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全天候型の遊び場 つながりを育む 〈屋根のある公園〉   04

命をまもる〈 屋根のある公園 〉

◇ “酷暑の夏”に求められる屋内遊び場


猛暑の日が長く続く夏。木陰の少ない公園では、乳幼児の外遊びは厳しさを増している。水遊びの工夫もあれば楽しめるが、見守る保護者のスペースなどに日差しを和らげる工夫がないと長くはいられない。いったい、日本列島はいつから、こんなに暑くなってしまったのだろうか。夏の最高気温が上がっているだけではなく、夏の期間も伸びている。
 
いま、全国で全天候型の遊び場を計画する自治体が増えている。暑い時期の乳幼児の遊び場や親子の居場所として注目されていることもあるかと思う。私が全天候型の遊び場を調べ始めたきっかけは、20年ほど前、赴任地の北海道・旭川で厳冬期でも遊べる良さを実感したこと。非常に寒く雪の多い12月~3月と、その前後で雪も降ることがある11月・4月を含めると、1年のうち5か月以上は外遊びをしにくい土地柄なので、全天候型の遊び場は本当に有難い場所だった。幼児が、冬でも思いきり身体を動かして遊べる場所は貴重だった。しかし今では逆に、乳幼児のとっては命にも関わる酷暑を避け遊べる場所として注目されるようになった。従来からある児童館も、身近な場所で猛暑を避けてすごせる居場所として大切な空間。遊び、涼める場所の確保は、多くのこどもにとって切実な問題になりつつある。
 

◇ “こどもに優しい防災拠点”としての屋内遊び場


全天候型の遊び場は、こどもに優しい防災拠点としての可能性も大きい。のびのび遊べる大きな広場型の屋内遊び場は、災害時に大きな制約を受ける乳幼児のいる親子の避難場所に適した要件を備えている。こども用のシャワー設備や授乳室なども整っている。日本は地震が多い国。多くの避難所は大人数の居場所の確保に精一杯で、乳幼児や小学生の居場所や遊ぶ場がなく、災害による心と身体の様々な不調からの回復にも、こどもの自由な遊びが大切であることが指摘されている。

先日、埼玉県北本市にある北本市児童館に伺った。市役所や防災広場とつながる新しいタイプの児童館(1・2F)で、なかも細かな部屋に区切らず繋がるようになっている。近所のこどもも、様々な親子もお気に入りの場所を見つけて思い思いに過ごしていた。エントランスホールには大きなボールプールや遊具を備えており、市外からも多くの親子が訪れ人気が高い。1階にはこども図書館もある。さらに、前面にある緑に囲われた芝生の防災広場は、外遊びやこどものフェスティバルの場にもなる。市民生活や市政の拠点、災害時の防災拠点、そしてこどもや親子の居場所が一所に繋がるモデルとして学ぶところが多い。広やかな児童館や全天候型の遊び場を、災害時に命を守る拠点の一つとして捉えても良いのではなかろうか。
 

◇ 孤立をふせぐ“命を守る出会い”の場


酷暑や災害時にとても有意義な全天候型遊び場だが、日々の子育てや親子の悩みをサポートする居場所としての役割もある。いま全国にある公設の全天候型の遊び場の約4割で、保育士による子育て支援の相談や、子育てに関わる講座やふれあい事業が行われている。

例えば、社会的に子育てを支えるソーシャルワークの拠点としている市町村もある。北海道岩見沢市中心部の、こども・子育てひろば「えみふる」は、広々とした屋内遊び場と同じフロアに、子育て総合支援センター(保育士、臨床心理士、家庭相談員などを配置)、保健センター(保健師、看護師、栄養士、歯科衛生士などを配置)、幼児ことばの教室(言語聴覚士)があり、教育委員会も同じ建物内にある。それぞれの専門職が病院、児童療育施設、学校とも連携する密な関係づくりが行われている。乳幼児から小中学生までサポートできる体制。「えみふる」は、小学生や、乳幼児と一緒の保護者に大人気の遊び場であると同時に、「えみふるに行けばなんとかなる」というセーフティネットの役割がある。

   ◆ 岩見沢市 こども・子育てひろば「えみふる」

さまざまな遊び場の周囲には、子育て支援の場が充実している


愛知県田原市の「親子交流館すくっと」は、おしゃれなレストランやカフェもある田原駅前のララグランの一角にある。ほど良いスケールの遊び場を囲むように、フィンランドのネウボラのような構成となっている。妊娠がわかったときの相談から、親子に親身に寄りそう温かな伴走型の支援が行われている。ラウンジは中高生も集う。外には、夏に水遊び場となる大きな広場があり、コンサートも開かれるなど多世代が集う市民の憩いの場となっている。元館長さんから、「小さなころから親子交流館で遊んでた子どもが高校生になって、無事大学に合格したことを知らせてきて本当に嬉しかった」というお話も聞いた。

  ◆ 田原市 親子交流館「すくっと」

立体的な遊び場を囲むように、出会いの場が設えられている


寝屋川市の「子育てリフレッシュ館・リラット」は、1階に大きなボールプールがあるオシャレな屋内遊び場、2・3階に子育て総合支援拠点や、親子で利用できるキッチンなどもある。子育てコンシェルジュが親子に寄り添い園まで出向いたり、市内の母親サークルを育てたり繋いだり、きめ細かなサポートを行なう。転入者が孤立しないようにするサポートも手厚い。「子育てリフレッシュ館・リラット」というネーミングに表れているが、ホームページには以下の言葉「がある。「さあ!あなたも“子育ての息抜き習慣"はじめてみませんか?」
 
  ◆ 寝屋川市立 子育てリフレッシュ館「リラット」

子育て総合支援拠点リラットの1階にキッズ・スマイル・パークがある


◇ あたたかな“関係づくり”の大切さ


全天候型の遊び場は、楽しいだけの遊び場ではない。ひとり親家庭、父親と子ども、祖父母と孫、仲間どうしでも、気軽に誰でも来やすく、公園でこどもを遊ばせるのと同じような感じで来られるところ。
その楽しさや広やかさを生かしながら、いざという時や、困りごとがあるときに役立つことができる。酷暑、災害、日々の育児の悩みや孤立感の解消など、命を守る役割も果たすことがあるだろう。それには、プレイリーダーのお兄さん・お姉さんとこどもたち、母親と保育士のスタッフなど、気軽に話せる関係づくりや場の雰囲気がとても大切になる。全国のより多くの地域で、そうした全天候型の遊び場が広がってほしいなと思う。


『屋根のある公園 思いきり遊びたい全天候型の遊び場』
著者:田川正毅   出版社:萌文社   刊行:2026年


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