聞かせてあげようほんまモンの唄「竜泉寺の湯 名古屋守山本店」
ほんまモンの唄
「ここは名古屋の別天地〜竜泉寺の湯♪」
愛知県もしくは東海エリアに住んだことのある人なら耳馴染みのあるメロディーではないだろうか。
竜泉寺の湯は愛知が誇る(?)スーパー天然温泉施設で、現在は破竹の勢いで愛知のみならず関東や東北までチェーン展開しているようだ。
かくいう私も上京したばかりの頃は、八王子みなみ店や草加店などの存在にかなり助けられた。知らない人だらけ、忙しない日々の中で共に上京してきた古い友人に会えたような、その友人の前でだけは肩肘張らずに笑えるような、そんな安心感が竜泉寺の湯にはあった。
しかしそこでカルチャーショックだったのが先の歌詞が異なっていたこと(そりゃ当たり前なんだけれど)。
「ここは〇〇(それぞれの地名)の別天地〜♪竜泉寺の湯♪」
親しかった友人の苗字が変わったような寂しさを覚えた。
おまけに関東の方が店舗が多いからって竜泉寺の湯は関東発なんじゃないのと言い張ってくる不届者も現れた(主に夫だ。お巡りさんこちらです)。
いいかい、愛知県民から二大奪ってはいけないもの、それは「コメダ珈琲」そして「竜泉寺の湯」だ。(当社比)
学生時代、大事な試合前やテスト終わりには必ず母と入浴した記憶、友人と長風呂して語りあった思い出、卒論提出前夜に色んなミスが発覚し慌てふためくが今日はもうどうにもならんとりあえず風呂に入るかと絶望の中同期と肩寄せ合ってあって温まった夜、全てが走馬灯のように駆け巡った。
ちょうど年始で夫が愛知の実家にやってくる。いい機会じゃないか。
愛知県民のプライドかけて
ほんまモンの「名古屋の別天地」、その唄とくと聞かせてあげようじゃないか。
竜泉寺の湯 名古屋守山本店
名古屋の中心からは少し外れた守山区に竜泉寺の湯名古屋守山店はある。
筆者の実家からは車で10分ほどの距離で、名実ともにマイスウィートホーム温泉だ。
ちなみに何年か前に守山店はリニューアルをして、雰囲気がかなり変わった。
木目調のテイストはそのままに、より居心地良く。

お風呂のデザインはかなりアーバンになった気がする。夜はライトアップまでしちゃうようだ。宿泊もできるようになったらしい。

この変化を例えるならば、素朴な雰囲気だった同級生が、高校デビューでつけまつげバチバチに決め込んでるのを駅で見かけた感じ。
ほんのり寂しさもあるが、元の素直な性格を知っているからこそ、その変化もまた愛おしく、見守りたい気持ち。
竜泉寺の湯の歴史
ここで竜泉寺の湯の歴史についても触れておきたい。
竜泉寺の湯の歴史
1989年にこの地に開業した「スーパー銭湯」「高濃度炭酸泉」発祥の温浴施設。それが竜泉寺の湯です。
開業当時のお風呂施設といえば、「町の小さな銭湯」か「健康ランド」かの2種類が一般的でした。
そんな中1960年からサウナ業を営んでいた創業者 松永尚市が「お風呂とサウナの良さを多くの人に知ってもらいたい」と、大型サウナ室など「健康ランド」以上の設備を兼ね備えながら町の銭湯並みの価格で当時の常識を覆す新業態「スーパー銭湯 竜泉寺の湯」をこの地で開業しました。
それがサウナの大衆化に繋がり、新業態「スーパー銭湯」が爆発的にヒット・普及し、今や「町の銭湯」も「健康ランド」も減少傾向にある中、温浴ブームの主流として、全国各地で地域の皆様に親しまれています。
そんな健康志向が高まりを見せる中、いち早く「高濃度炭酸泉」の健康効果に着目し、健康増進が期待できるお風呂として誰にも気軽に入浴でき、恩恵を受けられるようにと2000年に全国に先駆けて系列店6店舗に導入を開始。
その後の「高濃度炭酸泉ブーム」は10年以上経ってから始まりました。現在でも、医療の分野では「高濃度炭酸泉」を使った治療や研究が行われています。
2007年12月には「ここは名古屋の別天地」「ここはお風呂のパラダイス」をテーマに、日本で一番大きな炭酸泉浴槽を配置してリニューアルオープン。地域に根付いたお風呂として、多くのお客様にお越しいただいておりました。
そして、2018年12月、今までの経験と実績を踏まえ、再々度スケールアップし、ご来場されるお客様に「ワンランク上の癒し」をご提供させていただきたく「天空スパヒルズ 竜泉寺の湯 名古屋守山本店」をオープンいたしました。
らしい。諸説ありそうな気もするが。
お風呂について
さて、お風呂は内風呂は8種、露天風呂は4種程ある。イチオシの高濃度炭酸泉(天然温泉)や、源泉の湯はもちろん、整う系のお風呂も充実。
泉質は、アルカリ性単純温泉(アルカリ性低張性低温泉)。
なんと言っても露天風呂からの眺望は素晴らしい。都市部でも郊外寄り、近くに高い建物もなく尾張を一望できる。そして遠くには山々の稜線も。
この都市なんだけど遠くの山に囲まれてる安心感がまじスウィートホーム。
郷愁に駆られながら腕についた炭酸ガスをサワサワする。
源泉風呂はぬるめの35度
炭酸風呂で温まった身体がゆるりと溶け出すように心地よい。
アルカリ性単純温泉の背景
よく聞くアルカリ性単純温泉。
ふと、どんな背景があってアルカリという性質が生じるのか気になったので調べてみた。
地表から浸透した降水には、大気中に含まれる二酸化炭素が溶存しており、また、浅い地層に堆積した主に植物起源の有機物が分解して生成した二酸化炭素が地下水に溶け込みます。このため浅層の地下水では、やや酸性(6付近)のpHを示します。
地下水が流動するとともに、二酸化炭素は砂礫と接触してナトリウムイオン等のアルカリ成分を溶かし出し、二酸化炭素は炭酸水素イオンに変化して、アルカリ性を示すようになります。このように、沖積平野の深部に帯水する年代の古い地下水では、二酸化炭素が消失してpHが上昇します。場合によっては9.0を示すこともあると思います。pHが9を超える事例は、溶存成分が比較的少ない花こう岩質の母岩から湧出する温泉水などでみられ、泉質はアルカリ性単純温泉と呼ばれ、全国各地にあります。
大雑把に理解すると、地表にあった二酸化炭素を含んだ雨水等が地下水となり、その地下水が流動していく中で砂礫地層と接触する、もしくは花崗岩質が付近の地層にあることがアルカリ性になるポイントなんだな。フムフム
どれ、じゃあ守山区らへんの地層はどうなってるんだい。
なんとありがたいことに守山区の地層に関するドンピシャの文献があった。ワー!
竜泉寺の湯の周辺は八事層と呼ばれる地層が分布してるらしく、北には一級河川の庄内川が流れる。地層の内訳は礫層、(砂より小さく粘土より粗い)シルト、砂層、砂礫層で構成されているとのこと。
湧水(地下水が自然に地表に出てきたもの)は主に砂礫層とシルトの境界に見られるらしく、この辺りは湧水した湿地が多い。
竜泉寺の湯の採掘深度や採水している地層は不明らしいが、近くに大きな川があってその影響を受けたっぽい地層があって、それと地下水が化学反応起こしてアルカリ性単純温泉になる的な感じなのかな。雑理解だが腑に落ちた。息切れ(2024 村松)
今までよりもぐっとアルカリ性単純温泉の解像度が上がった気がする。
これから同じような泉質にであったらもっと地理的空間を意識して、さらに地球の履歴を感じて楽しめそう。世界広がったー!
おわりに
この機会にアルカリ性単純温泉の性質の背景を調べ、今後の温泉巡りがより楽しめそうになったのが大収穫。
そして何より、マイスウィートホーム竜泉寺の湯を夫に見せびらかすことができた。夫も気に入ったようで本店を構える地元民として鼻高々である。
しかし、ふと気づく。
在館中私たちの唄「ここは名古屋の別天地〜」が一度も聞こえてこなかった。館内に流れるはヒーリングミュージックばかり。
あれ、あれれおかしいぞ、そうなんだっけ。
あれはCMだけで流れるんだっけ、館内では流れないんだっけ。関東では流れてたのに。記憶違いか?それともこれもおしゃれ化なのか。
地層まで調べた今の私は地球レベルで寛容だ。
そんな変化も受け入れたい。
大丈夫。私が歌い継ぐさ、そのパッションとスピリットを。
ここが名古屋の別天地、高らかに。
いい湯でした。
