見出し画像

喜多郎と宗次郎~似てる?似てない?~徹底比較!

僕が大きな影響を受けた二人の偉大な音楽家、喜多郎さんと宗次郎さん。

グラミー賞受賞者で世界的なシンセサイザー奏者の喜多郎さんも、日本を代表するオカリナ奏者で第一人者の宗次郎さんも、ヒーリング・ニューエイジ音楽(癒し系音楽)の代表的アーティストとしての地位を築いておられますが、なぜだか巷では、このお二人、非常によく混同されます。

癒し系音楽が好きで、お二人の作品に親しんでおられるファンの方は、違いはよくわかっておられて、詳しくご存知だと思うのですが、他のジャンルの音楽愛好家の方や、それほどニューエイジ音楽に詳しくない方だと、このお二人、よく間違われてごっちゃにされてしまったりします。

「音楽のキタロー?ああ、あのオカリナ吹く人でしょ?」とか、「ソウジロウ?その人、アメリカに住んでる人だっけ?」とか言われたり…。

喜多郎さんと宗次郎さんは、果たして似ているのか?それとも似ていないのか?なぜ混同されてしまうのか?

お二人のことやお二人の音楽のことをよく知る身として、様々な面から考証し、徹底比較してみたいと思います。

喜多郎ファンの方も宗次郎ファンの方も、お二人の違いがよくわからない方も、どうぞ楽しんでお読みください!


<比較その①:外見>

人と人が似ているか似ていないかの一つの大きな判断基準が、外見・容姿になるかと思います。

実はこのお二人、2011年11月5日のコンサートで共演されておられて、その際の模様を、宗次郎さんの当時のマネージャーの方がブログに書いておられます。

お千代のブログ「夢のコラボレーション」http://ameblo.jp/ochiyo-blog/entry-11075428082.html

このブログ記事に、お二人が並んで写っている写真がありますので、まずはこちらのリンクよりご覧下さい。(→http://ameblo.jp/ochiyo-blog/image-11075428082-11604816397.html

ご覧いただけましたでしょうか?

左の黒い服の人が喜多郎さん、右の白い服の人が宗次郎さんです。

見比べると、お二人の共通点としては、長い髪とヒゲが挙げられます。

まず髪ですが、宗次郎さんは基本的に後ろで縛っておられるスタイルで、ほどいた状態はほとんど見受けられません。(アルバム『静かな地球の上で』『オカリナエチュード4~チャーチ』の頃に、ほどいた姿でCDジャケット・解説書に写っておられますが、この時期の頃だけにしか見られませんでした。この時期以外は常に後ろで束ねておられます)

対して喜多郎さんは、普段は後ろで束ねておられたりしますが、ほどいた姿で写真に写っていることも多いです。コンサートの時も基本的には束ねずに、ほどいた姿で演奏されておられます。

ですので、お二人を外見で見分ける際の大まかなポイントの一つが、髪をくくっていれば宗次郎さん。束ねていなければ喜多郎さんということになります。
(面白いことに、上記の宗次郎さんが髪をくくらずに写真に写っておられた時期、2001年前後の頃ですが、逆に喜多郎さんは髪をくくっておられることが多かったです。たまたまだとは思いますが…)

次にひげですが、喜多郎さんは口ひげ・あごひげともに、きちんと整えられています。特にあごひげは、きれいに逆三角形の形に整えられていて、そこから察するに、中々几帳面な性格なのかもしれませんね。

対して、宗次郎さんは、口の周りを囲む感じの無精ひげっぽいひげです。

お二人を外見で見分ける際の大まかなポイントの二つ目が、整えられたひげだと喜多郎さん。無精ひげっぽいひげなら宗次郎さんです。

また、日本人の顔立ちは大きく分けて、縄文系と弥生系に分かれるそうですが、宗次郎さんの方が眉やひげが濃く、どちらかというと縄文系。喜多郎さんは弥生系の顔立ちな気がします。

たしかに一見すると、外見が似ているように思えるお二人ですが、見慣れればこういった感じで、ちゃんと見分けることができ、厳密にはそっくりとまでには似ているとは言えないのではないかと思えるのですが、いかがでしょう?

さて、外見上でお二人を見分けられるようになったところで、次は人物にフォーカスを当ててみたいと思います。


<比較その②:人物>

ここでは、お二人のプロフィール、ライフスタイルなど、人物像を比較してみたいと思います。まず、お二人の出身地と生年月日です。

・喜多郎さん:愛知県豊橋市出身。1953年2月4日生まれ。
・宗次郎さん:群馬県館林市出身。1954年10月10日生まれ。

喜多郎さんの方が一歳年上ですね。出身地はそれぞれ愛知県と群馬県。お二人とも実家は農家だそうです。

「えっ!喜多郎と宗次郎って、兄弟じゃないの!?」と思われた方もおられるかもしれません。なぜだかこのお二人、兄弟だと思われて勘違いしている方もたまにおられたりしますが、全くの他人です。

お二人とも芸名で、本名は、喜多郎さんが“高橋正則”、宗次郎さんが“野村宗次郎”です。

宗次郎さんは、本名から名字を外して芸名にしたパターンですね。

喜多郎さんは、高校時代のニックネームがもとになっているそうです。
(高校時代に髪の毛を長く伸ばし始めて、その長髪の風貌が、ゲゲゲの鬼太郎っぽいという所から“キタロー”と呼ばれるようになり、芸名にする際に“鬼”では縁起が悪いので、“喜びが多い”と、より良い意味の漢字を当てて名前にしたそうです)

このように、出身地や家系は全く異なるお二人ですが、音楽業界に入るきっかけ、出世作、ライフスタイルにおいては、非常に多くの共通点が見られます。

おそらくお二人が似ていると思われてしまう要素が、ここにあるのではないかと考えられます。


喜多郎さんも宗次郎さんも、ある一人の音楽プロデューサーに見出され、デビューを果たされました。

サウンドデザインというレコード会社の、南里高世(TAKA NANRI)さんです。

まさに、日本のヒーリング・ニューエイジ系音楽の草分け的なレーベルと名プロデューサーですが、この南里さんによって、お二人とも人気アーティストに育て上げられました。

ですので、喜多郎さんも宗次郎さんも、元々はサウンドデザイン所属アーティストとして活動され、その後独立し、現在の活動にと至っています。

そして、そのサウンドデザイン時代に、お二人とも代表作となる作品を生み出されました。

それが、NHK特集(現NHKスペシャル)の音楽です。

まず喜多郎さんが、1980~84年にかけてNHK特集『シルクロード』の音楽を担当し、シンセサイザーという最先端の楽器を駆使しつつも、郷愁と西域への浪漫を感じさせる美しい音楽で、一躍脚光を浴び、ブレークしました。

『NHK特集『シルクロード』テーマ曲』
(喜多郎さん所属レーベル・DomoMusicのYouTubeチャンネル・公式動画)


それに続き、宗次郎さんが1986年に、同じくNHK特集『大黄河』の音楽を担当し、注目され、オカリナの世間での認知度を一気に高めました。

『NHK特集『大黄河』テーマ曲』
(サウンド・デザインYouTubeチャンネル・公式動画)


この『シルクロード』と『大黄河』、ともにお二人を支えられたのが、南里高世さんでした。

デビュー&ブレークしたのは喜多郎さんの方が先で、宗次郎さんの方が、サウンドデザインの後輩アーティストということになりますが、二人とも同じプロデューサーによる同一レコード会社出身のアーティストであることと、日中共同取材による中国をテーマに扱ったNHKの番組によって、世間的に認知されたということは、大きな共通点であると言えます。

(ちなみに、デビュー作となった1stアルバムを出した年は、喜多郎さんが1978年『天界』、宗次郎さんが1985年『グローリー・幸福』でした)

一般的には『大黄河』よりも『シルクロード』の方が、知名度は上かもしれませんが、何となく仙人みたいな風貌で、NHKの中国を扱った番組の音楽を作った人ということで、お二人を混同してしまう方も多いようです。

“仙人みたいな”と書きましたが、そのライフスタイルも共通点があります。

お二人とも人里離れた山奥に住んでいて、自然の中で音楽をしている、といったイメージを一般的に持たれており、そこからお二人を混同してしまうということもあるようです。

実際に、お二人とも自然豊かな環境に身を置いて、曲作りをされているのは事実ですので、この点は似ていると言えますね。


お二人が今までに活動の拠点としてきた場所を紹介しますと、宗次郎さんは群馬県館林市で生まれ育った後、高校卒業後は、アルバイトをして貯めたお金で、日本各地に理想の土地を探して旅をされ、北海道の農家や山奥の温泉などで住み込みで働いた後、栃木県田沼町飛駒(現佐野市)の山中にて、オカリナ奏者・制作者の火山久さんに弟子入り。三年間修業した後に、栃木県茂木町のわらぶき屋根の空き家に移り住む。その後、そこから程近い廃校となった小学校跡地に移り、オカリナ制作の工房を作り、オカリナ作りと演奏活動に勤しむ中、1985年にレコードデビュー。その後は茂木町から茨城県常陸大宮市に移り、現在は“オカリーナの森”を拠点に活動されています。

一方、喜多郎さんは、愛知県豊橋市に生まれ育ち、高校卒業後、名古屋でバンド活動をしたのちに上京。東京では、主に土木工事や港湾作業などのアルバイトをしながら音楽活動され、バンド“ファー・イースト・ファミリー・バンド”の一員として世界中を旅され、バンドを抜けてソロ活動に入り、ソロデビュー。富士山麓や鎌倉を拠点にした後、長野県八坂村(現大町市)の山奥の古い民家をスタジオに改造して拠点とし、シルクロードのサントラなど数々の名曲を生み出されました。その後も、日本で活動する際には、この長野の家を拠点にされているそうですが、90年代以降はアメリカをメインの活動拠点にされています。

アメリカでは、コロラド州ボルダーのロッキー山脈標高2800mの山上を拠点に活動後、2006年からは、カリフォルニア州のサンフランシスコ近郊の田園地帯の町セバストポールを拠点にされています。
(2021年に喜多郎さんは、日本の長野市戸隠に本拠地を移転されました。日本・信州への復帰となります)

こうしてみると、宗次郎さんは一貫して、山の中や自然の中を拠点にされておられるのに対し、喜多郎さんは都会暮らしの経験もあり、都会からどんどんと山奥の方へと拠点を移して行き、現在は再び、人里におりて来たといったところでしょうか。(前述の通り、2021年より長野市戸隠に拠点が移り、再び山の方に戻られました)

喜多郎さんは、長野やロッキーといった山の上を拠点にしているイメージが、一般的には強いので、お二人とも仙人暮らしをしている音楽家といったイメージでとらえられて、混同されてしまいがちなようです。

そして、主に自然からインスピレーションを受けて、音楽を作っておられるスタンスも共通しており、その辺りも、似ているととらえられてしまう部分なのかもしれません。


余談ですが、実は僕は、お二人ともに直接お会いしたことがあります。

2017年には、お二人のコンサートに別々に出かけ、その折に機会に恵まれて、握手していただけました。

直にお会いして握手を交わして思ったことは、お二人は大分、人物像というか性格が違うなと感じました。よく巷ではごっちゃにされてしまうお二人ですが、全く違う雰囲気を持っておられると思いました。

宗次郎さんは、その音楽そのもので、純朴で穏和な山の人という感じの方でしたが、喜多郎さんは、たぶんかなり体育会系な方なんじゃないかなと思いました。

喜多郎さんの音楽は一見、癒し系と思われがちですが、実は熱血漢で、熱い情熱を心に秘めておられるなあと。握手した時に、すごく心の力強さを感じるなと思いました。

それと、喜多郎さんは何となく、割と頑固な職人肌タイプの方なのかもしれないですね。

もっとも、普段はとても優しくて気さくな方で、笑顔でフレンドリーな人柄なのですが、宗次郎さんと比較して、何となくそんな気が伝わってきました。

でも、直接お会いすることができて、喜多郎さんも宗次郎さんも、本当に素晴らしいお人柄の方達で、その人柄が音楽に現れて、聴く人に力や癒しを与えるんだろうなと思いました。

やはり、人間性というのは、音楽家としても、とても大事なんだなとその折にはつくづく感じました。


<比較その③:演奏楽器>

次に、お二人の演奏楽器を、徹底比較してみたいと思います。

その演奏楽器ですが、喜多郎さんはシンセサイザー奏者、宗次郎さんはオカリナ奏者です。

ここで、比較その①のところで紹介しました、2011年11月5日のコンサートでの共演時の、宗次郎さんの当時のマネージャーさんのブログより、お二人が共演した際のステージ写真をご覧下さい。(→http://ameblo.jp/ochiyo-blog/image-11075428082-11604735301.html

手前の黒い服でシンセサイザーを弾いているのが喜多郎さん。奥側の青い服でオカリナを吹いているのが宗次郎さんです。

喜多郎さんはシンセサイザー以外にも、様々な楽器を奏でられる、マルチ器楽奏者です。

シンセサイザーは、愛用のコルグ製のアナログ・シンセサイザーをメインに扱うほか、デジタル・シンセも使っておられます。

シンセサイザーの他にも、民族楽器を中心に、ギターやシタール(インドの弦楽器)、笛や打楽器なども演奏されます。

打楽器では、主に和太鼓をたたくことが多く、笛は、ネイティブ・アメリカンの笛インディアン・フルートを演奏されます。喜多郎=シンセのイメージを持たれている方には、意外に思われるかもしれません。

ちなみに、喜多郎さんのインディアン・フルートの腕前は、かなりのレベルです。

※喜多郎さんのインディアン・フルート演奏(中国・西安でのライブより)

ただ、喜多郎さんはオカリナは演奏されません。

喜多郎さんがオカリナを吹くと勘違いされている方も、とても多いですが、オカリナを演奏されるのは宗次郎さんの方で、喜多郎さんはオカリナの演奏はされていません。

(喜多郎さん、コンサートではハーモニカを披露されたこともあり、もしかしたら、今までに個人的なレベルでは、オカリナを吹いたこともあるかもしれませんが、公の場では一切ありません。でも、喜多郎さんのことなので、習得する気になればオカリナも吹けるようになってしまうかもしれませんね。でも、“キタロー”の名前でオカリナを吹いてしまうと、それこそ、某マンガの主人公を彷彿させてしまうことに、なってしまうような気が…)


一方、宗次郎さんはオカリナの専門家として、コンサート・CDなどでは、オカリナのみ演奏されています。

演奏に使うオカリナは、ご自身で作った手作り品の楽器を使用されます。

師匠の火山久さんから独立後に、デビューするまでに作った、約一万本のオカリナの中から、ピッチなどの面で、お気に入りの十数本を現在も使い演奏活動されています。(http://sojiro.net/contents/profile_ocarina.html

ただ、実は宗次郎さん、オカリナ以外にもギターとキーボードが演奏可能、もしくはかつて演奏していた可能性が高いです。

というのも、宗次郎さんが火山久さんと出会いオカリナを志す以前は、ギターで弾き語りフォーク・ソングを歌っておられたということです。

そんな宗次郎さんが、オカリナの音色を聴いて、この笛なら、オカリナならば、もはや歌詞はいらない!と感じ、フォークシンガーを辞めてオカリナの道に入られたとのことです。

つまり、若い頃には、かなりギターを演奏されておられたのだろうと推測できます。もっとも、オカリナ演奏を始められてからは、ギターの演奏はされておられないと思われますので、今現在、宗次郎さんがギターの演奏が可能かどうかは不明です。

一方、キーボードに関しては、ある程度、演奏が可能なのだと思われます。

1994年3月に、瀬戸内海放送局25周年記念番組『瀬戸内海・島物語~宗次郎が奏でる心の旅』という番組がTV放送され、番組内で、テーマ曲の「魂の島々」を作曲されているところが映っていたのですが、その作曲の際、キーボードを使い曲を作っている様子が映し出されていました。

ここから察するに、宗次郎さんは作曲の際、オカリナだけでなくキーボードも使われるのだということが分かります。

もっとも、先述のように、現在はコンサートやCDではオカリナのみ演奏され、基本的にキーボードなどその他の楽器の演奏は担当されません。

しかしながら、初期の活動の頃・サウンドデザイン時代の宗次郎さんのライブ・ビデオ『宗次郎 on STAGE』を入手して鑑賞した折、いくつかの曲の間奏部分で、宗次郎さんがキーボードを弾いておられる姿を拝見しました。

そこから推測して、初期のサウンドデザイン時代の頃のライブでは、かなりの頻度でキーボードも演奏しておられた様子です。
(ちなみに、宗次郎さんが弾いておられたのは、デジタル・シンセの名器YAMAHA DX7のようでした)

以下で紹介するのは、おそらく1990年以前頃のコンサートの動画で、版権会社のサウンドデザインがYouTubeに公式にアップしている映像です。
曲は「道」で、間奏部分でキーボードを弾いている宗次郎さんのお姿が、わずかながら映っています。(3分50秒ごろ)


<比較その④:曲作りとテーマ性>

次に、オリジナル作品における曲作りとテーマ性についてですが、喜多郎さんは作曲と編曲をすべて一人でこなし、オーケストラ曲などの際にのみ、オーケストレイター(オーケストラ編曲家)にアレンジを依頼されておられます。ですので、基本的には曲作りにおいて、すべて自分自身で作り上げておられます。

一方、宗次郎さんは、オカリナで演奏する主旋律・メロディーをご自身で作曲し、編曲に関しては、基本的に編曲家・アレンジャーの方に委ねるスタイルで曲作りをされています。

編曲という作業は、専門的な知識やセンスが必要とされるので、シンセサイザーとオカリナ、各々が専門とする楽器の違いが、編曲までを自身で行うかどうかという違いに、出ていると言えます。


ですので、喜多郎さんのアルバムは、編曲の面では概ね一貫性があり、急激に作風が変わるということはあまりありませんが、宗次郎さんのアルバムは、編曲を担当する編曲家により、曲調や雰囲気ががらりと変わることがあります。

例として、1995年『光の国・木かげの花』(編曲:坂本昌之)と、一年後1996年『Japanese Spirit』(編曲:大塚彩子)が挙げられます。わずか一年違いのアルバムなのに、作風が全く異なるものとなっています。

編曲家によって、どう音楽が変わるのかという楽しみ方ができるのも、宗次郎さんのアルバムであると言えます。


テーマ性としては、お二人とも、自然からインスピレーションを受けて作られた音楽であるという所は共通点ですが、喜多郎さんの方が、より東洋やアジア・日本的なテーマにフォーカスをあてた作品が多いです。(『シルクロード』を始めとして、『古事記』『空海の旅』シリーズなど)

宗次郎さんも、『大黄河』『Japanese Spirit』『古~いにしえみち~道』などは、アジアや日本をテーマにした作品ですが、それ以外にも、北欧・東欧をテーマにした『天空のオリオン』や、アヴェ・マリアをテーマにした『土の笛のアヴェ・マリア』など、西洋的なテーマ・アプローチの作品もあり、洋の東西に捉われることなく、自分が感じたこと、描きたいテーマを自由に取り上げておられる印象があります。

お二人とも、地球や大自然の息吹を感じさせてくれるような音楽が魅力であり、そこが、多くの人から支持を得ている点と言えます。

このように、テーマ性においては、若干の違いが見受けられますが、音楽の根幹の一つである音色の点ではどうでしょうか。

宗次郎さんのオカリナの音色の最大の特色として、その透明感のある澄んだ音色が挙げられます。

「水心(すいしん)」や「天空のオリオン」のように、ソプラノのC管やG管を使用した曲が、その代表格ですが、心が洗われるような清らかな音色で、すぐに宗次郎さんのオカリナの音だと判るほど、特徴的です。

その清々しい音は、他のオカリナ奏者の追随を許さないほど、宗次郎さん独自の個性を持っています。

※宗次郎さんの代表曲「水心」と「天空のオリオン」(イタリアでのライブ演奏)


実はこの“透明感のある”“澄んだ”“清らかな”音色であるという点で、喜多郎さんのシンセサイザーも相通ずるものがあります。

喜多郎さんの曲において、主旋律・メロディーを奏でる際、アナログ・シンセサイザー(miniKORG700Sなど)によるリード音が多用されていますが、このリード音の音色の特色が、まさに透明感のある澄んだ音色であり、喜多郎さんのシンセサイザー音楽の最大の個性となっています。

(ちなみに、喜多郎さんが初めてシンセサイザーを入手したのは、バンド“ファー・イースト・ファミリー・バンド”のメンバーだった時代の前頃で、当時では最新鋭のアナログ・シンセサイザーを購入したものの、取扱説明書が電気用語ばっかりで意味が分からず、スイッチ類をいじり倒しても、丸一日音を出すことができず、試行錯誤の末、ようやく出た音が海の波のような音だったとのことです。そこで喜多郎さんは、シンセサイザーという楽器は景色や情景を描写するのに、とても向いている楽器なんだと思われたそうです。)

喜多郎さんは、時には「エストレイア」のように、まるでオカリナを思わせるようなリード音を使うことがあり、喜多郎さんのアナログ・シンセサイザーと宗次郎さんのオカリナは、音色の特色・持ち味という点では、非常に近い、似ている個性を有しています。

※喜多郎さんのグラミー受賞作『Thinking of you』より「Estrella エストレイア」


喜多郎さんと宗次郎さんの音楽が、似ていると言われたり、混同されたりする、一つの大きな要因が、この、メロディー楽器の音色の近似性によるものであると思われます。

また、メロディーラインにおいても、喜多郎さん宗次郎さんともに、五音音階(ドレミソラという、ファとシを抜いたいわゆる四七抜き音階)のメロディーが多く、または、五音音階にシの音を足した音階(ドレミソラシという、ファを抜いた四抜き音階)によるメロディーが多いのが特徴と言えます。

このように、音楽の重要な要素である、音色とメロディーにおいて、多くの共通性が見られ、そこから、二人が似ていると言われてしまうことに、つながっているのではないかと考えられます。

実際、喜多郎ファンの方で宗次郎さんの曲も聴くという方や、宗次郎ファンの方で喜多郎さんの曲も聴くという方は多く、自分のように二人とも大好きという方も多いと思います。

(ちなみに、「神々の詩」で知られる、岩手県を拠点に“東北”にこだわった音楽を作曲された、シンセサイザー奏者の姫神星吉昭さんの中期の頃、特にアルバム『まほろば』『海道』『北天幻想』『雪譜』あたりの作風も、先述のような喜多郎さん宗次郎さんお二人の音楽性と、共通する要素が強く、喜多郎+宗次郎+姫神でベストセレクションされて、通販のCD企画が組まれたりしたことも、かつてありました。喜多郎ファンの方、もしくは宗次郎ファンの方で、姫神サウンドも好きという方や、姫神ファンの方で、喜多郎さんや宗次郎さんの音楽も聴くという方も多いかもしれません)

喜多郎さんと宗次郎さんを比較したところ、外見は別として、ライフスタイル・人物像・音楽性においては、多分に共通性が見られ、似ていると言われたり、混同されたりする理由が推測できました。

しかし、全く別の視点から、二人が混同される原因(犯人)に思い当たることがあります。


<余談:〇〇〇の〇〇郎犯人説>

音楽関連の事柄の他に、喜多郎さんと宗次郎さんが混同されてしまう原因(犯人)として、ある有名なキャラクターが思い当たります。

<ゲゲゲの鬼太郎犯人説>

日本人だれしも知っている、妖怪の少年キャラクター・鬼太郎

ご存知、水木しげるさん原作の漫画『ゲゲゲの鬼太郎』の主人公ですが、喜多郎さんと宗次郎さんが混同されてしまう原因の一つが、この鬼太郎の存在であると考えています。

目玉おやじもビックリな説かもしれませんが、解説します。

喜多郎さんの芸名の由来が、ゲゲゲの鬼太郎から、ということは先述しました。

実はこの鬼太郎、オカリナを吹くんです!(アニメ版第3作・第4作にて)

さらに、オカリナを武器にして悪い妖怪と戦ったりします。オカリナの唄口のところがぐ~んと伸びて、剣のようにして戦います。このアニメのゲゲゲの鬼太郎のイメージで、鬼太郎と言えばオカリナを持っているという印象が、アニメ版第3作や第4作を見ていた世代(僕のような1970年代生まれ周辺の世代)を中心に、浸透してしまっており、

オカリナを吹くキャラクター⇒鬼太郎⇒キタロー⇒喜多郎⇒オカリナ奏者

という風に、勘違いされている可能性があります。

実際には、オカリナ奏者は宗次郎さんなのですが、喜多郎さんがオカリナ奏者と間違われてしまう原因・犯人は、ゲゲゲの鬼太郎にあるのではないかと考えています。

それにしても、オカリナは元来陶器製で割れやすく、とてももろいので、武器にするには圧倒的に不向きだと思われますが、きっと鬼太郎のことなので、妖力で強化して戦っているのでしょう。

また、同じく水木しげるさんのもう一つの代表作『悪魔くん』にもオカリナが登場します。

こちらは“ソロモンの笛”という名称で登場し、重要なアイテムとなっています。(一説には、このソロモンの笛をアニメの鬼太郎に流用して、鬼太郎の妖怪オカリナとなったそうです)

水木しげるさん、もしかしたらオカリナが好きだったのかもしれませんね。


<比較その⑤:知名度・その他>

喜多郎さんと宗次郎さんの知名度の比較ですが、世界的な知名度の高さについては、喜多郎さんの方が圧倒的に高いです。

やはり(かつては)アメリカを拠点とし、ワールドワイドにコンサート活動をされているので、日本人ミュージシャンの中でも、群を抜いて国際的知名度は高いです。

(一般の日本人男性で、ロングヘア&髭の外見でバリ島を歩いていたら、現地の人に「Oh!Kitaro!!」と声をかけられた…という逸話があったりします)

対して宗次郎さんは、オカリナ愛好者やニューエイジ音楽愛好者の方ならば、海外でも知っている人はおられるとは思いますが、一般的な知名度は、日本や東アジアに限られてくると思います。

活動拠点が日本で、コンサートも主に日本国内がメインなので、やむなしですが、90年代を中心にTV出演を活発にされていたので、日本では昭和生まれの世代の人なら、宗次郎さんの知名度はそこそこ高いと思われます。

逆に平成時代以降生まれの若い世代の人の場合は、宗次郎と言うと、オカリナ奏者ではなく、剣客マンガ『るろうに剣心』に登場する剣士のキャラクターを連想するようです。

もっとも、喜多郎さんと宗次郎さんを混同してしまっておられる人も少なくはないので、日本での知名度はあまり当てにはならないかもしれません。

受賞歴に関しては、喜多郎さんは、ゴールデン・グローブ賞(映画『天と地』音楽)、グラミー賞(アルバム『Thinking of you』)を始めとして、香港の映画賞で最優秀音楽賞(映画『宋家の三姉妹』音楽)や日本レコード大賞特別賞などを受賞。グラミー賞には、ニューエイジ部門の常連として計17回(2026年時点)もノミネートされています。

一方、宗次郎さんは日本レコード大賞企画賞を受賞されています。

受賞歴についても、国際的な評価は喜多郎さんの方が受けておられますが、一つ注意しなければならないことがあります。

それは、グラミー賞が、あくまでアメリカ国内で発売され流通した作品が対象となるということです。

ですので、喜多郎さんのグラミー受賞あるいはノミネートされた作品を、日本人多くの誰もが知っている、聴いたことがあるという状況には、残念ながらなっていません。(日本でもCDは一応発売されてはいますが…)

喜多郎さんの知名度や人気に関しては、日本よりもむしろ、海外の方が高いと思われます。


また、宗次郎さんのアルバムの流通は、基本的に日本国内が中心ですので、グラミー賞の対象にはなりませんが、例えば、アルバム『古~いにしえみち~道』ならば、喜多郎さんの『空海の旅』シリーズにも、決して引けを取らない素晴らしいクオリティの作品ですので、グラミー賞にノミネートされてもおかしくないレベルだと思います。


コンサートに関しては、アメリカが拠点だったころの喜多郎さんは、日本でコンサートが開催される頻度はそれほど多くはありませんでした。宗次郎さんの方が、日本においてコンサートで生演奏にふれられる機会が、圧倒的に多かったと言えます。


こうして考えると、CD販売やコンサート興行の面からみて、宗次郎さんが邦楽アーティストだとすると、喜多郎さんは、洋楽アーティスト的と言ってもよさそうではないかなと思えるほどです。


<お二人のおすすめ作品紹介>

ここで、お二人のおすすめ作品を紹介したいと思います。

この記事を読んで下さった方で、喜多郎ファンだけど宗次郎は聴いたことがない、あるいは、宗次郎ファンだけど喜多郎は聴いたことがない、という方もおられるかもしれません。

または、二人ともあまり聴いたことがないけど、どの作品から聴いたらいいのかわからない、という方もおられるかもしれません。

お二人とも長いキャリアを持ち、CDも、オリジナル・アルバムやベスト盤を含め30枚以上出しておられますので、最初にどれを聴いたらいいか迷うかもしれません。

ベスト盤を聴くという手もありますが、ベスト・アルバム自体もかなりの種類が出ていますので、オリジナル・アルバムとベスト・アルバムの双方で紹介したいと思います。

※タイトルをクリックするとAmazonに飛びます


【喜多郎ファンにおすすめの宗次郎作品】

『古~いにしえみち~道』

2010年に発表された宗次郎さんのオリジナル・アルバム。

喜多郎ファンの方なら、おそらく東洋的日本的な響きを好んでおられる方も多いかと思いますが、この『古~いにしえみち~道』は、そんな喜多郎ファンの方に、特におすすめの作品です。

「いにしえ~万葉のこころ~」「古~いにしえみち~道」「KAN-NON~観音~」「炎~求道~」など、まさに“和”を感じさせてくれるオカリナ・サウンドです。

宗次郎さんの日本的な曲調のアルバムは、他にも『Japanese Spirit』『まほろば』などがありますが、その中でも、僕はこの『古~いにしえみち~道』が一番のお気に入りです。

このアルバムの前後(2009年、2013年)に発表された『オカリーナの森から』『オカリーナも森からⅡ』とともに、宗次郎さんの最高傑作アルバムだと思っています。

『古~いにしえみち~道』を聴いていると、奈良大和路の風景が目に浮かんでくるかのようです。

この作品では、奈良大和路や仏教が大きなモチーフとなっているようで、ジャケット写真は、奈良県宇陀市の大宇陀・阿騎野の山並みの写真が使われ、また、室生寺や中宮寺の仏像の写真や、奈良県桜井市の長谷寺の枝垂れ桜の写真なども使われています。

ぜひ、宗次郎さんのオカリナによる“和の響き”をお楽しみ下さい!


※アルバム『古~いにしえみち~道』より「古~いにしえみち~道」

宗次郎さんのYouTube公式チャンネルより)


『宗次郎オリジナル・ベスト 1991~2002』

宗次郎さんのオリジナル曲を集めたベスト・アルバムの中では、こちらを紹介しておきます。

手っ取り早く、宗次郎さんの代表曲を聴いてみたい、という方にはぴったりのベスト・アルバムで、「故郷の原風景」「水心」「天空のオリオン」といった人気曲や、コンサートでもよく演奏される曲が収録されています。

さらに、宗次郎さんの代表曲「大黄河」も、大島ミチルさんのアレンジ版で収録されており、入門盤としてもおすすめできる1枚となっています。

他にもベスト盤としては、『宗次郎ゴールデン☆ベスト オリジナル編』がありますが、収録曲はほぼ同じ内容で、曲数自体は、『宗次郎オリジナルベスト 1991~2002』の方が一曲多く収録されています。

このベスト盤を聴いた上で、『木道(きどう)』『風人(ふうと)』『水心(すいしん)』の自然三部作(日本レコード大賞企画賞受賞作)や、気に入った曲が収録されているアルバムを聴いてみるというのも良いと思います。

※CD紹介とは関係ありませんが、2014年に、宗次郎さんが群馬テレビのニュース番組に出演された際の動画が、群馬テレビ・ニュースeye8のYouTubeチャンネルにて公開されていますので、以下に紹介しておきます。
宗次郎さんのことや、オカリナのこと、オカリーナの森での活動のことなどがよく分かる動画です。途中、宗次郎さんによるオカリナ生演奏もあります。



【宗次郎ファンにおすすめの喜多郎作品】

『Thinking of you』

1999年に発表された喜多郎さんのアルバムで、第43回グラミー賞最優秀ニューエイジ・アルバム賞受賞作品。

宗次郎ファンの方でしたら、オカリナを含む“笛”の音色が好きな方も多いと思います。

『Thinking of you』では、喜多郎さんが吹くインディアン・フルートによる曲「Mercury」の他、ペルーからのゲスト・ミュージシャンを迎えて、ケーナサンポーニャといった民族楽器の笛を、ふんだんに取り入れた曲「Fiesta」や「Harmony Of The Forest」も収録されており、オカリナにも相通ずる音色で、気に入っていただけると思います。

喜多郎さんならではの、東洋的日本的な詩情を感じさせるメロディーや音色を味わうこともでき、繊細な自然の風景から壮大な大宇宙まで、イマジネーションの翼を広げさせてくれる作品です。

僕は『Thinking of you』が、喜多郎さんのアルバムの中では一番のお気に入りで、『古事記』とともに喜多郎さんの最高傑作だと思っています。


※アルバム『Thinking of you』より、アンデスの笛ケーナの音色が印象的な「Fiesta フィエスタ」

喜多郎さんのYouTube公式チャンネルより)


『シンフォニー・ライブ・イン・イスタンブール』

2014年に発表されたライブ・アルバムで、2014年3月のトルコ・イスタンブールでの、オーケストラとのジョイント・コンサートの模様を収録したアルバム。喜多郎さんの代表作が収録されており、ベスト盤としても入門盤としても最適な1枚です。第57回グラミー賞ベスト・ニューエイジ・アルバム、ノミネート作品。

宗次郎ファンの方の中には、アコースティックな音の方が好みで、シンセ(電子音)ばっかりのCDはどうも…という方もおられるかもしれません。

この『シンフォニー・ライブ・イン・イスタンブール』は、メインのメロディーは喜多郎さんのシンセですが、他のパートはオーケストラが中心となっており、喜多郎さんのアルバムの中では、もっともアコースティックな響きのアルバムと言えます。

収録曲も、ゴールデン・グローブ賞受賞の『天と地』、グラミー受賞の『シンキング・オブ・ユー』、代表曲『シルクロード』、ビルボード・チャート・ニューエイジ部門1位獲得作の『古事記』など、喜多郎さんの代表アルバムからの曲を楽しむことができ、「マーキュリー」では、アルバム『Thinking of you』の原曲とは違ったアレンジで、喜多郎さんが吹くインディアン・フルートの音色を堪能することができます。

まずはこのCDを聴いてから、『古事記』や『Thinking of you』といったアルバムを聴いてみるのも良いと思います。


※以下の記事もCD紹介とは関係ありませんが、2013年の喜多郎さんへのインタビュー記事です。読むと、喜多郎さんの素顔・人物像への理解が深まると思いますので、紹介します。

『生ける伝説の素顔に迫る 喜多郎インタビュー』


<比較おまけ:ファン層・客層>

喜多郎さんと宗次郎さん、このお二人のコンサートを聴きに来ている客層は、それぞれ少し違う感じがするなあと思ったことがあります。

ともに、ニューエイジ音楽の代表的アーティストとして知られる喜多郎さんと宗次郎さんですが、その辺りの客層の違いは、演奏曲目の違いによることも関係しているのかもしれません。


喜多郎さんのコンサートは、オリジナル曲オンリーですので、必然的に喜多郎さんの音楽を聴きこんでいる方が中心となると思います。そのためか、喜多郎さんのコンサートの客層は、結構、玄人っぽい感じの人が少なくないというか、割と音楽通な雰囲気の方が多いような気がします。

宗次郎さんの方は、コンサートの演目にもよりますが、割とよく知られた童謡や抒情歌も演奏されることもあって、普通の音楽好きな方や素朴な感じの方が多いような気がします。

また、オカリナの演奏に挑戦している子供さんもいてると思うので、小学生やファミリー層の姿もたまに見かけます。


とは言え、喜多郎さんも宗次郎さんも、コンサート会場の年齢層は高めですね。60代・70代以上の方が多くを占めている感じです。
20代くらいの方は非常に少なく(ほとんど見かけないかごくわずか)、自分なんかは、会場では割と若い方の世代に入ってしまうかもしれません。

僕のように、お二人とも聴くという人も多いかもしれませんが、コンサート会場のお客さんの様子を見ていて、何となくそんなことを感じたこともあります。


喜多郎さんと宗次郎さんの徹底比較、いかがだったでしょうか?

この記事を通して、お二人の違いや特色について、理解を深めていただけることに役立てれば幸いです。

そして、ぜひ、お二人の作品を聴いていただいて、親しんでいただければ嬉しく思います。

とても長い記事になってしまいましたが、最後までお読みくださいまして、どうもありがとうございました!

いいなと思ったら応援しよう!