絶景のオロロンラインをひた走る!/ミドル夫婦の車中泊で道の駅めぐり
#1 波乱の幕開け
2025年9月24日、15時45分。
わたしたちは、いよいよ北海道・道の駅スタンプラリーの最終局面となる留萌方面へ向かう道すがらの、月形町の道の駅に向けて出発した。
わたしたちがこのスタンプラリーをやんわりとスタートさせたのは、まだ愛犬ちゃんが健在だった2022年終わりかけの頃のこと。
完全制覇賞の賞状が貰える期限は2年間なので、公式にはもうほとんど意味を成さないけれど、自分たち的には大きな意味を持つ達成に向けて、心はウキウキと弾んでいた。
ちなみに、月形町の道の駅は2024年9月に登録された新しい施設で、わたしたちのスタンプブックには掲載すらない。
しかしまぁ、どうせあちら方面に行くのだから…と、ついでに立ち寄ってみることにしたのだった。
仕事の都合で遅い出発になってしまったため、17時半過ぎに江別西ICで高速を降りた頃には、あたりは殆ど真っ暗。
すっかり陽も短くなったねぇ…などとのんびり話しつつ、とりあえず腰を据えられそうな本日の晩ごはん屋さんを検索する。
すると、検索画面にめちゃくちゃ美味しそうな中華料理屋さんがヒットした。
お店の名前は【明珠酒家】さん。
店構えはいかにもいい感じの古き良き町中華といったところで、停まっている車の台数からも、じわじわ期待が高まってゆく。

店に一歩足を踏み入れると、チャイナドレスを着た美しい女性スタッフの方が出てきて、あれこれと歯切れよくメニューについてご説明をくださった。
何でも、日頃は滅多にこんなに空いていることはなく、予約もなしに座ることができたのは運がいいらしい。
近頃は秋のお祭りご飯が続いていて、野菜不足を感じていた我々は、わぁい!運がいいー!と喜び散らかしながら、ともかくもしっかり野菜が採れそうなメニューを吟味した。

結局わたしが注文したのは、今まで興味はあったけれども手が出なかった刀削麺1091円と、焼き餃子880円。夫は炒飯1000円と、メニューを下げられてしまったがゆえに詳細が解らなくなってしまった謎の野菜炒め。
着丼を待っている間は、常連客と思しきおじさんと、先ほどの女性スタッフがカタコトで繰り広げる敬語ゼロの会話が丸聞こえだった。
些か雑な感じもしたけれど、明るそうなお人柄が滲み出ているのか、ざっくばらんな会話スタイルは勢いがあって小気味いい。
これは良きお店だなー、と早くも確信を抱きかけたところで、頼んだメニューが次々と到着した。




んやー……
大アタリだね!!
正直申し上げて、炒飯は今まで食べたどの炒飯よりも美味かった!
なるほど、初見の客に「予約もせずに入れたのは運がいい」と豪語するだけあったのである。
辛いだけでなく旨味の凝縮された濃厚スープに、不揃いのつるもち麺がよく絡む刀削麺…そして、完全手作りと思われるもっちもち厚め皮からじゅわっと香ばしい肉汁が飛び出してくる焼き餃子…完璧な脂回りでパラパラとした米粒が口の中で踊る炒飯……しっかり味ながらもくどさをあまり感じさせない程よい硬さと水分を残した野菜がべらぼうに美味い野菜炒め……
はい!!星5!!!
ここはいつか絶対また来よう!!と誓った名店なのでした。
すっかりおなかが膨れたわたしたちは、眠くなる前にと比較的急いで【道の駅つきがた】を目指した。
ここは温泉併設の道の駅で、北海道では珍しく21時まで営業してくれている施設である。
到着は、20時20分。
本当はここで温泉も済ませる予定だったが、駐車場に車を乗り入れてみると、困った現実が押し寄せてきた。
「車中泊禁止」という看板がでかでかと掲げられていたのである。

まぁ、よく論争があるように、本来道の駅は宿泊施設ではないというのは重々承知で、だいたいどこの道の駅でもわたしたちは終業時間までは車を停めず、始業時間には車を避けるような「仮眠」状態を保つか、始業まで居るからには何かしら食べたり購入したりを心がけてはいるのだが、明らかに「お断り!!」というところでは仮眠すら申し訳ない気持ちは持ち合わせている。
なので、とりあえず美味しそうな名産のトマトジュースだけ購入してスタンプを押し、そっと道の駅をあとにした。
んまー本当はRVパークやオートキャンプ場が望ましいんだけどね…この話をすると夫と喧嘩になりがちなんだよなァ…。(むろん彼は「道の駅で仮眠して何がいけないのか派である)
仕方なく、そこから目指したのは、1時間ほど北へ進んだところにある道の駅【あいろーど厚田】だ。
ここは去年一度立ち寄ったことがあるのだが、あろうことかスタンプを押し忘れていたことに後から気づいた唯一の場所で、今回はここのスタンプもゲットするつもりであった。
結局、コンビニで飲み物を調達したりしながら道の駅【あいろーど厚田】に辿り着いたのは22時少し前。
もう夜も遅いし、ここで陣を張ろうか…と準備をし始めたら、にわかに夫がバタバタと何かを探し出した。
どうしたの?と、わたし。いや、何でもない、と夫。
しかし、様子はどう見ても「何でもない」とは程遠く、明らかに切迫している。
「言ってくれないと解んないよ!」と言い募ると、やっと夫は「忘れ物をした」と白状した。
えー。
ここでは諸事情あって具体的な内容への明言は避けるが、とにかく結構な夫婦喧嘩が勃発した。
「今回はもう、諦めて帰ろう?」となったわたしに対し、ブチ切れた夫は「じゃああなたは寝てればいいじゃん!」と来た道を戻り始めたが、途中でだんだんと冷静になって少しずつ正気を取り戻し、結局は家まで戻らずに途中の苫小牧あたりで旅をリスタートさせることになった。
そこまで辿り着いた時間は、既に真夜中の0時過ぎ。
仕方がないので一番近場の道の駅を探し、そこで本当の「仮眠」を取らせてもらうことにしたのだが、仕事頑張って終わらせて何とか実現させた前乗りの意味もほとんどなくなって、ガチでキレたいのはわたしですけどね!!という言葉は呑み込んだ。
しかし本当に何度やっても旅先での夫婦喧嘩ほど不毛なものはないですね!!
こうして、留萌方面道の駅めぐりは、思わぬ不穏さを抱えた波乱の幕開けとなったのだった。
#2 増毛町で昭和レトロと海鮮を堪能す
仮眠の陣を張ったのは道の駅【ウトナイ湖】で、翌朝は6時に土砂降りの音で目を覚ました。
例のごとくわたしは夫が目覚めるまでポケモンGOと戯れながら時間を潰す。
いつまでも昨日のことを引きずっていても仕方がないので、互いになるべく機嫌よく「おはよー」と挨拶したあとは、9時になって道の駅が開くのを待って売店で朝ごはんを買い込んだ。
この道の駅には「B1とんちゃん」という地元のブランド豚のお肉を使ったオリジナルメニューが売られており、中でも肉まんは人気商品なのだ。
とりあえず、まだ肉まんは温まっていないとのことだったので、コーヒーとB1とんちゃんの焼売、ハスカップあんまんなる謎の中華まんを購入し、2日目のスタートを切る。


昨日スタンプをゲットしておいた道の駅【あいろーど厚田】を超えて国道231号線を北上すると、次に出会う道の駅は【るもい】の予定であった。
今回は、この通称【オロロンライン】と呼ばれる絶景の道を北上し、前に稚内を訪れた際にはゲットできなかった道の駅【えんべつ富士見】まで獲り切るのが最終目的。そこまでを含めると、計7つの道の駅のスタンプを獲得しなければならない。
とは言え、これまで100を超える道の駅を踏破してきた我々にとって、今回の旅は比較的イージーモードだと思われた。
道の駅【るもい】を目指し始めて間もなく、ゆく道を検索していると、増毛町はこの辺りでも特に歴史のある街だという情報を見つけた。
歴史に目のない我々は、ゆったりとした道程であることも手伝い、そこで寄り道をしてゆくことを決意する。
昨日の夜中に戻ろうとした時には気づかなかった石狩のオロロンラインの絶景を左手に、ともかく増毛町までの3時間弱を走り続けた。

以前、稚内から天塩方面に向けて走ったときはあまり気にならなかったのだが、こうして走ってみると、この道は案外トンネルが多い。
途中、浜益にあった長い長いトンネルを抜けると、不意に【白銀の滝】なるビュースポットが顔を出した。

稚内編の時にも少し触れたかも知れないが、日本海らしい厳畯な美しさを持ったこの海岸線も、シーニックバイウェイルートに選定されているらしく、晴れていれば実に広々として気持ちのいい道だ。

そうこうしているうちに少しずつ晴れ間が覗き…

昼の12時過ぎに増毛町に着くころには、すっかり雨も小降りになっていた。
ひとまずここから情報を得ようと立ち寄った増毛町の観光協会は、まるで映画のセットのように古い建物の中にあり、入ってお話を伺ってみると、何でもこの場所は印象の通り、映画『駅』の舞台になったところなのだそうな。




また、すぐ隣は廃線の増毛駅を利用した民間会社の直売所になっており、既存のものを壊さずに有効活用しようとする姿勢にはしみじみと好感が持てた。

位置的にはどうもあまりピンと来ないのだが、増毛町はその昔、漁場街として栄えた歴史を持っているらしく、当時の面影を残す古い建物がいたるところに点在していた。
どことなく小樽や函館を思わせる街並みは小さいながらもなかなかに趣き深く、小雨の中の散歩もそんなに悪い気はしない。


そのまま歩き続けていると、いよいよ空腹も限界になってきたので、わたしたちはその場でGoogle検索して見つけた、近所の高評価のお店に飛び込んでみた。
お店の名は【福よし】さん。
時計はすでにお昼を回って結構経っていたが、店は満員の大賑わいであった。平日のランチタイムの終わりかけでこの状態なら、土日はさぞ混み合っているのだろう。
品数は多くて色々目移りしたが、結局レビューでも好評を得ていた一番人気メニューの『ランチ海鮮丼1300円』を注文し、おとなしく着丼を待つ。

運ばれてきた海鮮丼は、なるほど一番人気も頷ける神コスパ。
どのネタも申し分なしの鮮度で、面白いほどご飯がスイスイ入っていく。
中でも特産品の甘エビは過去最高のプリップリさ加減と甘みで、俄然ウマイと感じた。
#3 留萌で絶品パイのお店と巡り会う
すっかり満足したわたしたちは、ここから車で30分ほどのところにある留萌の道の駅を目指した。
そこは観光案内所の中にあり、建物はキレイで売店はなかなか充実している印象を受けたが、レストランはイマイチと言ったところ。
ただ、外には常駐と思しきキッチンカーもあり、不足を補っているようにも見えた。


ここでは、他ではまず食べることのできない『かずのこジェラート』なる珍味が売られているとのことだったが、期待していたジェラート屋さんは、運悪く定休日だと言う。
仕方なく、どら焼きを販売しているお店がないかとマップを片手にウロウロしていると、道の駅の冷凍コーナーに冷凍どら焼きを置いていた【さんなすび】さんというお店に巡り合うことができた。

どら焼き欲しさに足を踏み入れてみたが、何と【さんなすび】さんはテイクアウト専門のパイのお店だと言う。
冷蔵のウィンドウには7~8種類の美味しそうなパイがずらりと並んでおり、堪らずわたしたちは『チョコバナナパイ』と『アップルパイ』、そして何よりも外せないどら焼きを購入してみた。


こ・れ・が!!
ほんと───に美味しかったのだ!!
特にチョコバナナパイ!!
バター香るサックサックの厚め手焼きパイ生地が濃厚なホイップ&チョコクリーム、そしてバナナの甘さを引き立て、至高のマリアージュを展開している…!
近場の駐車場でふたつのパイを平らげたあと、夫は「やっぱりもう一回引き返してブルーベリーチーズケーキのパイも買う!!」と決意に燃える目で言った。
それくらいの美味しさだったので、ぜひとも一度食べてみて欲しい。
#4 おびら鰊番屋から苫前町を経て羽幌温泉へ
続いて目指したのは、小平町にある道の駅【おびら鰊番屋】である。
何でも、この道の駅は日本最北端にある国指定重要文化財【旧花田家番屋】に隣接して建てられており、建物自体もそれを模して造られているのだとか。
【旧花田家番屋】は、北海道内に現存する番屋の中でも最大級のもので、中も見学できるようになっているらしい。
天気は相変わらず煮え切らなかったが、まだ見ぬ新しい土地への期待を胸に、わたしたちは車を走らせ続けた。


低く垂れこめた雲の向こう側に青空が散らつき、まだ秋までには少し早い暖かい空気の中、精一杯背丈を伸ばした草木を、風が揺らす風景はそれなりに美しかった。
キャッキャとはしゃぎながら窓の外を眺めているうちに陽は少しずつ傾いてゆき、16時少し前に道の駅【おびら鰊番屋】に到着する。





中はかなりの広さで余裕を持って作られており、鰊番屋にまつわるちょっとした展示物と、特産品・お土産物売り場があった。
何しろ新しくて綺麗な建物な上、品揃えもそこそこにあるので、道の駅ランクとしては文句なしの中堅と言っていいだろう。
ただ、わたしたちは欲しいものの殆どが要冷蔵の商品だったため、今回はお菓子以外特に何も買わずに出た。
見学しようと思っていた隣接の【旧花田家番屋】に行ってみると、見学料400円の看板が立っていた。
え!安いじゃん!と中に入ろうとすると、何とちょうど閉館時間だと仰るではないか!!
残念……!!!

係員さんも申し訳なさそうに「すみませんー!」と仰ってくださったが、自分たちだけが我儘を言うわけには当然行かないので、後ろ髪を引かれつつ、仕方なく【おびら鰊番屋】をあとにすることになった。
続いて足を向けたのは、苫前町にある道の駅【風Wとままえ】である。
「風Wとままえ」と書いて、「ふわっととままえ」と読むらしい。

苫前町の道の駅は温泉系で、建物の外観は何となく南茅部を思い出すようなクールな造り。


昨今、よく話題にのぼっている熊の事件に気を配っている方ならピンと来るかも知れないが、この苫前町は日本史上最悪の獣害事件として名高い『三毛別羆事件』の舞台となった地域である。
現在も、現場となった場所では事件の凄惨さを忘れぬようにか、当時の様子を再現した跡地があるそうで、夫は「行ってみたい!」と騒いだが、さすがにそればかりは「行くなら一人で行ってきて」とお願いした。
町としては、もはや代名詞みたいな存在になっているであろう凄惨な事件。消そうとしても消えない古傷を絶えず指さされるようなものではないだろうか…。
そんな想いを抱きつつ、些かセンシティブな扱いになっているに違いないと、勝手な思い込みと共に道の駅の敷居を跨ぐと……
え????まさかの熊…推し推しの推し…?
そういえば…と思い起こすと、苫前町はカントリーサインも熊だった。
あまりの衝撃に画像を撮っていいのか迷いに迷った末、結局撮らなかったのだが、お土産のTシャツもマグネットも何もかも、可愛い熊のグッズを推しに推しまくっているのである。
これには、些かの混乱を来したわたしの頭は、どこに何をどうやって落とし込むべきかに暫し時間を要してしまった。
そして、合っているかどうかは全く不明だが、自分の中でひとつの答えに行きついたのである。
これは…或いは祭祀に近いものなのではなかろうか…?
確かに凄惨な事件、犠牲者への汲み尽くせぬ哀悼の意もあろうけれど、もう110年も昔に起こった事件について、いつまでも暗くおどろおどろしい空気だけを前面に出し続けるわけにもいくまい。
【風Wとままえ】で売られていたグッズのほとんどは、可愛いキャラクターの熊になっていた。
これはもう、事件の主題のポピュラー化を超え、全ての痛みをカタルシスに導こうという祭祀のような概念ではないのか。
ともあれ、いまひとつめぐりの良くないわたしの頭では、これくらいしか落としどころが思いつかなかったが、「ぜったいちがうと思う」などと宣う夫を尻目に、わたしはひとつだけ熊のキャラクターマグネットを購入し、苫前町を後にしたのだった。
次なる道の駅【ほっと♡はぼろ】までは、ほんの15分足らず。
ここは【サンセットプラザはぼろ】という温泉に併設された道の駅で、どちらかと言えば「温泉系道の駅」というよりは「温泉そのもの」と言った方が近い。



時刻は既に17時を大きく回り、おなかもすいていたので、とりあえず今夜の夕食は温泉のレストランでとることに決めた。
品数は結構豊富で、地元特産品を活かしたのだと思われるメニューも数多く取り揃えられている。


お味の方はというと…「ん…まぁこんなところかな…」と言った感じ。
ここらへんの名産である甘えび塩ラーメンには期待が高かったせいか、それほど海老のダシが感じられない淡白すぎるスープはちょっぴり残念だった。
はぼろ温泉自体は、お風呂は広く肌はすべすべになり、かなり良いお湯だったと記憶している。
しかし当時のメモを振り返ってみると「広いのにお客さんが自分含めて3人しかおらずちょっと怖かった」と書いてあった。
地元でお祭りでもあったのかな?
ともあれ、温泉の方に聞いて車中泊しても構わないと教えて頂いた近くの公園に車を停め、本日の宴会と相成ったのでありました。

#5 ぶらり羽幌町からロマン街道しょさんべつへ
朝6時。
わたしたちは雨の音で目を覚ました。
昨日の天気予報によると確か羽幌町は晴れ予報のはずだったが、外ではびっくりするほどの豪雨が窓を叩いている。
噓でしょ!?と慌てて起き上がって窓を閉め、雨雲レーダーを見てみると…

オィイイイ!!! ピンポイントにもほどがあるだろ!!
我ながら凄まじい雨女ポテンシャルに、草も生えずに再び寝転がるしかなかった。
しかし、絶望したのも束の間、7時にはすっかり空も晴れ渡り、気温はにわかに上昇してきた。
窓の隙間から覗いてみると、数台の車中泊車両の向こうに美しい花壇が見える。調べてみると、羽幌温泉の隣接は何とバラ園らしい。

まだ少し時間は早かったが、昨日の夜に温泉のマッサージのお姉さんからオススメされていたお菓子屋さんを調べてみると、お菓子屋さんにしては珍しく午前7時半からの開店となっていたので、軽く街を散策しながらそこまで歩いて行ってみよう、という話になった。


教えてもらったお店は、羽幌町で大正時代に創業されたという老舗【梅月】さん。
立て板に水、といった感じの上品なご婦人が細やかに色々なお話をしてくださり、楽しい時間を過ごす。
何でも、こんな朝早くからお店を開けているのは、近くにある天売・焼尻からのお客様や、漁師の方々のためなんだそう!!
時代が変わっても変わらぬ心配りで早朝開店を続けている姿勢に、思わず拝みたいような気持ちになってくる。
おまけに、更にお話を聞いてゆくと、わたしたちが住んでいる街にご親戚がいらっしゃることが判明し「これもご縁ですから…」とお菓子をひとつオマケしてくださるという神対応を頂いてしまった。
これはもう…お土産はここにするしかあんめえ!と決めたわたしたちは、しこたま焼菓子を買い込んで、どら焼きをゲットし、更にめちゃくちゃ美味しそうだった『あんチーズ』なるケーキを購入した。

うーん!!
これがねえ、本当に絶品だったのですよ!!
まぁ、昨今大流行の「あんバター」とか「生クリームあん」とかあるもんね。チーズケーキが合わないわけなかった!!
オマケで頂いた最中も大層美味しかったらしく、助手席で感動しまくっている夫を乗せ、続いては初山別村の道の駅へと車を進めてゆく。
道の駅【ロマン街道しょさんべつ】は、【みさき台公園】という公園の敷地内に作られていた。
ちなみに、この【みさき台公園】の中には「一人でも多くの人に気軽に星空を楽しんでもらいたいという願いから作られた」という65cm反射式天体望遠鏡が設置されており、年間を通して様々なイベントが催されている。
道の駅のオープンまでにはまだ少し時間があったので、とりあえずわたしたちは先にその天体望遠鏡付近まで昇ってみることにした。

前情報で想像していたより、天文台はかなり小さかったが、それでもこれで見た星は綺麗なんだろうねぇ、などと小学生のような話をしながら公園の中をブラブラする。
天文台のオープン時間は、星空がないと殆ど意味がないこともあってか14時からとなっており、今日のところは中に入るのを諦めなければならなそうだった。
ここはまた是非夜に来なければなるまい…!と誓いを立て、道の駅へと歩を向ける。

天文台から少し海側に移動した高台からは、はるか遠くにある天売・焼尻島が見えた。
風も気持ち良かったが、出来れば今日中に折り返しておきたいこともあり、少し急いで坂を降りる。


もう少し星にちなんだグッズが売られているのではないかと期待していたのだが、実際には手作り雑貨や、割とどこにでもありそうなお土産物がメインで、オリジナル商品は少なめの道の駅であった。
まー次は夜に来ようね…と控えめにスタンプを押しつつ、続いてはいよいよ道北最後の道の駅となる【えんべつ富士見】を目指すべく、わたしたちは再び本線に復帰したのだった。
#6 えんべつ富士見を超えて念願の利尻富士を拝む
わたしたちにとって、道北最後となる遠別町の道の駅【えんべつ富士見】には、午前中に到着した。

降りてみると、施設自体は広々として新しく清潔感があった。
レビューはそこそこ高評価だったので割と期待して来たのだが、中は何となく閑散としていて、フードコートのメニューも比較的当たり障りのないものが並ぶ。
しかし、コインランドリーも併設されていて眺めもよく、駐車場もかなり広くとられていることから、もしかすると車中泊の好適度が高いのかも知れなかった。

ひとしきり売店を見て回ったあとは、せっかくここまで来たのだからと何かひとつくらい食べてみようか…という話になった。
何か珍しいものはないかと探していると、町の名前を冠した『えんべつコロッケ』なるものを発見!
もうひとつ美味しそうだった『たこ天』を注文し、しばしの休憩をとる。


さっきは「当たり障りのないメニュー」などと書いてしまったけれど『えんべつコロッケ』はなかなかに美味しかった。
揚げたてサクサクの衣の中に、なめらかなじゃがいもと、地元産のホタテ&タコがゴロゴロ入っている。
過去には『全国コロッケフェスティバル』で3位に入賞したこともあるそうで、ここを訪れたなら食べてみる価値はある逸品でした!
道の駅【えんべつ富士見】のスタンプをゲットすると、わたしたちが3年がかりで続けてきた『北海道 道の駅スタンプラリー』も、残すところは【道の駅 十勝川温泉】ひとつを残すのみとなった。
2人で一緒にスタンプを押し、あと少しのところまで来た感慨に、しばし無言で耽ってみる。
休みは、あと1日残っていた。
本当は帰宅しようと思えばここからでも充分できる距離だったが、空は青々と冴え渡っており、気分は上がりまくっていたので「ここまで来たからには去年見ることのできなかった利尻富士を見よう!!」という流れになる。
そして、この選択は結果的に大正解となった。
前回訪れた時は悪天候のせいでほとんど何にも見えなかったオロロンラインは、今回惜しげもなくわたしたちの前にその絶景を曝け出したのである。

利尻島は、北海道本島の稚内市から西に約50kmほど離れたところに浮かぶ島で、中心には標高1700mを超える日本百名山のひとつ『利尻富士』を戴いている。
何気なく説明を聞くだけでは「へぇ~」という感じなのだが「50km離れた島にある1700mを超える山」と改めて考えてみると、それが陸地からどういう風景になるのかは、まったく想像がつかない。
しかし、車が天塩町に入ると間もなく、全ての疑問は一掃されることとなった。

ゑ…?
でけえー!!!
利尻富士、思ってたよりもずっとでけぇー!!!

前に道北を訪れたのは、2024年7月。
あの時のオロロンラインはこのザマ↓↓↓

だったので、まさにこれは悲願だったと言えよう。
利尻富士がなるべくよく見えそうな海岸線の駐車場にしばし車を停めて景色を堪能しているうちに、徐々に雲が多くなってきた。
時刻はランチタイムを少し回り、おなかも程よい空腹具合。
ここでどちらからともなく「そういえば、前に来たとき道の駅の『しじみラーメン』食べ損ねてたよね!」と思い出し、わたしたちはランチの間に空がもっと晴れることを祈りつつ、道の駅【てしお】に向かうことになった。
【てしお】は、道北を回り切ったわたしたちの最もお気に入りの道の駅だ。売店も地場産品が豊富で、フードやソフトクリームもかなり高レベルのものが用意されている。
前回訪れた時も、特産品のしじみを使ったラーメンが気になって仕方なかったのだが、ご飯の時間ではなかったのでスルーしたのだ。
で、今回。

ん~~~~~!!うまぁい!!
変なラーメン屋さんの塩ラーメンより俄然うまい!!
まぁ、1300円は些かお高めには感じるけれど、一口啜れば濃厚なしじみのスープがぶわっ!!と拡がるラーメンは、本当に本当に美味しかった!
あっさりしてるのにコクがあるんだよねー!!
ご飯を食べ終わって外に出てみると、案の定さっきより利尻富士がくっきり見えるようになっていた。
近頃は熊被害の増加で全然登りに行っていないけれど、登山も大好きなわたしたちは、絶対いつか登りにいくぞ…!!と誓いを立てる。

こうして念願の利尻富士をたっぷり堪能したわたしたちは、残りの帰路をゆっくりと楽しむべく、車に戻ったのだった。
#7 帰路・寄り道紀行
すっかり晴れたおかげで、昨日留萌から上った時とはまるで違った景色に見えるオロロンラインを、わたしたちはゆっくりと南下した。
以前はあらゆるスケジュールをみちみちに決めておかないと不安になってしまうわたしだったが、夫とたくさんの旅を重ねるうちに「予定を決めずに場当たり的な出会いを楽しむ」という状況にも少しずつ慣れてきた。
そんなわけで、ここからの予定はゆく道すがらに決めて行こう、とのんびり話す。



風車が殊更に大きく見える雄大な景色の中を南下し、道の駅【るもい】に辿り着くと、わたしたちは昨日お休みで食べれらなかった『かずのこジェラート』を購入した。

まぁ…賢明なグルメの皆さまなら一目見てお解りのことと思うが、わたしたちの結論としては「うん…これはジェラートじゃねぇな…」ということで見解が一致した。
何だろう…下のミルクは確かにジェラートかも知れないのだが…それにただバラのかずのこを乗せただけの雑なシロモノである。
特にかずのこのためにバランスを考えて作られたミルクというわけでもなさそうだし、かずのこ独特の食感と計算された何かがあるわけでもなし「とりあえず名産のかずのこ混ぜておけばいいのでは」というやっつけ感が随所に滲み出たダメの見本のような一品だった。
まぁ話の種に食べたい人は食べてみたらいいのかも知れません。
いつになく酷評になってしまったのは「名産品を使って何かをしたい」という心意気と、絶対に合わなそうなものをわざわざチョイスして作ろうとする心意気に期待が大きかったからですね!!
マジで網走市のRimoさんの「イバラガニとピスタチオのジェラート」とか食べてみたらいいのでは?
わたしはこういう観光客をナメくさったスイーツが一番(以下略)
留萌からは、ひとまず内陸に入って時間を潰すことになった。
予定はほとんど未定とは先述したが、実をいうと翌日には札幌で限定再上映される『アバター2』を観ることになっていたため、14時には何としても札幌の映画館に辿り着いていなければならない。
それでも、少しでも旅気分を味わって行こうとあちこち探して回り、夜ご飯はあまり立ち寄ることのない秩父別町の【キッチンハウス小島】さんで頂くことにした。

念のためにとお電話すると、何とか予約を取ることができた。
辿り着いたお店は、絵本に出てきそうな可愛い小ぢんまりとした造りで、わたしたちが入店したところでちょうど満席となる。
中では地元の方と思しきお客様で大いに盛り上がっており、これはいいお店に違いない…!と早くも確信した。


前に訪れた時に知ったことだが、秩父別町はブロッコリーの一大産地で、道の駅でもブロッコリーを使った様々な商品が売られていた。
確か夫はそこで食べたブロッコリーのアイスクリームをいたく気に入っていたこともあり、メニューもブロッコリーを使った地場産のものを注文してみる。
全体的なメニューは居酒屋風に一品ものも数多くあったが、本来はイタリアンがメインなのだろうと思われる男性シェフの方が腕を振るっていた。
接客は奥さまと思しき素敵なご婦人が絶えず動き回り、本当に落ち着くよいお店である。
そして、地元産ブロッコリーが練り込まれているパスタを使ったカルボナーラは……絶品!!
もっちもちのフェットチーネに濃厚なソースがよく絡み、質のいいベーコンと極上のハーモニーを奏でる至高の美味しさでした!!
これはまたぜひ来なければなるまい!!
おなかがいっぱいになったあとは、またまたGoogle検索で見つけた美唄市の温泉【ピパの湯ゆ~りん館】まで足を運んだ。
ここは宿泊施設も備えた温泉で、大人の入浴料は650円と些かお高めだが、お風呂は広く色々な種類があり、ゆっくりと楽しむことができた。
中でも洞窟風呂というコンセプトの、岩場に掘られた温泉のような場所があり、そこは夜に入ると幻想的な風景で、思わず時が経つのも忘れて長風呂してしまった。

仮眠場所はあれこれ迷った末、結局は道の駅【ハウスヤルビ奈井江】にした。疲れていたのか、夫とはほとんど喋ることなく爆睡し、珍しく目を覚ましたのは翌朝の8時。
映画が始まるまでにはまだ少し時間があったので、話し合った末、とりあえず三笠の道の駅まで行って美味しい焼き鳥を食べようではないか!という結論になった。
今年の5月、YouTuberが食べていたのが美味しそうだったから、という理由で三笠の道の駅に行ったときは、確かにそこには【くいしんぼう】さんという焼き鳥屋さんがキッチンカーを出しており、たくさんのファンが行列を作っていた。
しかし、今回再び三笠の道の駅に行ってみたところ【くいしんぼう】さんが居たところにはコーヒーのキッチンカーが停まっており、焼き鳥の「や」の字も見当たらない。
夫は「お休みなんじゃない?」と言ったが、食べ物に対して異常な執着心のあるわたしは、何となくお休みなんかじゃない…という予感がしていた。
我慢できずに道の駅の人に尋ねてみると「あの焼き鳥はもうここにはいないんですよ」と宣うではないか!!
さすがのわたしも関係者でもない人に根掘り葉掘り聞くのは控えたが、どうしてもどうしてもあの焼き鳥が食べたい!!という気持ちに収まりがつかない。
夫は呆れた様子で「好きにしなよ」と言い、わたしはその場で自分の持っている検索スキルをフル稼働して【くいしんぼう】さんの行方を探した。
すると……あった!!!過去に営業していたらしき『本店』の情報が!!
「マぁあああジでぇええ!?」と呆れている夫を拝み倒し、一か八かで本店の住所をナビ画面に打ち込み、そこまで行ってもらう。
祈るような気持ちで角を曲がると、そこにはもうもうと煙が立ち昇る焼き台の前で、以前と同じように一心不乱に焼き鳥を焼くマスターの姿があったのだった。
やったー!!!

その時のわたしの、喜びのポストがこちらである↓↓
【拡散希望】
— 高伏 アサ (@fun_fun_pumpkin) September 27, 2025
道の駅みかさのキッチンカーで有名な焼き鳥屋さん『くいしんぼう』さんが道の駅から本店に移動していました!
定価も1本160円から180円になっていましたが、まだまだ全然お安く感じる美味しさは健在です✨
大将に許可を頂いたので、ぜひ拡散お願いします🙏
三笠市幸町20-6で営業中 pic.twitter.com/1UpuK7Rtio
万難を排し、助手席で念願の焼き鳥を頬張るわたしの姿を見て、夫は妖怪でも見るような目つきで「あなた…すげぇわ…」と呟いたのだった。
ここからは、偶然見つけたお菓子屋さんに飛び込んだあと札幌まで車を走らせ、無事に映画を観てから帰路についた。
いよいよ大詰めとなった道の駅めぐりだが、この時はまだ完走まで至っていなかったため、次なる達成の旅に向けて気持ちは逸っていた。
それにしても、今回は前に行ったところと重複している場所も結構あったが、訪れるたびに新しい発見がある北海道は、道民でさえ掘り尽くせぬ魅力に溢れているな…と改めて実感した。
この拙い旅日記が、北海道をめぐるどなたかのお役に少しでも立てたなら、これ以上幸いなことはありません。
それでは、長くなりましたが、このたびはこの辺で!
