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低アルコール、自然派、日本ワインの時代に考える“一杯の余韻”


はじめに

ワインには、「おいしい」だけでは言い切れない一杯があります。

派手ではないのに、飲んだあとに呼吸が少し深くなる。
それをここでは、身体をほどくワインと呼んでみます。





【筆者活動】
デスクに置くアートテラリウム作家|けん
忙しい日常に“静かな余白”を取り戻し、
内省と気づきを促す


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1. ほどけるのは、疲れではなく「構え」


身体をほどくワインは、疲れを消すワインではありません。
ほどけるのは、疲れを隠すために身につけた構えなのだと思います。

仕事の返事をする。
相手に合わせる。
次を先回りする。

そのたびに身体は、少しずつ前のめりになります。


ワインがほどくのは、この前のめりの姿勢です。

香りや酸や余韻が、身体を「次」ではなく「いま」に戻す。

身体をほどくワインとは、緊張を消すワインではなく、
緊張していたことに気づかせるワインなのかもしれません。



2. 「おいしい」と「ほどける」は違う


おいしいワインは、評価できます。

果実味、酸、余韻、バランス。
けれど、身体をほどくワインは、評価より先に身体へ届きます。


ふっと力が抜ける。
少し黙りたくなる。
言葉を少なくしたくなる。

おいしい、はワインへの感想です。
ほどける、は自分に起きた変化です。

このワインは何点か。
ではなく、
この一杯で、自分の身体はどう変わったか。

そう見ると、ワインは感覚を映す鏡に近づいていきます。



3. 香りは、忘れていた身体に触れる


ワインの香りは、言葉になる前の記憶に触れます。

青りんご。
白い花。
湿った土。
雨の前の空気。

こうした香りは、身体の奥にある記憶を起こします。


人は普段、多くの感覚を閉じています。
閉じていないと、仕事も生活も進めにくいからです。

ワインの香りは、その閉じていた扉を少しだけ開ける。

なぜか落ち着く。
理由は分からないけれど、身体が反応する。

身体をほどくワインは、外から何かを足すのではなく、
内側にまだ残っていた感覚へ触れるワインなのだと思います。



4. 自然の気配は、人の速度を遅くする


ワインには、自然の気配が残っています。

葡萄。
土。
雨。
風。
発酵。
時間。

都市の生活は、予定、数字、通知、成果、評価に囲まれています。
そこでは、速く処理することが求められます。


でも自然は、思い通りになりません。

葡萄は天候に左右され、発酵は微細に変わり、熟成には時間がかかる。
この思い通りにならなさに触れると、人は少し静かになります。

自然は急がせない。
正解を迫らない。
すぐに意味を出せとも言わない。

ワインの中の自然は、人間の速度を少しだけ合わせ直してくれます。



5. ほどけた身体は、何を選び直すのか


身体がほどけたあと、人は何を選び直すのでしょうか。

大きな決断ではないと思います。
もっと小さなものです。

もう少しゆっくり飲む。
香りをもう一度確かめる。
スマホを見ない時間を少し残す。
感覚を急いで片づけない。

ほどけた身体は、効率ではなく、感じることを選び直します。


ワインは人生を変えるものではないかもしれません。
けれど、ひと口の中に別の速度を持ち込むことはあります。

身体をほどくワインとは、酔うためのものではなく、
自分の感覚に帰り、何を大切にするかを静かに選び直すための入口なのだと思います。





最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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意味や成果から少し離れるためのアートインテリアをー


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