【46話】ライバーを見下すという健康法 下方比較と自己肯定
はじめに
「歌は上手い下手ではない!魂だ!」なんてキャッチコピーを掲げてはいるものの、ライブ配信をうろついていて、歌が下手なライバーを見て安心する自分がいることに気づく。
我々の心は不思議なもので、時に他者との比較を通じて自分自身を位置づけようとする。特に自分より能力が劣っていると感じる人を見ると、どこか安心感を覚えることがある。これは単なる優越感ではなく、心理学では「下方社会的比較(Downward Social Comparison)」と呼ばれる重要な心理メカニズムだ。今回は、この心理現象について掘り下げながら、この感覚がどのように自己肯定につながるのかを考えてみたい。
下方社会的比較とは

心理学者のレオン・フェスティンガーが1954年に提唱した「社会的比較理論」によれば、人間には自分の能力や意見が世間のどの位置にいるのか知りたい、という基本的欲求がある。数値などの客観的な基準がない場合、他者と何かを比較する事でその欲求を満たす。その中でも「下方社会的比較」は、自分より状況、環境が悪い、あるいは能力が低いと思われる人と比較することで、自己評価を高める心理プロセスだ。人の不幸は蜜の味ってやつだ。
これは単に他者を見下すという否定的な行為ではなく、むしろ自己防衛や自己肯定の重要なメカニズムとして機能していることが研究で明らかになっている。特にストレスや不安を感じているとき、あるいは自信がないときに、この心理メカニズムが活性化することが多い。
俺の歌と他人の歌

YouTubeに歌をアップしていて、「自己満足でやろう」と自分に言い聞かせてはいるものの、心のどこかに承認欲求的なものがあるのだろう。アップした動画にコメントをいただけるとうれしい。
過去の記事でも触れているが、ライブ配信アプリでは凄い人にリスナーが集まるわけではない。かまってくれる人に集まる。したがって、歌が上手くなくてもリスナーは付く。一方、歌が上手いからといって人気ライバーになれるわけではない。
時々、ライブ配信で歌っているライバーの歌を聴くと、明らかに音程もタイミングもずれている人を見かける。コメントでは「上手いですね!」と言いながらも、心の中では「俺の方がマシだな」と思ってしまう。
こんなことを言っていると私の人間性を疑われかねないのだが、心理学的に見ると極めて自然な反応のようだ。特に歌のように客観的な評価基準が曖昧な場合、このような下方比較は我々に一時的な安心感をもたらすのだ。
下方比較の価値

「下方比較」には次のような価値があることが研究で示されている
自己効力感の回復: 自分の能力に自信が持てないとき、他者との比較は「自分もできる」という自己効力感を回復させる助けになる。
モチベーションの維持: 「ここまではできている」という確認が、さらなる努力へのモチベーションに繋がる。
感情調整: 不安やストレスを感じているときに、一時的に感情を安定させる機能がある。
自己成長の気づき: 過去の自分や他者との比較を通じて、自分がどれだけ成長したかを実感できる。
私が歌ライバーたちの歌を聴いて「自分の方がまだ上手い」と感じるとき、それは単に彼らを貶めているのではなく、自分自身の努力の成果を確認し、創作活動を続ける自信を得ているのかもしれない。
健全な下方比較へ

もちろん、下方比較に過度に依存することには注意が必要だ。他者を見下すことだけが自信の源泉になってしまうと、真の成長は妨げられる。健全な下方比較とは、以下のようなバランスを意識したものであるべきだろう。
感謝の気持ち: 「自分にはここまでの能力がある」「全力で歌える健康な体がある」ということへの感謝の気持ちを忘れない。
共感と応援: 未熟さを感じる相手に対しても、成長の可能性を認め、応援する気持ちを持つ。
上方比較とのバランス: 自分より優れた人から学ぶ「上方比較」とのバランスを取る。
自己成長への焦点: 最終的には他者との比較ではなく、「昨日の自分」との比較に焦点を移す。
おわりに
歌ライバーの歌を聴きながら「自分の方が上手い」と密かに思うことは、決してやましいことではない。それは自分の成長を確認し、次のステップへ進むための心理的な足場を作っているのだ。
重要なのは、この感覚に気づいた上で、それを単なる優越感に終わらせず、自己肯定と成長のエネルギーに変換することだ。他者の未熟さに安心するのではなく、自分の進歩に安心感を見出せるようになれば、創作活動はより充実したものになるだろう。
下方比較は、私たちが自分自身を肯定するための一つの手段に過ぎない。最終的には、他者との比較を超えて、自分自身の成長プロセスを純粋に楽しめるようになること、それこそがクリエイターとしての真の自信につながる道なのかもしれない。
歌い続けよう。そして、時に感じる「俺の方がまし」という思いも、成長の過程における自然な感情として受け入れていこう。
次回もライブ配信で学んだことシリーズは続く、、、
【次回以降の内容キーワードのメモ】
・嫉妬に溺れる人気ライバー コメントよりもアイテムが嬉しいと断言
・高学歴・高収入・高身長(3K)のための結婚女性の選び方
・ビックマム(One Piece)に魂を売ったライバーM君
・SNSアルゴリズムによる思想の分断
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・信用スコア、SNSのアルゴリズム。
・アイデアはいくらでもある、、、
・インスタにイケメン加工あげてみた
・『超高音ボーカル』て、、、コイツ「イタイ奴」やなと思われてる?
・著作権ガン無視のライバー達(DJ配信て、原曲流してるだけやん)
