「嫌だ」を考え続ける心は、何を守り、何を壊すのか
はじめに
「嫌だ」と感じることは自然です。
けれど苦しいのは、その瞬間だけではありません。
あとから何度も思い返し、嫌だったことを確かめ続けてしまうことがあります。
そのとき人は、何を守ろうとしているのか。
何を手放せずにいるのか。
そして、「嫌だった」を消さずに、そこから自由になることはできるのか。
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1. 「嫌だ」は感覚だが、苦しみはそのあとに増える
最初の「嫌だ」は、かなり正直な反応です。
身体や心が、「これは合わない」と先に知っている。
だから、その反応そのものを否定する必要はありません。
ただ、苦しさを長引かせるのは、その次です。
・本当に嫌だった
・なぜあんなことが起きたのか
・また同じことが起きるのではないか
こうして「嫌だ」は、感覚から反復へ変わります。
必要なのは、最初の感覚まで疑うことではなく、反復が始まった地点に気づくことなのだと思います。
2. 傷ついたのは、出来事そのものか、それとも守っていた自己像か
最初に傷つけるのは、たいてい出来事そのものです。
その痛みは現実です。
けれど、長く尾を引く苦しさは、しばしば「崩れた自己像」にあります。
・軽く扱われるはずではなかった
・もっと平気でいられるはずだった
・こんなことで揺らぐ自分ではないはずだった
人は、出来事だけでなく、「こうでありたかった自分」が崩れることでも傷つきます。
だから大事なのは、あれは嫌だったと認めたうえで、いま苦しいのが出来事そのものなのか、崩れた自己像を見続けているからなのかを分けることです。
3. 嫌なものを拒むことと、自分を守ることは同じではない
嫌なものに対して拒否が生まれるのは自然です。
距離を取ることが必要な場面もあります。
ただ、拒むことと守ることは同じではありません。
拒むことは、対象に向かい続けることでもあります。
そのため、離れたつもりでも、頭の中では相手や出来事に縛られ続けることがある。
この状態では、拒否はできていても、保全はできていません。
自分を守るとは、嫌なものを否定し続けることではなく、その嫌なものだけで内側が占領されなくなることです。
反応だけが自分の中心にならないこと。
そこに、守ることの本質があるのだと思います。
4. 嫌なものを見続けることでしか保てない現実感とは、何なのか
人はときどき、嫌なものを見続けることを「現実をちゃんと見ていること」だと感じます。
苦しみを手放すと、出来事まで軽くなってしまう気がするからです。
けれど、そこで保たれているのは多くの場合、
「傷は本物だった」
という事実の証明です。
だから、痛みを持ち続けることでしか、出来事の本当さを信じられなくなる。
でも実際には、見続けなくても嫌だった事実は消えません。
現実とは、苦しみを持続させることでしか保てないものではないのだと思います。
5. 「嫌だった」を保ったまま自由になるとは、どういうことか
「嫌だった」を保ったまま自由になるとは、嫌だった事実を消さずに、その事実だけで自分を作らなくなることです。
嫌だったことを忘れるわけではない。
正当化するわけでもない。
ただ、
・あれは嫌だった
・たしかに傷ついた
・でも、その出来事が自分の全体ではない
と持てることです。
自由とは、事実を否定することではなく、そこに住み続けないことです。
「嫌だった」は残っていい。
ただ、それを自分の中心に置き続けなくていい。
その距離が、支配から離れるということなのだと思います。
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