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ゴンクール賞×アメリカミステリー年間ベスト。ジャンルレスな傑作『異常【アノマリー】』を読んだ感想

こんにちは!今日紹介するのは、フランスで110万部を突破してゴンクール賞を受賞した、エルヴェ・ル・テリエの小説『異常【アノマリー】』です。

「あらすじを検索しないでほしい」という本が、また現れた


この作品、紹介する側が一番困る小説なんですよね。あらすじを書こうとするたびに「それ書いたらネタバレじゃないか」となってしまうんですよ。読んだ人たちのレビューでも「ジャンル分けもあらすじも何もかも難しい」という言葉が並んでいて。ぼくもまさにそうで。

なので今回も最低限だけ書きます。

登場するのは、殺し屋、売れない作家、弁護士、がんを告知された男、映像編集者……まったくつながりのない人たちが、ある飛行機に乗り合わせるんです。その飛行機が未曾有の巨大嵐に遭遇して、乗客は奇跡的に生還する。でもそれは「未曾有の異常事態」の始まりにすぎなかった、という話なんですよね。

これ以上は書きません。書けないんですよ。

第一部の「溜め」が、読む手を止められなくする


この小説は三部構成で、第一部が「異常」を体験する登場人物たちの日常を描く群像劇になっているんですよ。正直、序盤は読みにくいんです。なんのつながりもない人たちの日常が交互に描かれて、「これって何の話なんだろう」という状態が続くんですよね。

でもそれが全部「溜め」なんですよ。クラブミュージックのブレイク前のワクワク感が永遠に続くような感じで、じわじわと不穏な空気が積み重なっていくんです。そして第一部の終わりで「異常事態」の正体が明かされた瞬間、一気に加速するんですよね。そこからは止まれなかったんです、ぼく。

「読み終えた今、最高に気持ちよくて、気持ち悪くて、怖くて、楽しくて、虚脱しながら興奮している」というレビューをどこかで読んだんですけど、この感想がめちゃくちゃ正確なんですよ。

SFが苦手な人も、ミステリー好きも、文学好きも、全員に刺さる可能性がある


ジャンル分けがめちゃくちゃ難しい作品なんですよね。SFとも言えるし、ミステリーとも言えるし、文学とも言える。ゴンクール賞はフランス最高峰の文学賞なんですけど、アメリカのミステリー界でも年間ベストと評価されているんですよ。そのジャンルレスさが、この作品の懐の広さだと思うんですよね。

ひとつだけ正直に言うと、「ミステリーとして謎がスッキリ解明される」ことを期待すると肩透かしを食らうかもしれないんです。この小説は謎を解くことよりも、「異常に直面した人々がどう向き合うか」を描く物語なんですよ。そこを理解してから読むと、ラストの余韻がめちゃくちゃ深くなるんですよ。

登場人物が多くて外国人の名前が覚えにくいのも正直なところで。でも巻末に登場人物表が挟まれているので、それを活用しながら読んでほしいんですよね。

というわけで


「感情を乱気流でシェイクされる」という読後感、読み終えたあとしばらく、日常に戻れない感じがして。そういう体験をさせてくれる小説って、なかなかないじゃないですか。

あらすじは絶対に調べないで。裏表紙のコピーも、できれば目を通さないで。白紙の状態で第一部を乗り越えたとき、この作品の本当の顔が見えてきます。


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