【前編】村上春樹 『夏帆 The Tale of KAHO』を読了した者だけが行きたくなる場所
ついに出ました。
村上春樹による待望の最新作『夏帆』。
急いで購入し、一瞬で異世界に引き込まれ、3日で読み切ってしまいました。
最近は村上春樹アレルギーを持つ方がいるようですが、自分は『ノルウェイの森』をはじめとする代表作も、あるいは『アンダーグラウンド』のような少し変わった作品も素直に好きですし、『1Q84』は何度でも読み返したい。リトル・ピープルについてなら何時間でも語れるくらいには、彼の作品が好きです。
だから、村上春樹を補助線として加藤典洋や内田樹を読む時間も、とても心地よい。
一方で、『街とその不確かな壁』や『騎士団長殺し』はなかなかページが進まず、そういえば『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』も最後まで入り込めませんでしたね。
『1Q84』をAudibleでも何度も聴き返すほど楽しんでいただけに、その後の村上作品とは距離を置きたい時期が続いていたのです。
しかしーー。
今回の作品は『1Q84』のように、読んだ後、いつまでも語りたくなる本。
入口と出口。過去と現在と未来。現実と異世界。原因と結果。善と悪。それらの密接性とボーダレス性ーー。
モーターサイクルの男、ありくいの夫婦、「とぎや」の店主、シロアリの女王。守護天使、ミソラ、象の卵、スカーレット・ヨハンソン。
たくさんのキーワードが頭をめぐります。
そして、この物語の重要なプラットフォームとして出てくる「街」の存在。
浦和
武蔵境
(あるいは花畑)
この3つは単に言葉として登場するだけではなく、それぞれの街が物語の中で役割を持ち、その空気や雰囲気までもが、作品世界と深く結びついています。
だから、行ってみませんか。
シロアリの女王の拠点へ。
夏帆が一人暮らしを始めた街へ。
ありくい夫婦と「とぎや」の店主がいる街へ。
というわけで、フォトウォークグループらしく、写真で伝えてみたいと思います。
まずは、夏帆の実家・浦和へ









夏帆が一人暮らしを始めた足立区・花畑へ



体感しないとわからないことがたくさんあります。
浦和を歩くと、皆浦和(あるいは浦和レッズ)について話していて、とても地元愛に溢れた街なんだなあとか。浦和駅には伊勢丹も映画館も紀伊國屋もあるのかあとか。うなこちゃんだらけだなあとか。
私は浦和生まれではないのでわからないのですが、ここは埼玉のone of themではなく、浦和は、神奈川でいう横浜のように特別な場所なんですね。
ちなみに、浦和駅前のPARCOに入っている紀伊國屋書店で『夏帆』を購入すると、浦和特別しおりがもらえます。

同じPARCOに入っている映画カフェ「スルークカフェ」で読む『夏帆』は格別ですよ。舞台となる浦和で買った『夏帆』を、浦和で、映画館の椅子で読める幸せをあたなにも。


その後に訪れた足立区の花畑は、浦和とは真逆の街に感じました。
埼玉との県境に位置しているにもかかわらず、その割に浦和からはかなり遠いことがわかります(1時間30分くらい)。実際、アクセス方法が何通りもあって、一番乗り換えが少ない浦和→北千住→竹ノ塚→バスで花畑というコースで行ってみましたが、これだと荒川を一旦超えてからまた戻るような移動なんです(荒川を渡らない方法もありますが乗り換えが多い)。
下町の雰囲気が色濃く、団地文化が今も息づいています。街の喧騒とは対比的な場所ですが、そういう街柄もあって花畑にある唯一の書店(しかもチェーン)には7月11日現在時点では『夏帆』は配本されておりませんでした。悲しい。主人公の夏帆は絵本のイラストレーターなので、彼女が創作活動をしていた街に『夏帆』がないなんて…。ちなみに最寄駅の竹ノ塚駅の書店にもありませんでした。やれやれ。
もちろん、小説とのある種の「答え合わせ」をするためではなく、自分の中で「夏帆をどう終わらせるのか」を考えるが目的だったので、やはり実際に歩いてシャッターを切ってみるのはいいですね。
浦和と花畑を歩いた時点で体力が限界に来たので、次なる聖地・武蔵境は次週の楽しみとします。この小さな旅は、もう少し続きそうです。
Masanoringo
国際フォトウォークサークルArtwalk Tokyo運営。Instagram: @artwalk_tokyo
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