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材料力学からの変形問題の理解 -1-


まえがき

微分積分をはじめとする高等数学を踏まえて、様々な物理学に対する見方をテーマを決めて、連載形式で発信します。

これまで、物理学の中でも「質点」「剛体」の力学を主に扱いました。今回は「連続体」の力学をテーマに掲げます。

物体の運動と変形の両方を考慮する物理モデルを「連続体」と言います。変形は、物理的に作用する外力を通して物体に生じる形状変化を指します。

物理モデルとしての連続体の定義

物体(連続体)の運動と変形に起因した構造物の強度や耐久性について、定量的に理解するための学問を「材料力学」と言います。大学の機械系学科では必須の教科であり、機械や建物の構造設計では重要な学問です。


  1. 物体(連続体)の変形問題 →【今回】

  2. 物体の変形の力学的表現(1)

  3. 物体の変形の力学的表現(2)

  4. 変形の単軸&多軸的理解

  5. 変形の大局的分類と現象理解


初回は原理原則の話として、変形問題の意味を数学で記述する前に、物理を踏まえた巨視的(マクロ)な観点から考えます。また、今回の連載記事を通して「材料力学」を理解するための入口としていきます。

変形問題を理論的に考える

材料力学では、変形という現象を定量的に示す物理量として「応力」「ひずみ」と呼ばれる言葉が登場します。

本シリーズでそれらを数学的に追いかける前に、立ち止まって考えてみたい問いがあります。

そもそも、変形とは何なのでしょうか?

物体が「曲がる」や「伸びる」や「凹む」という現象について、私たちは日頃から感覚的な言葉で済ませようとします。

材料力学では、これらの「変形」と総称される現象について、より厳密に扱います。

なぜなら、材料力学は形が変わる現象そのものを定量化し、理論的に評価する学問だからです。

架橋構造ではH鋼を利用します。断面形状が肝です。こうした知恵が材料力学の賜物です。

こうした知識を携え、多くの構造物の設計が行われます。一般的に機械や建物は造られた後から再構築することは難しく、仮に損壊して機能が失われるとなれば、相応の社会的損失が生じます。

このことからも、材料力学は非常に重要とされる学問なのです。

変形と剛体運動の違い

材料力学という枠組みで「連続体」という物理モデルを扱う際に、最初に押さえたいのは、変形と剛体運動は異なるという点です。

物体が空間で並進運動や回転運動をしても、物体内部の点と点の距離は変わりません。このような運動は「剛体運動」と呼ばれ、材料力学でいう変形には含まれません。

剛体運動(並進・回転)の概要(過去記事より流用)

一方で、物体に引張・圧縮荷重が作用すると、物体は伸縮を起こして形状に歪みが生じます。そのとき、物体内部の点同士の距離も変化します。

つまり、材料力学における変形とは、物体内部の相対的な位置関係が変わることを指します。この視点を持つことで、物体(連続体)を「連続的に分布した点の集合」として理解できます。

言い換えるならば、従来の質点・剛体力学で取り上げてきた、物体自体の移動(変位)を見るだけでは、材料力学では不十分なのです。

物体の変形と剛体運動の違い(概要図)

繰り返しますが、材料力学での関心事は、物体内部の点(座標)の同士の相対的変化です。この考え方は、後に登場する「ひずみ」という物理量の理解に繋がります。

ひずみは物体内部の点(座標)の変位そのものではなく、変位の変化率で定義されます。その背景には「変形とは距離関係の変化である」という認識が存在するのです。

材料力学で扱う基本形態

材料力学では、変形を次の5種類の基本形態に分類して扱います。個別の現象として捉えるより「変形の現れ方を整理した代表例」と考えると理解しやすいです。

物体(連続体)の変形に関する5分類

実際の構造物では、ある箇所では引張、別の箇所ではせん断と変形が複合的に発生することも珍しくありません。

この分類が有効なのは、構造物において「何処にどのような変化が生じるのか」を細かに整理することで、微視的(ミクロ)と巨視的(マクロ)の双方から状態を把握するためです。

なお、引張・圧縮・せん断は最も基本的な形態であり、理論的には、引張と圧縮を総称した「垂直力」とせん断力に分けて考えます。

おわりに

今回のテーマは「材料力学」を踏まえた物体の運動と変形ということで、まずは「変形」という現象が意味することから確認しました。

材料力学に限らず、大学で履修する機械工学系の科目(学問)は、公式の暗記を目的に置いてはいません。応力やひずみが関係する方程式は「変形をどのように捉えて、どのように評価するか?」という問いでもあります。

変形とは何か。何が起きたときに「変形した」と言えるのか。

この感覚を最初に押さえることで、今後で登場する数式や理論が、単なる操作ではなく、現象を表現する言語として見えてくると思います。


  1. 物体(連続体)の変形問題

  2. 物体の変形の力学的表現(1)→【次回】

  3. 物体の変形の力学的表現(2)

  4. 変形の単軸&多軸的理解

  5. 変形の大局的分類と現象理解


次回は、材料力学における変形問題を理論的に見るために、数学的に表現する過程を確認していきます。

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最後まで読んで頂き、ありがとうございます。この記事が、何か皆さんの未来を変えるキッカケになれたら幸いです。
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