私たちが見ている町の魅力(2026/射水市編)
〜移住者・地域コーディネーターたちが語る、射水(いみず)のリアル〜
富山県射水市。北陸新幹線の開通以来、移住先として注目を集めるこのまちに、個性豊かなメンバーが集まっている。
福岡からユーラシア大陸を放浪した移住コーディネーター、大工の家系に生まれた一級建築士、東京育ちの元商社マンで現・農業コーディネーター。
それぞれ全く違うルートでたどり着いた3人が語る、射水市の魅力とは。

まずは自己紹介から。それぞれどんな経緯で射水に?
池田幸哉さん(遊ぶ広報 地域コーディネーター:移住コーディネーター)

福岡県久留米市出身で、長崎の大学で街づくり・都市政策を学んでいました。もともとは福岡県警の警察官になるつもりだったんですよ(笑)。
でも大学2年の春休みに、ひょんなことから2ヶ月間東南アジアをバックパックで回ったら「海外めちゃくちゃ面白い!」となってしまって。
そのまま2年間休学してユーラシア大陸を一人旅しました。
帰国後は街づくりと関係ない総合機械メーカーに就職して4年ほど働き、転職活動中にサウナで偶然、一般社団法人とやまのめ代表理事・中谷幸葉さんと出会ったんです。
話が盛り上がって、「射水市で移住コーディネーターの募集があるよ」と声をかけてもらったのがきっかけです。
今は射水市の職員として空き家・移住相談窓口のサポートをしています。地域おこし協力隊として3年の任期のうち、ちょうど折り返し地点ですね。
中田匠さん(遊ぶ広報 現地事務局:移住・空き家相談窓口担当)

富山県黒部市出身で、石川県の大学・大学院で建築を学びました。大工の家系に生まれて、祖父も父も大工で。
「お前は大工にはなるな」と言われて育ったので(笑)、じゃあ大工の上に立てばいいと思って一級建築士を目指したんです。
卒業後は富山の設計事務所に7年半勤めて、その頃に中谷さんと出会いました。古民家を一緒に活用しようという話になって、「建築の仕事だと思って図面を持って現場に行ったら、10人くらいいてバーベキューが始まった」というのが最初の記憶で(笑)。
そこからご縁が続いて、射水市から移住・空き家相談窓口の運営を受託することになり、今2年目です。
将来的には自分の設計事務所を立ち上げたいと思っています。
石井湧人さん(遊ぶ広報 地域コーディネーター:農業専門相談窓口担当)

「ワクンド」という名前で、たぶん日本で唯一の名前だと思います(笑)。仏教に由来する名前らしくて、この見た目なのでインドネシア人とかよく間違えられます。(笑)
東京生まれ東京育ちで20年ほど東京にいたんですが、中学で少し人生のレールが外れまして(笑)、埼玉の山奥にある自由な高校に進学したのが人生の転機でした。
大学時代はアメリカ・オレゴン州に留学して、ボランティアでホームレスシェルターの活動に携わったことが「人のサポートをする仕事がしたい」という気持ちのきっかけになりました。
その後、東ティモール支援に関心を持ち、コーヒーが名産という繋がりから商社に就職。
ヨーロッパへの日本食輸出を担当していました。会社でSDGsの事業計画を学ぶ学校に通った縁で富山の社長さんと出会い、「富山で農業の新しいビジネスをやるから来ないか」と誘われて移住を決意。
友人も親戚もいない富山で、やったこともない農業に飛び込みました。
4年間キャベツ農家として働く中で、Twitterで「草しか生えてない家の中を助けてください!」と動画を上げていた中谷さんを見つけて草刈りに行ったのが出会いのきっかけです。
昨年12月から射水市の農業専門相談窓口を担当しています。
ワクンドさん、「とやまのめ」のシェアハウスがきっかけで出会い、この射水に根を張ったんですね。結婚もされているとか?

石井さん: そうなんです。中谷さんに古民家のシェアハウスに住まわせてもらったことがあって、「次の家が見つかるまでのつなぎで住む場所を探している人がいるんだけど」と紹介されて。男子学生でも来るのかと思ったら、年上の女性が来たんですよ(笑)。2人きりで住むことになって、住んでいる間はお互い特にそういう感情はなかったのに、彼女が出ていくとなったタイミングで何かこう……寂しくなって。
中田さん・池田さん: (笑)
石井さん: ここ(とやまのめの古民家)で結婚式を挙げたんですが、式を執り仕切ってくれたのが、僕らの相談役・鈴木さんという方で。サンタクロースになれる体型とシルエットの方なんですが(笑)、その方に神父役をやっていただいて。
射水市に住む人たちの特徴って、どんな印象がありますか?
石井さん: 富山の人全体的にそうだと思うんですが、最初はちょっとシャイなところがある。でも一度うち解けると、とにかく親切に接してくれる。
あと、「富山って何もないよね」って言うと怒るんですよ(笑)。
池田さん・中田さん: そうそう!
石井さん: 自分では「なんもないよ」って言うのに、他の人に言われると怒る(笑)。謙虚さと誇りが共存してるんですよね。それだけ自分の街を好きだということだと思うんですけど。

池田さん: 面白いのが、富山で何かことを起こそうとする時、旗を立てる人間は意外と少ないんです。でも旗が立つと、すごい勢いで人が集まってくる。県外から来た人が中心になってプロジェクトを起こして、富山の人たちがめちゃくちゃサポートしてくれるっていうパターンが多い。
中田さん: 「あれあるよ、これあるよ」ってリソースをどんどん提供してくれるんですよね。逆立ちしてでも(笑)。

池田さん: そうそう。全国の移住フェアって、どこに行っても「美味しいお魚、美味しいお酒、豊かな自然」って感じじゃないですか。でも射水の差別化ポイントは、この"圧倒的なフォロワー力・サポート力"だと思っていて。何かチャレンジしたい人が来た時の応援体制が、本当に厚い。
中田さん: 僕らのとやまのめというチームに関わってくれている人って、建築・農業・金融・イベント企画と、ほんとに専門家が多くて。中谷さんがもともと銀行マンだから事業計画も見てくれるし、私が建築の人間なのでハード面のサポートもできる。チャレンジしたいなら、射水か富山でやるのは本当にいい環境だと思います。

2週間、射水に滞在できるとしたら、どんな過ごし方を勧めますか?
石井さん: 「何もしない」をやってほしいです。このとやまのめ古民家の4000坪で焚き火を眺めながら、ただゆっくりする。都市部で忙しくしている人には、そういう時間の流れを体験してほしい。
中田さん: あとはとにかく魚を食べてほしいですね。東京から来た人は毎回驚くので(笑)。

石井さん: 焚き火はいいですよね。このチームの意思決定って、焚き火の前でされることが多くて。さっき見ていただいた物件を買うことが決まったのも、焚き火の前だったし。人と人が仲良くなるのも焚き火の前。ぜひ一緒に焚き火したいです。
池田さん: 草刈りも意外と好評で(笑)。都会から来た人が4000坪の草むしりをして、めちゃくちゃ疲れた後にご飯を食べたら「最高だった」って言うんですよ。達成感が違うんでしょうね。
中田さん: 海と山が車で20〜30分で行き来できる場所って、実はなかなかないんですよ。2週間あれば射水の全部を体験できます。

最後に、射水への移住を考えている方へメッセージをお願いします。
池田さん: 射水って、正直に言うと「観光で来る場所」ではないんですよ。でも2週間という期間が絶妙で、住む感覚で滞在してはじめて射水の良さが伝わると思っています。観光じゃわからない良さがある。ぜひ「住むように暮らしに来てほしい」というのが一番のメッセージです。

中田さん: 2週間過ごしてくれた方は、帰り際に「帰りたくない」って言うと思うので(笑)。そういう気持ちで来てもらえたら嬉しいです。
石井さん: 僕らみたいな専門家チームが、チャレンジを応援するために待っています。何かやりたいことがある人も、ただゆっくりしたい人も、射水で一緒に焚き火しましょう。
取材を終えて
今回3人の話を聞いて感じたのは、射水市には「偶然」が多いということ。サウナで出会い、Twitterで草刈りに呼ばれ、シェアハウスで運命の人と出会う。でもそれは単なる偶然ではなく、とやまのめという場所と中谷さんという人物を中心に、面白いことをやろうとしている人たちが自然と引き寄せられている結果なのだと思う。

「旗を立てる人は少ないけど、旗が立つと人が集まる」という池田さんの言葉が印象的だった。射水市には、誰かの挑戦を全力で応援しようとする土壌がある。移住者も、地元の人も、専門家も、みんなが同じ方向を向いている。そういうまちは、なかなかない。
広報の仕事を通じてまちと関わりたいと思っている方に、ぜひ一度射水市に来てほしい。焚き火の前で話せば、きっと何かが動き出す気がしている。

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「遊ぶ広報」は、地域と2週間関わりながら実際に広報活動を行うプログラムです。射水市では、とやまのめのメンバーが現地でサポートしてくれます。
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