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勝率90%のEAは、こう作ります


知り合いから、こう聞かれました。

「ネットとかYouTubeでこういうの見つけたんだけど、どう思う?」

見せてもらったのは、こういう数字でした。

  • 勝率92.4%

  • 10万円が1ヶ月で100万円

  • 右肩上がりの、きれいな資産曲線

自分もEAを探していた時期に、同じようなものを何度も見ました。最初は「すごいな」と思っていました。

ただ、自分でEAを作るようになってから、わかったことがあります。

あの数字は、作ろうと思えば作れます。

聞かれたときに一通り説明したのですが、口頭では伝えきれなかったので、記事にすることにしました。同じことを疑問に思っている人がいると思うので。

作り方を書きますが、真似してほしいわけではありません。作り方を知っている人は、販売ページを見た瞬間に見抜けるようになるからです。


勝率90%は、こうやって作る

勝率を上げるだけなら、実はとても簡単です。

方法1:損切りをしない

10pips上がったら利確する。下がったら、上がるまで待つ。

これだけで勝率は90%を超えます。相場はいずれ戻ってくるので、待てばほとんどのポジションはプラスになる。

問題は、戻ってこなかった1回です。その1回で、それまでの90回分を全部返します。

方法2:ナンピン・マーチンゲール

含み損が増えたら、ロットを増やして買い足す。平均取得価格が下がるので、少し戻れば全部プラスで決済できる。

これも勝率は90%を超えます。資産曲線は、気味が悪いくらい滑らかな右肩上がりになります。

そして、ある日、証拠金が足りなくなって終わります。

方法3:利確を極端に小さく、損切りを極端に大きく

利確5pips、損切り200pips。

40回勝って1回負けたら、収支はマイナスです。でも勝率は97.6%と表示されます。


「1ヶ月で10倍」は、こう作る

こっちはもっと単純です。複利です。

ロットを口座残高に比例して増やす設定にすると、資産曲線は指数関数になります。バックテストのグラフは、最後の数ヶ月で垂直に立ち上がる。

同じロジックを、ロット固定で回し直すと、まったく別の地味なグラフが出ます。

複利が悪いわけではありません。ただ、「1ヶ月で10倍」はロジックの性能ではなく、ロット計算式の性能だという話です。そしてドローダウンも同じ倍率で拡大します。10倍になる設定は、同じ勢いで口座を消します。


じゃあ、どう見抜くか

作り方が分かれば、見抜き方も分かります。販売ページで見るのは3つだけです。

1. 平均利益と平均損失の比

勝ちトレードの平均が5pips、負けの平均が200pips。この比率が極端なら、勝率の数字に意味はありません。

2. 最大ドローダウン

勝率と一緒にDDが書いてあるか。書いていない、または小さく書いてあるなら理由があります。

3. ロットが固定か複利か

複利のバックテストは、必ず派手に見えます。ロジックの評価にはなりません。


ここからが本題です

ここまでは、知っている人には当たり前の話かもしれません。

本当に知ってほしいのは、もっと手前にある構造の方です。

バックテストには、IS(イン・サンプル)とOOS(アウト・オブ・サンプル) という考え方があります。

検証期間を前半と後半で切って、前半だけを使ってパラメータを決める。そして後半は一切触らずに、決めたパラメータのまま回す。

前半は「答えを見ながら解いた問題」、後半は「初見の問題」です。後半の成績が、そのEAの本当の実力に近い。

やり方は単純で、MT5のストラテジーテスターに「フォワードテスト」という項目が最初からあります。誰でも使えます。

では、なぜ販売ページにこれが載っていないのか。


「載せていない」のではなく「載せられない」

ここが、一番伝えたいところです。

全期間を使って最適化すれば、数字はきれいになります。当然です。答えを見ながら解いているので。

そして期間を分けると、たいていの場合、数字は落ちます。

自分のEAには、後半(OOS)の方が数字が良く出るものもあります。ただ、それを「優秀だから」と説明する気はありません。前半と後半で相場環境が違うだけの可能性が高いからです。期間を変えれば、ドローダウンが30%にも20%にもなる。これは自分のEAで実際に確認しています。

つまり、同じEAでも、期間の選び方だけで印象は変えられるということです。だからこそ、どこで切ったかを明記する必要があります。

つまり、こういうことが起きます。

「勝率90%」「1ヶ月で10倍」という広告を打った瞬間に、その数字を出せるのは全期間最適化したバックテストだけになる。分割したものを出せば、その広告と矛盾する。だから出せない。

隠しているというより、その数字を掲げた時点で、開示できなくなっている

派手な数字と、正直な検証は、両立しません。

そして買う側は、そもそもISとOOSという概念を知らないことが多い。だから、無いことに気づかない。無いことが問題だと思っていない。 ここが一番まずいところです。


だから自分は、買わずに作りました

中身が見えないものが信じられませんでした。

なぜこのパラメータなのか。どういう条件で回したのか。都合の悪い期間は切られていないのか。誰も答えてくれない。

なので、プログラミングを一行も知らない状態から、自分で作ることにしました。

最初は変数の意味も分かりませんでした。MQL5どころか、プログラミング自体が初めてです。

やったことは単純で、AIに聞きながら書くという方法です。作りたい動きを日本語で説明して、コードを出してもらって、コンパイルして、エラーが出たらエラー文をそのまま貼って直してもらう。その繰り返しです。

最初のうちは、動くものができても数字がひどかった。プロフィットファクター0.79、ドローダウン100%近く。何が悪いのかも分からない。

分かってきたのは、変更を一度に一箇所しかしないと決めてからです。二箇所同時に変えると、良くなっても悪くなっても、どちらが効いたのか分からない。当たり前の話ですが、早く結果が欲しいので、つい複数まとめて変えたくなります。それをやめました。

あとは、PFよりDDを先に見るようにしました。利益率が高くても、途中で口座が耐えられなければ意味がないからです。

半年で、バージョンアップを重ねて200本以上のEAを書きました。バックテストは累計2500回を超えています。1本あたり平均6年分の期間で回しています。

そのほとんどは、使い物になりませんでした。ドローダウンが50%近く出たもの、プロフィットファクターが0.79で明確に負けエッジだったもの、AIに方向判断をさせたら全ての買いシグナルを潰してしまったもの。捨てた方が圧倒的に多い。

ただ、そのおかげで一つ確信していることがあります。きれいな数字は、いくらでも作れる。 2500回も回せば、たまたま見栄えの良い結果は必ず出ます。それを選んで載せれば、優秀なEAの販売ページが1枚できあがる。

だから自分は、そういう見せ方をしないと決めました。

そして今、自分が売るものについては、こう決めています。

ソースコードを公開します。

ナンピンもマーチンも損切りなしも、コードを読めば一瞬でわかります。隠しようがない。

IS/OOS分割済みのバックテストを公開します。

分割点も、期間も、スプレッド設定も、ティックモデルも、全部書きます。

同じ条件で、買った人が自分で回せるようにします。

自分の出した数字を信じてくださいとは言いません。疑うなら、自分で回して確かめてください。 再現できる状態で渡します。

そして、派手な数字は書きません。

書かないから、全部出せます。この記事に書いた通りの理由です。

参考までに、実際の数字を出しておきます。

検証条件

  • ブローカー:XM(極み口座)

  • 銘柄:GOLD#(XAUUSD)/ M5

  • 期間:2020.01.01 〜 2026.08.06

  • モデル:全ティック(ヒストリー品質 99%)

  • 遅延:ランダム遅延(スリッページ・リクオートをエミュレート)

  • 証拠金:50,000 JPY / レバレッジ 1:888

  • ロット:0.01 固定(MaxLot=0.01 で上限固定。複利ではありません)

  • フォワードテスト:1/2 分割(分割点 2023.04.19)

  • 最適化:無効


結果

IS(前半・2020.01〜2023.04) OOS(後半・2023.04〜2026.08) プロフィットファクター 1.19 1.32 相対ドローダウン 18.61% 26.98% 取引数 82 434 勝率 52.44% 56.68%

この数字は、派手ではありません。勝率90%でもないし、1ヶ月で10倍にもなりません。

そのかわり、どこで切ったか、どういう条件で回したかを全部書いています。 同じブローカー・同じ設定にすれば、同じ結果が出ます。


ロジックの概要

  • エントリー:ATRバンドブレイク(M5) EMAからATRの倍数だけ離れたバンドを終値で抜けたら仕掛ける

  • スクイーズフィルター ボラティリティが圧縮した直後のブレイクだけを採用する(伸びきった後の「尻尾」を避けるため)

  • 上位足フィルター EMA距離・ADX・ATRの3つで、環境が合わないときは見送る

  • 決済 ATR連動のSL/TP + ブレイクイーブン + トレーリング + プロフィットロック

  • リスク管理 1日の損失上限、連敗停止、スプレッド上限、金曜クローズ

ナンピンもマーチンゲールも入っていません。ロットは加算されません。 これはコードを読めば確認できます。


同梱物

  • GoldSurge_v1_67t.mq5(ソースコード / 全文)

  • GoldSurge_v1_67t.ex5(コンパイル済み)

  • .set(検証に使ったパラメータ一式)

  • 導入手順書


使い方は自由です

そのまま使ってもらっても構いません。中身を変えて使うなら、それでもいい。

パラメータを触るのも、ロジックを差し替えるのも、別の銘柄に移植するのも、教材として読むだけでも自由です。

これは、半年で書いた200本以上のうちの1本です。ほとんどは使い物にならず、捨てました。そのうち、公開できる形になったものを出しています。

どう使うかは、ご自身で決めてください。


ソースを渡すということについて

正直に書いておきます。

ソースコードを渡すというのは、売り手にとっては一方的に不利な取引です。

買った人はロジックを全部読めます。同じものを自分で書き直すこともできるし、改変して別物として配ることも、技術的には止められません。1本売れた時点で、それが最後の1本になる可能性がある。

買う側から見れば、逆です。中身が読めるので、ナンピンが入っていないことを「説明」ではなく「事実」として確認できる。気に入らなければ書き換えられるし、動かなくなっても自分で直せる。判断も修正も、自分の手の中にあります。

この差は、埋まりません。売り手が不利を引き受けないと、買い手は中身を見られない。だから、ほとんどのEAはブラックボックスで売られています。商売としては、そちらが正しい。

自分は、逆にすることにしました。

中身が見えないものを信じられなくて自分で作った人間が、中身の見えないものを売るのは、筋が通らないからです。


改造したいけど、コードが読めないという人へ

自分がやっている方法をそのまま書きます。

  1. .mq5 をテキストエディタで開いて全文コピーし、AI(Claudeなど)に貼る

  2. 「ここをこう変えたい」と日本語で伝えて、変更後のコードを受け取る

  3. MetaEditorに貼ってコンパイルする

  4. エラーが出たら、エラー文をそのまま貼って直してもらう

  5. 変更前とまったく同じ条件でバックテストを回して、結果を並べて比べる

自分もこのやり方で作ってきました。コードが読めなくても、この手順は踏めます。

ただし、AIが返したコードを検証せずに使わないでください。 コンパイルは通るのに、意図と違う動きをすることが普通に起きます。実際、自分もAIに方向判断をさせたつもりが、買いシグナルを全部潰す挙動になっていたことがありました。検証せずに使うなら、中身の見えないEAを買うのと変わりません。

そして、前述のとおり一度に一箇所だけ変えてください。

どの数値を重視するかは、人それぞれ違います。証拠金の厚さも、想定する運用期間も違うので、ドローダウンをどこまで許容するかに正解はありません。自分の条件で比べて、自分で判断してください。


AI連携について(任意機能)

本EAには、Anthropic社のClaude APIを使った補助機能が含まれています。

この機能はバックテストでは動きません。 上に掲載した数字は、AIを一切含まない、機械的なロジックだけの結果です。

使う場合は、ご自身のAPIキーが別途必要です(Anthropicとの直接契約・従量課金)。キーは同梱の設定ファイルに含まれていません。ご自身で入力してください。

この機能を使わなくても、EAは単体で動作します。


購入前の確認事項

  • 他のブローカーでは数値が変わります。 XAUUSDはスプレッドや銘柄仕様が業者間で大きく異なるため、上記の結果はXM極み口座での再現を前提としています

  • 改造は自由ですが、再配布・転売はご遠慮ください。 個人利用および改変の範囲でお願いします

  • 本EAが利益を生むことを保証しません。 過去の検証結果は将来の結果を保証しません


最後に

このEAが勝つとは書きません。

書けないからです。将来の相場は誰にもわからないし、それを断言するものは、この記事の前半で説明したもののどれかです。

自分が渡せるのは、判断材料だけです。ソースと、検証条件と、分割結果と、再現手順。

ソースコードごと渡すので、中身を全部確認できます。ナンピンが入っていないか、マーチンゲールになっていないか、損切りが本当に設定されているか——説明を信じる必要はありません。読んで確かめてください。

必要だと思ったら買ってください。違うと思ったら、買わないでください。それも正しい判断です。

少なくとも、中身を見ないまま数万円を払って、後から後悔する人が一人でも減ってほしい。冒頭の知り合いに聞かれたとき、うまく答えられなかったので、この記事を書きました。


価格:29,800円


※ 本記事は特定の商品や販売者を批判するものではありません。バックテストの一般的な性質について説明したものです。 ※ 投資判断はご自身の責任において行ってください。本EAの使用により生じたいかなる損失についても、販売者は責任を負いません。相場急変、通信障害、API障害等により想定どおりに動作しない場合があります。過去の検証結果は将来の利益を保証しません。


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1,653字 / 4ファイル

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