【毎週ショートショートnote】『夜桜系男子』
親友の小夜が幼馴染の朔のことを「いいよね」と言った時、驚きを隠せなかった。朔とは10年以上一緒にいるというのに、そんな感情が芽生えたことは一度もなかったからだ。
「あんな奴のどこがいいの?」
そう言う私に、小夜は冷静に言い返す。
「灯里は気づかないだろうね。いつも一緒にいるからとかそういうんじゃないんだよ。朔くんは夜桜。あんたははなかがりなの。だから分からないだよ」
物静かで何を考えているかわからなくって、一緒にいても退屈なだけの男の、どこが良いのか私にはさっぱりだった。
帰宅した私は、小夜の言った『はなかがり』が何のことか分からずスマホで調べてみた。そこにはこうあった。
花篝……夜桜の美しさを際立たせるために、桜の木の下で焚かれる炎のこと。
なるほど、小夜らしい喩えだ。
引き立て役と言いたかった訳ではないだろう。私と朔はセットだと言いたいのだ。
朔と私が一緒にいる風景を思い返す。
私は客観的に見る朔の姿を思い浮かべていた。(422文字)
たらはかに(田原にか)様の企画に参加させていただきました。
*特定の誰かと一緒にいるときに輝く人間っていますよね。どちらかの魔法なのでしょうかね。
