一人で羽を伸ばせる場所
先日、隠岐に行ってきた。隠岐は「隠岐世界ジオパーク」に登録されている。ジオパークという名前の通り、隠岐には地球の成り立ちを知るうえで重要な自然とか文化が遺されている。景勝地として、摩天崖、赤壁、浄土ヶ浦など多数を擁している。
旅行期間中は晴れの日だけとはならず、激しい風雨の日もあった。悪天候のため、当初の予定を変更せざるを得ない部分も少なくなかった。また、当初の予定にそもそも無理のある部分もあり、その結果時間が足りなくなってしまったということもあった。そのため、再訪の機会を窺いたい場所である。
今回は、タイトルにある通り、羽の伸ばせる場所として2つの場所をとり上げたい。そもそも、隠岐は観光客も多くはなく、全体として時間がゆっくりと流れているように感じる。しかし、ここでの紹介する場所は、そのなかでも特に人が少ない場所だった。この世界に人間は私しかいないと思えるほどだった。
一つ目は摩天崖である。摩天崖は、隠岐へ行こうとしたら、誰もが足を延ばすことを考えるであろう観光地だろう。高さ200メートル以上の、日本最大級の断崖絶壁である。摩天崖に行くには、車一台通るのがやっとというくらいの細い道を上っていかなければならない。慎重な運転が求められる。しかし、その先には広大な景色が広がっている。日本海が姿を見せ、そこから吹き付ける強烈な風が襲ってくる。天候によるのかもしれないが、私が行ったときは、観光客は私だけだった。そのため、自由気ままに、好き勝手に散策することが出来た。人がいなさ過ぎて、むしろ怖かったくらいだ。もしここで遭難したり、誤ってどこかに転落したりしても、誰にも気づかれることなく死んでいくのかもしれない…そんな恐怖感があった。
もう一つは赤壁である。こちらも有名な観光地だ。高さ80メートルほどの崖で、近くには柵が設けられていた。ただ、柵は安全を考慮して、崖のかなり手前の方に設置されている。そのため、行きたい人は、柵の向こう側に行くこともできるような仕組みになっていた。ただし、柵から先に進む場合は自己責任である旨、警告文があった。柵から先に進むと、一歩間違えたら崖の下に転落するというところまで進むこともできる。
赤壁に行ったときは快晴だった。そのせいか、摩天崖と違い、赤壁は風も穏やかだったが、観光客は誰一人としていなかった。自分以外の人間の存在が、まったく感じられない場所で、また人工の音も皆無だった。耳に入ってくるのは、風の音、風に吹かれたこすれる草木の音、牛とか虫の鳴き声だけだった。
人目を気にせず、自由気ままにのんびりとできる。絶景を見ながら、気の向くままに時間を過ごせるのは、とても良い体験だった。何かと時間に追われることの多い現代社会において、隠岐はそういった煩わしいものから逃れられる数少ない隠れ家といえるだろう。
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