異色のアイドルグループにハマったら、彼女たちが「削除」されていた
異色のアイドルグループにハマった。
彼女たちが「削除」された、その後に。
Maison book girl(以下、ブクガと表記)の魅力を語りたい。
語らせてくれ。数週間ほど、頭の中でずーーーーーーーっとブクガの音楽が鳴っているんだ……。
Maison book girl(メゾンブックガール、略称:ブクガ)は、2014年11月に結成された日本の4人組女性アイドルグループ。
(中略)
2021年5月30日、千葉・舞浜アンフィシアターで行われたワンマンライブ『Solitude HOTEL』の公演終了後、会場で配布された紙に記載されたリンクURL先のHPを通じ、グループの活動終了を発表した。19:00に公式ホームページからすべてのコンテンツが削除された。
ブクガの活動終了(公式サイトでは「削除」と表現)は、告知もなく行われた、らしい。
最終ライブの開催(舞浜アンフィシアター公演『Solitude HOTEL』)が発表されたときから、予兆は見られたものの、明言はされていなかった。
(前略)舞浜アンフィシアター公演の開催を発表したが、その告知ビジュアルは文字化けを起こしていたり、HTTPステータスコードにおいてURLが存在しないエラーを意味する「404」という文字が書かれていたりと、どこか不穏なものとなっていた。さらに「Solitude HOTEL 9F」終演後から時間が経つにつれ、グループのオフィシャルサイトは一部ページが開けなくなる、各メンバーのアー写が原型を留めないほど歪む、トップページのレイアウトが崩れるなど徐々に変貌。
むしろ、公演中ですら明言されていない。
最後に披露した楽曲「last scene」も、楽曲が止まる形で終わり、彼女たちから「活動終了」の言葉はなかったという。
サビの「僕らの夢はいつも叶わない。きっと。」という歌詞を彼女たちが歌い終えた直後、曲をぶった切るように突然無音に。ようやくステージが明るくなるが、メンバーはどこにも見当たらない。余韻に浸る間もなく終演のアナウンスが流れ、そのまま「Solitude HOTEL」は終わりを迎えた。
各種音楽サイトやファンによるレポートを読むたびに、「リアルタイムで追っていたら、どんな気持ちだったんだろう」と考える。
実は、ブクガが活動していた時期に、私は楽曲を聞いていたのだ。
悔しいことに。
……とっっっても、悔しいことに!!(2回目)
そこでここからは、「なんで活動中にハマらなかったんだよ……っ!」という後悔の念も込めて、ブクガにハマるまでの経緯を語っていく。
【注意】
以下、楽曲の引用にあたり、ホラー寄りのサムネイルが登場します。
苦手な方はご注意ください。
1.スルメ曲の「闇色の朝」
ブクガとの出会いは、2019年のこと。
当然、彼女たちがまだまだ活動中の時期である。
Youtubeのおすすめ欄に、数年かけてじわじわと好きになったスルメ曲こと、「闇色の朝」が出てきたのだ。
こちらは、とある「演出」に度肝を抜かれるMVである。
(初見の人もいると思うので、ここでは「演出」の話はしないでおく)
もちろん、当時の私も「演出」に驚かされた。
数か月後、「もう一度見たい!」と思うも、ある失態を犯してしまう。
――チャンネル登録、しそこねた!!!!
最悪なことに、タイトルもアーティスト名も覚えていないという、失礼極まりない事態も発生していた。
「あの……アレよ……。なんとか色の朝……藍……黒……」(※闇です)と、やっとの思いで楽曲に辿り着いたとき、謎の達成感が生まれていた。
……ここで、よく考えてみてほしい。
数か月前に、おすすめ欄に偶然流れてきた、曲名もアーティスト名も覚えられない楽曲を、「どうしても聞きたい!」と躍起になって探すなんて、なかなかに異常である。
遅かれ早かれ、私はブクガにハマっていたのだろう。ただ……早くハマってほしかった……マジで……。
2.中毒曲の「悲しみの子供たち」
時は進むこと、2023年~2024年。
出会いから4,5年が経ち、年1回のペースで「闇色の朝」を聞いていたものの、それ以外の曲は聞いていなかった。
ちなみにこの年は、某HIPHOPユニットが提唱した「ブリンバンバンボン」という魔法の言葉に日本中が踊らされ、かねてより合法的なトビ方を心得ていた私は「うわ~~~このユニットの天賦の才がバレる~~~!」と、喜んで両手を左右に揺らしていた時期である。
ついでに、個人的には「のびしろしかないわ」と言いたくなる環境変化もあり、新しいことに触れたい気持ちに満ち溢れていた。
ブクガの公式Youtubeを覗いたのは、「知らない楽曲を聞いてみたい!」という意欲が芽生えたからだ。
そして見つけたのが、「この曲を聞いて出勤しないと落ち着かないぞ……」という禁断症状に1週間悩まされた楽曲こと、「悲しみの子供たち」だった。
まただ! また、一度見たら忘れられないタイプのMVだ!!
……という感動もあったが、シンプルに、曲調が好みだった。
聞き込むうちに、「ライブバージョンはないのかな~」と欲が出てくる。
調べたら、Dance Practice Videoを発表していた。
出会って約5年目。
彼女たちの生身の姿を、はじめて見た瞬間だった。
え!? めちゃくちゃ表現者!!
曲の不可思議な雰囲気によく合う、規則正しくも自由度の高いダンス。
「悲しみの子供たち」の振り付けは、今まで見てきた、女性アイドルたちのダンスと違ったのだ。
特に2番の「全員バラバラの動きをしているのに、一人一人は同じ動作を繰り返しているダンス」(※ダンス知識ゼロ人間による精一杯の語彙)が、気味悪さと気持ち良さが共存していて、ニヤニヤが止まらない。
1番Bメロ「時計の鳥は鳴いて」の足のリズム、ラストサビの「夢を食べた鯨は」の手の動きなど、ところどころの音ハメも心地良い。
(※以上の段落は、早口でお送りしました)
なんなんだ、このアイドルグループは……。
衝撃の連続すぎて、すっかりブクガに興味を持ちはじめたのだった。
3.美(鬱)しい曲の「faithlessness」
気づけば、時代は2025年。
約1年間、「闇色の朝」「悲しみの子供たち」を細々とリピートし、ブクガの特徴を理解した。
ブクガの楽曲には、「変拍子」が多い。
一般的な楽曲のように「1、2、3、4」でリズムを取ろうとすると合わないのだ。この合わなさが、聞けば聞くほど癖になる。
Youtubeのコメント欄を拝見し、おすすめの変拍子楽曲を聞いてみた。
それが、1日約5回リピートする生活が三日三晩続いた楽曲こと、「faithlessness」だった。
……!?
な、なにこの、鬱くしい(アーバンギャルド風の言い回し)世界観は……??
ふ、不誠実(faithlessness)……? どこが……?? こんなにも、ファンの好みを的確に射貫くような楽曲をお出ししてくるなんて、むしろ誠実の塊では……???
あまりに好みの世界観に混乱した。今もしている。助けてほしい。
どこか狂気を秘めたダンスも、魅力的だった。
前奏の振り返る動き、Bメロの1人を取り囲んで回る振り付け、最後の糸が切れたようなポージングなど、物語性が感じられる。
サビの「裏切られて」の"れ"で飛び跳ねるのも癖になる。ロックバンドのライブだったら、「"う”らぎ”ら”れ」で拳を突き上げるだろう。"れ"!? そこでリズムを取るの!? と、印象的だった。
(※以上の段落は、早口で略)
ここまで魅力的なものをお出しされたら、「他の楽曲は?」と気になってしまう。
そして、他の楽曲はもちろん、Youtube公式アカウントのライブ映像も見ていく状態になったのだった。
4.終わりに
こうして私は、異色のアイドルグループにハマった。
彼女たちが「削除」された、その後に。
……"その後"、だったけれども。
彼女たちの作品は、消されていない。
現在、ブクガの公式HPにアクセスすると、青色の画面が表示される。
書かれているのは、下記の文言だ。
Maison book girlは削除されました。
あなたが探していたものは現在このアドレスには存在しません。
ここには何もありません。
コンパクトディスク及びインターネット上のミュージックアーカイブは一部を除き削除されません。引き続きお楽しみください。
このエラーページを探していた場合はおめでとうございます!
あなたは完全にそれを見つけました。
存在が削除されたとしても、ファンの心から存在が消えるわけではないし、楽曲を聞いたときの衝撃の数々も、一生忘れられないだろう。
これからもブクガの音楽を聞いていくのが、「削除」への回答、なのだと思っている。
5.おまけの布教活動
最終ライブである『Solitude HOTEL』の公演映像を引用して、この記事を終わりにする。
活動終了から2年後、公式Youtubeにアップされたらしい。な、なぜ、そんな突然……?
今後も何か動きがあるのか、何もないのか。
ドキドキしながら、様子を見守っていこうと思う。
P.S.
記事を書いていたら、メンバー・矢川葵さんがご結婚されたとの発表があった。タイミングが良すぎる! おめでとうございます!
