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質点&剛体系の振動問題 -1-


まえがき

微分積分をはじめとする高等数学を踏まえて、様々な物理学に対する見方をテーマを決めて、連載形式で発信します。

今回は、前回の話題「質点と剛体の運動学」の続きで「振動問題」をテーマに取り上げます。

振動を数学的に考えると「物体が同じ経路を周期的に行き来する事象を三角関数や指数関数を組み合わせて表現すること」に行き着きます。

力学は原則的に「ニュートンの運動法則」に従うことを踏まえて、物体運動を数学的に記述する。その流れは同じです。


  1. 1質点系の単振動問題 →【今回】

  2. 減衰を考慮した1質点系振動

  3. 外力を考慮した1質点系振動

  4. 単一剛体系の振動問題


今回は1質点系(最終回は単一剛体系)に対象を絞り、振動問題の基本的な考え方を説明していきたいと思います。

1質点系のバネマスモデル

まずは、1質点系の「バネマスモデル」を設定して、最も簡単な振動問題である「単振動」について考えます。

バネマスモデル:バネと質点(質量)でモデル化された単純な動解析モデルを指します。構造物の時間的な運動を考える時に、初期検討の一環で構造を複数のバネと質点(質量)で簡略化することで、物理現象の大局的な把握に役立てます。

バネマスモデルの意味について

バネは壁と質点に接続され、バネの自然長からの伸縮に応じて反発する力が発生します。また、質点は摩擦が生じない滑らかな床上を動きます。

1次元・1質点系のバネマスモデル(単振動問題)

ここで、質点の質量mとバネ定数kは定数扱いです。また、質点の変位xは時間tを独立変数とした関数です。

バネが自然長である時の質点の位置を「変位はゼロ」とし、バネに伸縮を与えた後に質点を解放した瞬間を「時刻はゼロ」と仮定します。


今回も「ニュートンの運動法則」に従い、バネマスモデルに対して運動方程式を導きます。

バネに発生する力は、高校物理で学習する「フックの法則」に従い、伸縮に対して反発する力Fを仮定します。

$${F=-kx}$$

ここで、符号がマイナスになるのは「変位の向きと反対に力が働くこと」を意味します。

ここから、運動方程式は次の通りになります。今回は1次元問題を仮定しているため、変位はスカラー量で扱います。

$${m\frac{d^2x}{dt^2}=-kx}$$ → $${m\ddot{x}=-kx}$$

$${\ddot{x}}$$は変位xの時刻tによる2階微分を意味し、以降は便宜的にこのように表記します。以上が1質点系のバネマスモデルの運動方程式であり、単振動問題を考える際の出発点になります。

単振動の数学的解法

前述の運動方程式を次のように変形します。ここで、以降の説明を分かりやすくするために、新たに定数$${\omega^2=k/m}$$を設けます。

$${\ddot{x}+\frac{k}{m}x=0}$$ → $${\ddot{x}+\omega^2x=0}$$

これは微分方程式の中では「2階定数係数斉次常微分方程式」と呼ばれており、このような形の方程式については、解は単純な三角関数の足し合わせで表現されます。

$${x=A\textrm{cos}(\omega{t})+B\textrm{sin}(\omega{t})}$$

ここで、AとBは積分定数です。今回の初期条件として、質点の初期配置を有限の値で規定し、初速度はゼロであるとしています。これより、積分定数を求めます。

初期条件:$${t=0}$$で$${x=R}$$ , $${v=\dot{x}=0}$$

変位(特殊解)は次の通りです。

$${x=R\textrm{cos}(\omega{t})}$$

前回も触れたように、初期状態の決め方で制約条件も変わるため、それに応じて特殊解も変わる点に注意します。


先述の$${\omega=\sqrt{k/m}}$$はバネマスモデルの定数で決まる「角振動数」です。バネが硬い(バネ定数が大きい)ほど振動は速くなり、質点の質量が大きいほど振動は遅くなります。

また、角振動数は等速円運動で登場する「角速度」と同等の意味を持つとされています。

等速円運動する質点が1周するのに要する時間(周期)をTとすると、角速度は次のように表されます。

$${\omega=\frac{2\pi}{T}}$$

周期Tを単振動に準えるならば「質点がある位置から次に同じ位置になるまでに要する時間」と等価であるということです。

等速円運動と単振動を同列で扱う理由として、等速円運動をする物体に光を当てると、背後に映る影の動きが単振動の動きになるという実験結果があります。

単振動と等速円運動の類似点(出典:https://juken-mikata.net/how-to/physics/tanshindou.html)
単振動と等速円運動の関係図(出典:https://juken-mikata.net/how-to/physics/tanshindou.html)

以上が単振動の数学的解法になります。なお、2階定数係数斉次微分方程式は解法が複雑であるため、別途解説します。

おわりに

今回のテーマは質点と剛体の運動学の話題から派生して、振動問題について考えました。

初回は最も簡単な単振動を扱いました。次回は追加で粘性(減衰)が存在する場合の1質点系の振動問題ついて考えます。


  1. 1質点系の単振動問題

  2. 減衰を考慮した1質点系振動 →【次回】

  3. 外力を考慮した1質点系振動

  4. 単一剛体系の振動問題


運動方程式や微分積分の背景知識については、前回の連載「質点と剛体の運動学」で説明していますので、合せて参照頂ければと思います。

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最後まで読んで頂き、ありがとうございます。この記事が、何か皆さんの未来を変えるキッカケになれたら幸いです。
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