建設業手続き完全ガイド(第8回)その事業承継、許可が消える前に手を打てていますか?
作成日:2026年08月17日 | アジアノア法務事務所
はじめに:社長の高齢化、他人事じゃないですよね
「うちの会社、社長ももう70歳を超えてね……。息子に継がせたいんだけど、建設業許可ってどうなるんだろう」
事務担当者のあなたなら、こんな相談を社内で耳にしたことがあるかもしれません。全国の建設業許可業者は3年連続で増加していますが(国土交通省、2026年5月発表)、その裏では経営者の高齢化と後継者不足も進んでいます。
「事業承継のときに、建設業許可はどうなるのか」。これ、実は多くの会社が「その時が来てから」考えて、慌てることになりがちなテーマなんです。今日はそこを、一緒に整理していきましょう。
建設業許可は「その人・その会社」にしか効かない
まず大前提として、建設業許可は自動車の免許のように「誰かに貸したり譲ったりできるもの」ではありません。会社が合併したり、事業を別の会社に譲渡したりすると、原則としては許可がいったん途切れてしまいます。
「え、じゃあ承継したら許可を取り直すしかないの?」と思いますよね。実はそうならないための仕組みが、令和2年(2020年)の建設業法改正で整えられました。それが「事業承継等の事前認可制度」です。
事前に認可を受ければ、空白期間なしで引き継げる
この制度のポイントは「事前に」というところです。合併・会社分割・事業譲渡によって建設業を引き継ぐ場合、あらかじめ行政庁の認可を受けておけば、承継先の会社は元の会社が持っていた許可番号や工事実績を、途切れることなくそのまま引き継ぐことができます。
たとえるなら、リレーのバトンパスです。バトン(許可)を落として拾い直す(新規申請)のではなく、走りながら手渡す(事前認可)。そうすれば経審の点数や入札参加資格も止まりません。
一方、事前認可なしで承継すると、許可がいったん失効し新規申請からやり直しに。工事実績も経審の点数もリセットされ、入札に参加できない空白期間が生まれてしまいます。
相続の場合は「死亡後30日以内」という締切がある
もうひとつ、事務担当者として押さえておきたいのが「相続」のケースです。個人事業主として建設業許可を持っている社長やご家族が急に亡くなられた場合、後継者となるご家族が許可を引き継ぐには、死亡後30日以内に相続の認可を申請する必要があります。
急な出来事のなかで30日は決して長くありません。葬儀や各種手続きに追われ、うっかり過ぎてしまうケースも実際にあります。個人事業として建設業を営んでいる会社さんは、ぜひこの期限を頭の片隅に置いておいてください。
まとめ:準備は「決まってから」では遅い
事業承継や相続は、いつ会社にとって現実の話になるか分かりません。だからこそ、事務担当者のあなたが「うちは事前認可の対象になるのか」「必要な書類は何か」を、承継の話が具体的になる前から知っておくことに意味があります。
準備には時間がかかりますし、必要書類も決して少なくありません。「そろそろ検討しないと」と感じたときが、動き始めるベストなタイミングです。気になることがあれば、いつでもお気軽にご相談くださいね。
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