一筆啓上《6》
〜平成から令和〜
今から30年前を振り返ると仕事と社会に揉まれてもがいていたような気がします。思えば当時は今よりまだ若く秘めた夢と情熱を盾に降りかかる問題に耐えていました。
あの頃、もしも夢も情熱もなかったら日々の理不尽な出来事に耐えられていた自信がありません。
今でこそ問題になっている長時間労働とかパワハラなどといったことも必要悪のような風潮だったでしょう。昭和の名残りとも言うべきでしょうか。新人や若い世代は耐えることも仕事の一つだった気がします。
一方で社会はバブル絶頂期を迎えていたようです。フリーターと言う存在が注目を浴び始め、一生フリーターで生きられるのではないかという幻想も生まれ始めていたでしょう。それが現在の非正規雇用増加にもつながっているような気がします。
意識していなかったものの、思えばバブル崩壊の波に呑まれるようにしてもがき続けていたのかもしれません。やがて社会に疲れて働く意味を見失い、発作的に地方移住を決めたのでした。
移住は新たな夢と情熱をくれました。
ちょうどインターネットが爆発的な普及をしていた頃ではないでしょうか。インターネットが繋がればどこにいても仕事ができるし、人と繋がることができると感じ始めていました。
それから経験を活かしたり新しいことに挑戦したりしながらも日々は瞬く間に流れ去りました。
生活のためとは言え、慣れない仕事に消耗する日々の中でも何とか生きようとしていた時にリーマンショック。個人的にはバブル崩壊の時よりもダメージが大きいものでまた働く意味がわからなくなりました。インターネットはすでに普及していましたから生活に窮する人の嘆きも数多く見かけました。自分自身がその渦の中にいることを確かめていたのかもしれません。
立ち直ろうと悪戦苦闘している時に今度は東日本大震災が発生しました。直接的な被害はなかったものの地域と社会に甚大な影響を与えました。
あれからまた瞬く間に時が流れ去りました。
平成は地震や台風などの災害の多い時代という印象も強いですが、社会経済も激動だったのではないかと思います。
そうして夢中で過ごしてきた結果。体力の衰えを感じる年齢に差し掛かってきたようです。盾にしてきた夢や情熱は燃え尽きようとしています。ここまでよく頑張ってくれたと感謝すべきかもしれません。
それでも元々漫画家を志した理由の一つに「歳を取っても続けられる仕事」というものがありました。つまり本番はこれからのはずなのです。
昭和から平成…そして令和へと続く時代を経験して何を表現し何を伝えられるでしょう。
たとえそれがくだらないことやムダなことだとしても明るい新時代に寄与できるものにしたいと願わずにはいられません。
…頼風…
