[ True History ] 世界は再びカオスを奏でる
はじめに
History never repeats itself, but it does often rhyme,
歴史は繰り返さないが韻を踏む
上記のMark Twainの引用は、今現在我々が直面している混迷を解き明かすための鍵となる一文です。

現在、世界は再び、かつての大戦前夜に奏でられた旋律と同じ響きをかなで始めております。その響きとは「国際協調の崩壊」と「経済的封じ込め」。本件は、この二つの要点に基づき過去と現在を重ね、その共通点から予測される「未来予想図」を綴ります。また、そんな世界での「備え」についてもまとめました。
繰り返しはしませんが、韻を踏む歴史の中で我々にできること。気の重いお話ですが始めましょう。
世界は再びカオスを奏で始めているのですから。

現在
・分断される世界と「66機関」からの離脱

2026年現在、世界秩序は劇的な転換点を迎えています。特に象徴的なのは、トランプ政権による「66の国際機関」からの脱退および資金拠出停止の宣言です。
1月7日ホワイトハウスが発表したこの決定は、31の国連関連機関を含む広範な組織を対象としています。気候変動の科学的支柱であるIPCCや、性と生殖に関する機関の国連人口基金、太陽光発電を推し進める国際太陽エネルギー同盟などがそのリストに名を連ねています(主に左巻き)。
この突然の脱退の根底にあるのは「米国の主権を縛るグローバリズムへの決別」という論理(右巻きのタカ派)です。同時に、経済面ではトランプ政権が「相互関税」を掲げ、言うことを聞く国には優遇し、敵対する国には極端な高関税を課すことで世界市場を選別しています。

これに対し中国は、ハイテク産業の心臓部である「レアアースの輸出規制」を強化し戦略物資を武器化。これを報復措置として展開しています。
世界は今、共通のルールを失い、自国利益のみを追求する「むき出しの力」が取っ組み合う乱世の時代へと突入しています。
ではこれら現代の狂奏曲を念頭に、過去に奏でられたカオスの序曲を振り返ってみましょう。
過去
・1930年代の不吉な反響

前述しました現在の光景は、約90年前の歴史の「韻」を不気味なほど踏んでいます。第二次世界大戦へと向かう1930年代、世界は同様のカオスを経験しました。

「テンプル騎士団の砦の話を思い出して」
当時、国際社会の平和を担保するはずだった国際連盟は、1933年に日本が脱退を宣言し、続いてドイツも離脱したことで事実上の機能を失いました。当時の日本は「国際連盟は日本の正当な主張を理解せず、偏見に満ちている」と主張しましたが、これは現在のアメリカが国際機関に対して発している主張と重なります。また、経済面では「ブロック経済化」が進みました。

当時、世界最強の経済力を誇ったアメリカは「スムート・ホーリー法」を制定し、自国産業保護のために輸入品に歴史的な高関税を課しました。これに激怒した諸国も報復関税で応じ、世界貿易は文字通り崩壊してゆきます。
これに対抗し、広大な領土と植民地を持つイギリスやフランスは、自らの勢力圏内だけで経済を完結させる「ブロック経済(スターリング・ブロック等)」を構築しました。
内側:植民地との貿易は無関税で優遇する。
外側:外部からの輸入品には高関税をかけて排除する。
この「壁・ブロック」の外側に置かれたのが、日本、ドイツ、イタリアといった「持たざる国」でした。そして日本はABCD包囲網による石油輸出規制という「経済の封じ込め」に直面します。国際連盟という対話の場を自ら去り、経済的にも生存圏を奪われた日本にとって、残された選択肢は「座して死を待つか、武力で現状を打破するか」という極端な二択へと追い詰められてゆきます。
そして、その結果はご存知の通り……
三つの要点
ここからは「歴史の韻」をより鮮明にするために、前述した二つの時代に共通する要点を抜き出し、それらを重ね合わせ分析してゆきます。「繰り返し」ではなく「韻を踏む」というところがポイントです。
では3つの共通項を見てみましょう。
① 国際秩序の「崩壊」
過去(日本の国連脱退)
国際連盟の脱退は、多国間協議による紛争解決の手段を失わせ、世界を「力の支配」へと引き戻し大戦へと突入させました。現在(米国66機関脱退)
アメリカによる大量離脱は、世界共通の課題を議論する場の消失を意味します。重ね合わせ
国家が「世界ルール」よりも「自国第一」を優先し始めたとき、対立を平和的に収めるための「土俵」そのものが消滅します。したがって、年明けにアメリカがいきなりベネズエラに攻撃したように、力ある者が利益のために容易に行動を起こせる世界になります。

② 経済の「武器化」と「包囲網」
過去(ABCD包囲網)
石油という当時の軍事・産業の心臓部を握ることで、資源を武器化し敵対国の動きを封じ込めました。現在(中国のレアアース規制)
現代の軍事・ハイテクの心臓にあたるレアアースを制限することで、中国は敵国の工業と防衛産業を麻痺させようとしています。重ね合わせ
資源の囲い込みは相手国に対し「座して死を待つのみ」という絶望感を与え、突発的な軍事行動へ誘います。また、そんな軍事行動の言い訳にもなります。第二次大戦時、日本が南方を攻める理由にしたように。

③ 市場の「ブロック化」
過去(ブロック経済)
関税の壁によって世界を「味方か敵か」で二分し、貿易を分断しました。現在(トランプの関税措置)
「言うことを聞く国」を優遇し、他を排除する高関税政策は、現代版のブロック経済そのものです。重ね合わせ
経済的な相互依存が失われたとき、戦争を思いとどまらせる「経済的な損失」という抑止力が効かなくなります。大国は大義名分を掲げますが本質は利益です。利益にならない戦争は避けますが、戦争しなければ利益を享受できない乱世なら、追い詰められた方は「よろしい、ならば戦争だ」と踏み切ります。

結論と未来予想図
我々は今、過去の悲劇と同じ韻律の中に身を置いています。前述の三つの要点の結論としては、「現在の状況は、近年で最も大戦に近い経済的フェーズにある」ということです。1930年代の韻をなぞるならば、経済的な逃げ場を失った国家が生存を賭けて、不合理であろうとも軍事的決断を下すリスクが極めて高まっているということ。
今後予測される動きとしては以下の4つのシナリオが考えられます。
・敵対的経済圏の出現

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