粘性流体の物理を理解すること -1-
物質の三態における「液体」と「気体」を総称した表現(流体)の力学的特性を見るための学問を「流体力学」と言います。
流体力学は連続方程式、運動方程式、エネルギー方程式の3式を支配方程式とします。流体の性質次第で各方程式の内容は変わります。
今回は現実的な流れ場とされる「粘性流体」について、物理を見ていきます。

粘性流体は流体要素に生じるせん断応力に基づきます(ニュートン・ストークスの法則)。せん断応力とそれに対応するひずみ速度の間には、線形関係が成立します。
本連載の初回では、粘性流体の大局的な力学特性をひと通りまとめます。

粘性流体の基礎方程式
引き続き、本連載では非圧縮性流体を原則的に対象とします。非圧縮性粘性流体における連続方程式は次の通りです。
$${\textrm{div}\,\bm{u}=0}$$
流体密度$${\rho}$$は定数扱いとして、運動方程式は次の通りです。
$${\frac{\partial \bm{u}}{\partial t}+(\bm{u}\cdot\textrm{grad})\bm{u}=-\frac{1}{\rho}\textrm{grad}\,p+\nu\Delta\bm{u}+\bm{K}}$$
ここで、$${\nu}$$は運動粘性率、$${\bm{K}}$$は体積力です。
連続方程式と運動方程式から、未知数は圧力と流速に絞られます。

次に、体積力$${\bm{K}}$$は保存力(ポテンシャル:$${\Omega}$$)であると仮定します。
$${\bm{K}=-\textrm{grad}\,\Omega}$$ , $${p_*=p+\rho\Omega}$$
ここで、$${p_*}$$は体積力を無視した際の圧力です。
流体運動を特徴付ける代表値(代表長さL・代表速度U)を定義し、無次元化を施します。
$${\textrm{div}'\,\bm{u}'=0}$$
$${\frac{\partial \bm{u}'}{\partial t'}+(\bm{u}'\cdot\textrm{grad})\bm{u}'=-\textrm{grad}'\,p'+\frac{1}{R}\Delta'\bm{u}'}$$
定数($${R=LU/\nu}$$)は「レイノルズ数」で、粘性流体の大局的な分類に繋がる指標です。
また、非圧縮性粘性流体の運動はレイノルズ数が相等しく、境界が幾何的に相似であるならば、流れ場も相似性が成立することが知られています(レイノルズの相似法則)。

粘性流体の渦度方程式
体積力が保存力であることを踏まえて、粘性流体における渦度を考えます。
$${\bm{\omega}=\textrm{rot}\,\bm{u}}$$
前述した運動方程式を踏まえて「渦度方程式」を導きます。
$${\frac{\partial \bm{\omega}}{\partial t}=\textrm{rot}(\bm{u}\times\bm{\omega})+\nu\Delta\bm{\omega}}$$
第1項は渦度の対流、第2項は粘性による渦度の拡散を表します。レイノルズ数が小さい場合は拡散項が、大きい場合は対流項が卓越します。
粘性流体が物体周りで引きずられることで、物体表面に渦度が発生します。そこから、対流と拡散により渦は周囲に伝播します。また、レイノルズ数の大小で、伝播過程に違いが現れます。

実例として、円柱に向かう一様流に対する円柱後方の流れ場を見てみます。レイノルズ数が2桁を超えると、円柱後方で「カルマン渦」を形成するようになります。
レイノルズ数が5桁以上に届くと、流れ場の規則性が崩れて、いわゆる「乱流」の状態になります。
上記の流れ場の様相は、物体周りに働く抵抗Dと相関があります。直径dの円柱の単位長さ当たりに働く抵抗として、次のように規定します。
$${D=\frac{1}{2}\rho{U^2}d\cdot{C_D}}$$
抵抗係数$${C_D}$$はレイノルズ数が乱流の範囲まで高値でなければ、定数として扱うことができます。

おわりに
昨年度に引き続き、流体力学の自己学習です。粘性流体ということで、より本格的な流れ場の解析的な考察をしていくことになります。引き続き、よろしくお願いします。
今回は昨年度のおさらいも追加して、粘性流体の基本的な性質を確認しました。次回は流体力学の基礎方程式を起点に、代表的な粘性流をいくつか見ていきます。
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最後まで読んで頂き、ありがとうございます。この記事があなたの人生の新たな気づきになれたら幸いです。今後とも宜しくお願いいたします♪♪
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