若者はひとりでいることを好み満足度も高くなってきた
近年,多くの国で婚姻率は下がり,離婚率や単身世帯が増え続けていると言われています。かつては「いずれ結婚するまでの一時的な状態」と見なされていた独身が,人生の中で長く続く,あるいは積極的に選ばれる生き方になりつつあります。恋愛や結婚の形も多様化し,別居婚や長期独身など,従来なら例外とされた関係性が社会的に受け入れられるようになってきました。
独身者の満足度
そうであるにもかかわらず,心理学や社会科学では,独身者はいまだに「満足度が低い」「幸福になりにくい」と捉えられることが少なくありません。
独身であることは「好ましくない状態」であり,人生の重要な発達課題を達成していない証拠だと見なされることさえあります。このような見方は,独身者に対するスティグマや偏見を生み,幸福度の低下そのものを引き起こしている可能性もあります。
しかし,独身者の満足度は本当に普遍的に低いのでしょうか。人生の選択や価値観は,個人の性格だけでなく,その人が生きてきた社会的・歴史的な文脈から強く影響されます。結婚や恋愛をめぐる規範が大きく変化してきた現代において,過去の世代と同じ前提で独身者の幸福を語ることには限界があります。
世代と年齢
ひとつの重要なポイントは「世代」と「年齢」にあります。
青年期,若い成人期,成熟した成人期では,独身であることの意味は大きく異なります。また,1970年代生まれと2000年代生まれでは,恋愛や結婚に対する期待そのものが違います。それにもかかわらず,これまでの研究の多くは,世代差と年齢差を十分に切り分けずに独身者の満足度を論じてきました。
性格との関連
また,独身者は一様な集団ではありません。外向性や神経症傾向といった緒パーソナリティ特性,性別,置かれているライフステージによって,独身という経験の意味は大きく変わります。
ところがこれまでの研究では,「独身かどうか」という単純な区分だけで幸福度を比較してきました。これも,先行研究の大きな問題です。
今回紹介する研究は,こうした社会的変化と個人差の両方を踏まえて,「現代の独身者は本当に不幸なのか」という問いについて詳細に検討することを目的としています。こちらの論文を見てみましょう(Today’s Adolescents Are More Satisfied With Being Single: Findings From a German Cohort-Sequential Study Among 14- to 40-Year-Olds)。
ここから先は
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?
