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アニメ『キングダム』から経営を学ぶ 〜第参話〜

〜信と副長に学ぶ「人を見る仕組み」〜


キングダムから経営を考える。
第3回です。

前回は
「強いリーダーは全部自分でやる必要はない」
という話をしました。

今回はそこから一歩進んで
「リーダーはどうやって一人ひとりを見るのか?」という話です。

● 戦いが終わった後の「信」の行動

キングダムを読んでいて
私が好きな場面があります。

それは
戦いが終わった後の信です。

戦場では、先頭に立って敵と戦う。
仲間を率いて、命を懸けて戦う。

でも戦いが終わると
今度は隊員たちのところへ自ら足を運ぶ。

そして
酒を酌み交わしながら仲間の話を聞く。

戦っているときとは
まったく違う顔です。

これって
現代の会社でいうと
1on1に近いんじゃないか。

私はそう思ってしまいました。

もちろん
信が「よし、今日は1on1だ!」
と思っていたわけではないでしょうけど。

●1on1は「仕事の進捗確認」ではない

最近
多くの会社で1on1が導入されています。

でも
「仕事どう?」
「何か問題ある?」
「じゃあ、次これやっておいて」

これだけなら
ただの業務ミーティングです。

1on1で大切なのは
相手の話を聴くこと。

🌀何に困っているのか。
🌀何を感じているのか。
🌀仕事でうまくいっていることは何か。
🌀やってみたいことは何か。
🌀人間関係で困っていないか。

そして
「あなたのことをちゃんと見ていますよ」
と伝えることです。

戦いが終わった後に隊員のところへ行き
酒を酌み交わしながら話を聞く信の姿は

まさに
「人を知るための1on1」
に見えてきます。

でも信一人では全部を見られない。

ここがさらに面白いところです。

信は隊長です。
当然すべての隊員と話をしたい。

でも人数が増えれば
信だけですべての隊員の話
を聞くことはできません

そこで活躍するのが
副長の渕さんです。

信が見切れないところを
渕さんが周って話を聞く。

隊員たちの様子を見る。
信だけでは拾えない声を拾う。

つまり
人を見る役割を組織の中で分担している。

ここが非常に大事だと思います。


●「1on1の役割分担」

会社でも
「社長が全社員と毎月1on1をやろう!」
と考えることがあります。

社員が10人くらいなら
できるかもしれません。

でも、20人、30人、50人
となったらどうでしょう。

社長一人では無理です。

だから
社長は幹部と話す。
▶︎部長は課長と話す。
▶︎▶︎課長はメンバーと話す。

必要に応じて
人事や相談担当者も話を聞く。

そうやって
組織全体で人を見る。

これが
本当の意味での1on1の仕組み
なのではないでしょうか。

1on1は
「上司が部下を管理する時間」
ではありません。

「組織が、一人ひとりの状態を知るための仕組み」なのです。

●「今どう?」だけではなく、「これからどうしたい?」


ここで
もう一つ大切なことがあります。

1on1は
「今、困っていることはない?」
だけで終わってはいけません。

もう一つ
「これから、どうしたい?」と聞いてみる。

どんな仕事をしてみたいのか。
どんな力を身につけたいのか。
今の仕事を続けたいのか。
新しい仕事に挑戦したいのか。
管理職を目指したいのか。
専門性を高めたいのか。

あるいは
「まだ、よく分からない」でもいい。
それも立派な答えです。

●キャリアは「自分が決めるもの」

社員一人ひとりが
自分のキャリアについて
考えることは大切です。

でも
「会社があなたのキャリアを考えてあげます」
ではありません。

会社が社員の人生を決めることは
できないからです。

大切なのは
本人が自分のキャリアを考えることを
会社が支援すること。

そのために
🌀仕事を経験する機会をつくる。
🌀学ぶ機会をつくる。
🌀上司と話す機会をつくる。
🌀必要な情報を提供する。
🌀挑戦する機会をつくる。

そうやって
「自分はこれからどうしたいのか」
を考えられる環境を整える。

これも人への投資です。

●制度と関係性はセット

会社には
🌀育児休業制度。
🌀介護休業制度。
🌀人事評価制度。
🌀様々な研修制度。
🌀1on1。
🌀各種相談窓口。
🌀キャリア支援。

いろいろな制度があります。

でも
制度があるだけでは人は動きません。

例えば
「何でも相談してください」
という相談窓口があっても

「こんなことを相談したら、面倒な社員だと思われるかな」と思っていれば誰も相談しません。

「育児休業を取れます」と書いてあっても
「忙しい時期に取ったら、みんなに迷惑だと思われそう」と感じれば、取りにくい。

「1on1を実施します」と制度を作っても、
「滅多なことをいうと評価に影響するかもしれない」と思えば、本音は出てきません。

つまり
制度と文化(カルチャー)はセット。

仕組みを整えるだけでは足りない。
その仕組みが安心して使える「関係性」まで
整える必要があります。

●人が辞める決断の日は、退職届を出した日ではない


人が会社を辞める決断をしたタイミングは
退職届を出した日ではありません。

🌀小さな不満。
🌀小さな諦め。
🌀小さな孤独。
🌀小さな「もういいか」。

それが積み重なって
最後に退職という形になる。

だから
退職届が提出された日が
問題なのではありません。

その日は結果であり、契機です。

本当の原因は
その何か月も前から積み重なっています。

だからこそ
「辞める前に話を聞く」ことが大切なのです。

●人を整えることが、組織を強くする

私は
「会社を整えることは、人を整えること。
人が整えば、会社はもっと強くなる。」

という言葉を大切にしています。

会社を整えるというのは
立派な制度を作ることだけではありません。

制度を使えるようにすること。
相談できる関係をつくること。
任せられる仕組みをつくること。
キャリアについて話せる環境をつくること。


そして
「あなたのことを見ていますよ」と伝えること。

それが
人を整えることなのだと思います。

キングダムで私の好きな場面の一つに
黒羊丘の戦いで、尾平が除隊を命じられた後
飛信隊と桓騎軍の違いについて、信に話すシーンがあります。

「桓騎軍と違って、飛信隊は乾いてない。潤ってるんだ!」

まさに
このシーンはそういう場面だと思います。


次回は
ここまでの話を
現代の会社経営に置き換えてみます。

もしキングダムの組織を
今の会社にしたら
一体どんな会社になるのでしょうか?

いよいよ「キングダム経営学」の最終回です。

それではまた。

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