才能とギフテッドの理解
7月も終わりが近づいてきましたね。
皆さん、夏バテせずに元気に過ごせていますか?
実は今月の第1土曜日に、愛媛大学教育センターによる「Gifted × Japan:新たな才能教育の扉を開く」と題された記念イベントが、お茶の水女子大学にて開催され、参加してきました。
当日の開催内容については、以下のリンクからご覧下さい。
イベントの感想
全体的に面白く学びになるものが多くて、良かったです。開会式を終えた後、ギフテッド教育のパイオニアであるDr. Joseph RenzulliとDr. Sally M. Reisによるレジェンド・トークがオンラインで公開され、才能伸長・拡充教育「SEM(The Schoolwide Enrichment Modelの略)について学びました。
レジェンドトークのハイライトは、やはり、アメリカのギフテッド教育で現在主流となっている才能伸長(Talent Development)の中心にいたレンズーリ先生方が、理論の構築にとどまらず、すべての子の可能性を公立校の中で伸ばせる実践的なSEMを研究開発してきた50年の歩みです。https://t.co/jeZKumffdk
— 知久 麻衣 | 才能伸長教育「SEM」専門 (@mcatwork) July 24, 2025
SEMとは、アメリカ・コネチカット大学のジョセフ・レンズーリ博士によって開発された教育モデルであり、その中核をなすのが「拡充三つ組モデル」と訳されるETMです。才能伸長というと、ギフテッド教育のイメージが先行しがちですが、実は全ての子どもを対象としたインクルーシブ教育でもあります。
その後は、韓国の才能教育、特異な才能のある児童への指導・支援などをテーマとした研究紹介・講演・シンポジウムの目白押しでした。講義を聴きながらメモ書きに勤しんでいたため、内容を完全に把握しきれていないのですが、韓国における才能教育はAI人材の養成や大学生によるオンラインの学習支援などに力を入れており、科学の才能がある生徒を集めた学校へ訪問するプログラムがあるようです。詳しい方がいらっしゃいましたら、コメントなどでご教授お願いします。
イベントの終盤は、3つに分かれたワークショップがあり、私は知久麻衣氏担当のSEMと拡充アイデアのワークショップへ参加しました。先ほど紹介したSEMを日本国内で、しかも家にいながらでも実践できる「おうちSEM」もワークショップ内で体験という貴重な時間でした。その中でも特に数学のSEMで答えが36になる式をできるだけ多く考えるというのがあり、算数・数学が得意(だった)な私は持ち前のワーキングメモリーを活かして無双し、他の参加者を圧倒しましたw
皆さんは36になる式をどのくらい思いつきますか?
私は頭の中で暗算しながら以下のように思いつきました。
・6^2
・√1296
・(2×3)^2
・2^2×3^2
・54-18
・18×2
・2^5+4
・100100(2進数)
・10×3+6
・2^6-28
・72÷2
2進数や√以外に素因数分解や冪乗といった知識も上手く活用し、さすがの講師も私の意外な解答ぶりに仰天したほどでした。
昨年受けたWAIS-IVでワーキングメモリーの下位検査である「数唱」を16点という上位2%相当の高さで、更にギフテッド群の平均値を上回るスコアを叩き出したくらいなので、朝飯前でした(笑)
一般的にギフテッドは数学が好き・得意な人が多いですが、LDの一つである算数障害を伴うケースもあります。全体的にワーキングメモリーが強くても数字や計算が苦手というタイプもいるので、ギフテッドだから算数や数学系に強いとは限りません。実は数学者でも釣り銭の計算が苦手な人も珍しくないのです。
才能とギフテッドの関係
結論から言うと、才能とギフテッドは似て非なるものです。なぜなら才能はギフテッドでない人にも備わっているものであり、ギフテッドはキリスト教の発想をベースに生まれた教育上の概念であると同時に非同期発達の表現形でもあります。
実はいずれも共通の定義が存在せず、ギフテッドもまた国によって歴史や文化が異なるため、認定基準も統一されていません。そのため、文脈や認定する人によって様々な解釈ができ、ブレやすいんです。ネット上でギフテッドを自称する者が跋扈しているのも腑に落ちるかと思います。
日本国内においてギフテッドの定義や認定基準を明確化し、明文化するならレンズーリ教授の「才能三輪モデル」をベースに、日本に合うよう最適化するのが望ましいと私は考えます。
【レンズーリ教授の三輪概念】
— 知久 麻衣 | 才能伸長教育「SEM」専門 (@mcatwork) July 22, 2017
平均以上の能力に創造性(独創性?ひらめき?)とタスク・コミットメント(課題をやりぬく意力)が加わったとき初めてギフテッドネス(才能)が明白になる。
"ギフテッドネスとは贈り物のようだ。包みから出さなければ "(本人にも)見えない。 pic.twitter.com/kEHju2r1nC
Giftednessとは、「平均以上の能力」「創造性」「課題へのコミットメント」の3つの要素が合わさったものです。平均以上の能力とはIQ以外の一般能力も含まれます。ギフテッド=高IQ、という固定観念を捨てましょう。
ギフテッドをIQで測る概念は1950年代まで続き、研究者たちは1960年代には創造性の重要性が広がったと言われています。残念ながら、日本にはまだまだギフテッドに対する誤解や偏見があるようです。
— JGTEA (@gifted_dao) March 3, 2025
ギフテッドビジネスは情弱を狙っている
日本ではかねてよりギフテッドに対する誤解や偏見が多く、誤情報も溢れています。2018年頃から一般的に知られるようになりましたが、2025年7月現在においてもまだまだ正しい理解が根付いているとは言えません。情報弱者をターゲットにしたギフテッドビジネスが存在するのもまた事実です。
ギフテッドは医者から告げられることで診断される ×
ギフテッドは学校の先生によって認定される 〇
ギフテッド外来やギフテッド診断という言葉だけがひとり歩きしているようですが、医者はギフテッドという言葉を医学用語として商用または診断できません。情弱ビジネスがギフテッド界隈で温床化しています。世界基準ではギフテッド教育に基づく認定というシステムがあり医者は畑違いで権限がないのです
— JGTEA (@gifted_dao) January 11, 2025
本物のギフテッドとか自称ギフテッドという議論がされている背景には誰も知見がないからであって、そこをちゃんと整備さえすれば傷つく人も傷つくのが怖くて隠れている人も堂々と胸を張って生きれるのにな。認定は学校の先生しかできないから、まずは先生を育成することから始めないと。 https://t.co/B1CTfjxS7z
— Jasco🇯🇵🇺🇲🪙 (@jasco51) July 28, 2023
繰り返しますが、ギフテッドは教育上の概念であって、医学上の概念ではありません。日本ではギフテッド診断を謳うクリニックやサイトが存在し、未だにIQを基準に「あなたはギフテッド」と告げる医者もいます。そういう所は詐欺を疑い、行かないのが賢明です。
また、日本ではギフテッド認定してくれるJGTEAという団体が存在します。少しでもギフテッドの可能性を疑っている方は、認定相談を受けることを推奨します。
