちの関わり方は大きく変わります。

教師は、「教える人」である前に
環境を設計する人なのかもしれません。

教室が変わるかどうかは、
子どもではなく、環境で決まる。

そう考えると、明日からの一つ一つの選択が、少し変わって見えてきます。

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