個人的ハリウッド最強タッグ~『プライドと偏見』『つぐない』『アンナ・カレーニナ』~
監督×俳優
日本でもそうだがある映画監督の作品に頻繁にキャスティングされる俳優、いわゆる”常連”がハリウッド映画にも多数見られる。この監督と俳優の鉄板の組み合わせはそれが発表されるだけで作品への注目度が高まる。最近の例だと、スコセッシ×レオナルド・ディカプリオ、フィンチャー×ブラッド・ピット、ノーラン×キリアン・マーフィー、ウェス・アンダーソン×オーウェン・ウィルソンとかだ。まぁノーラン×キリアン・マーフィーについてはキリアン・マーフィーが主演したのはオッペンハイマーだけなので、主演という観点ではノーラン×クリスチャン・ベールの方かもしれないが。ノーランとウェス・アンダーソンは特に常連がはっきりしていて、前者はアン・ハサウェイやマッド・デイモン、トム・ハーディ、マイケル・ケインなど、後者はエイドリアン・ブロディやビル・マーレイとかがいる。こうした、監督と俳優の”最強タッグ”は様々あるわけだが、個人的に最も好きなのが監督・ジョーライトと俳優・キーラナイトレイのタッグだ。
文学作品との相性
最近の作品ではキーラ・ナイトレイが主演することはないが、ジョー・ナイトイトの初作品『プライドと偏見』、続く『つぐない』、さらに『アンナ・カレーニナ』と監督ライト×主演ナイトレイの組み合わせでこれまで3作品が生み出されてきた。さらに言えば、これら3作品は文学を原作としているという共通点がある。『プライドと偏見』はジェーン・オースティンの19世紀初頭のイギリスを舞台とした『高慢と偏見』、『つぐない』は現代の作家イアン・マキューアンによる第二次世界大戦前後のイギリスを舞台とした作品『贖罪』、『アンナ・カレーニナ』はトルストイの19世紀後半のロシアを舞台とした同名の作品がそれぞれ原作となっている。したがって、ライト×ナイトレイ×文学という最強トリオとも言えるかもしれない。時代も国も微妙に異なる3作品だが、文学的な静的な美しさや登場人物の心理描写を中心としたストーリーという点ではどこか共通している。
そもそもライト×ナイトレイを最強タッグだと思っている理由には、個人的にキーラ・ナイトレイが好きだということが大きい。私が人生で初めて見た洋画(記憶にある限りの話だが)は、『パイレーツ・オブ・カリビアン』だった。この作品でヒロインのエリザベス・スワンを演じていたのがキーラ・ナイトレイだった。いわば私が初めて知ったハリウッドスターの一人が彼女だったのだ。それ以来、キーラ・ナイトレイのファンである。これまで彼女が出演している作品は多数見てきたが、先に挙げたライト監督との3作品に加え、『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズや『イミテーション・ゲーム』、『キング・アーサー』など設定される時代は異なるものの歴史モノが多い(『はじまりのうた』とか『ラブ・アクチュアリー』など現代ものも素晴らしいが)。また、彼女もイギリス出身ということもあってかイギリスが舞台としたものが多く、その点も個人的に彼女がささっている要因かもしれない。ライト監督との作品も3作品中2作がイギリスが舞台だ(ジョー・ライトもイギリス出身)。
”動き”を捉えるジョー・ライト
ここまでタッグのうちの俳優側を語ってきたが監督についても少し。正直、撮影技術とかには明るくないので性格か分からないが、ジョー・ライトは長回し、特に一人の人物が長い台詞を話すものではなく、台詞がなく多数の人が動き回るシーンをワンカットで捉えるものが多い。うまく説明できないがカメラの前を複数の人物が横切るような、変化の多い動きを長回しのワンカットでおさめているのだ。また、『アンナ・カレーニナ』では場所が変わるシーンをカメラを止めず連続しているようになっており、壁や天井、エキストラが動かされるいわば映画の裏側もそのまま写っているので、まるで舞台演劇をそのまま映画にしたような作品になっている。こうした、印象的な長回しのシーンは他にもあり、『プライドと偏見』ではパーティーが行われているお屋敷で部屋から部屋へとカメラが連続して動き回り複数の場所で展開される人々の動きを映し出す。また圧巻だったのが『つぐない』のダンケルクのシーン。歩き回る主人公の周囲で様々おこることをワンカットで捉えていく。余談ではあるが、ダンケルクといえばノーランの『ダンケルク』が有名だが、『つぐない』でも同じダンケルクからの撤退が描かれており両者の違いを楽しむのおもしろかった。
ライト×ナイトレイのタッグで個人的最も好きなのがこの『つぐない』なのだが、これもまた周囲に見たことある人が少ない。正直、作品を見終わった衝撃では歴代で1、2を争う。対抗となるのは『ファイト・クラブ』『メメント』あたりだろう。また、最強タッグのベストシーンは『プライドと偏見』の雨の中のダーシーによる告白シーンだ。映画における愛の告白シーンで唯一といってもいいのではないだろうか、告白のリアクションがぶち切れというのは。
家を出る時間だ
