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恩株化したテラドローン

ここからどう向き合うか――100株を握り続ける理由と、勢いの賞味期限

「もう、利益は確定した」その先の物語

テラドローン(278A)を恩株化しました。
先日子供の口座で購入した100株を利益確定しまして私の口座では
今のところ残り100株を保有中です。

恩株化とは、保有株を一部売却して元本を回収し、残りの株を実質ゼロコストで持ち続ける手法のことです。私の場合、テラドローンは100株だけを手元に残しました。

ここから先、株価がどう動こうと、私が損をすることはありません。下がってもプラスマイナスゼロ、上がればすべて上乗せ。「負けない」を投資哲学の中心に据える配当SEICOにとって、恩株化はある種の理想形でもあります。

ただ、ここで終わらせるのはもったいない。テラドローンは今、日本の新興市場で最も話題になっている銘柄の一つです。2024年12月の上場来安値1,635円から、2026年5月時点で13,400円台へ――わずか17ヶ月で約8倍という、まさに異次元の上昇相場を演じています。

恩株化した今だからこそ、感情を入れずにこの会社を見つめ直してみたいと思います。

なぜ、ここまで上がったのか


引用:みんかぶサイト https://minkabu.jp/stock/278A



引用:みんかぶサイト https://minkabu.jp/stock/278A


きっかけは1つではありません。2026年に入ってから、好材料が連続で打ち上がりました。

3月:防衛装備品市場への本格参入を発表。米国に防衛専門子会社「Terra Defense」を設立する方針を打ち出しました。

3月末:ウクライナの迎撃ドローン企業アメイジング・ドローンズ社へ戦略的出資。同時に新型迎撃ドローン「Terra A1」を発表しました。


スペック表

4月:「Terra A1」がウクライナ軍部隊で実運用開始。電子戦・通信妨害が常態化する実戦環境で、コンバット・プルーブン(実戦実証)取得のフェーズに入りました。

4月末:固定翼型迎撃ドローンを開発するウィニーラボ社にも出資。短距離(ロケット型)と長距離(固定翼型)の二層構造を整えました。

5月8日:防衛装備庁から初の直接受注。「モジュール型UAV(汎用型)教育用」300式、総額1億1,543万円。納期は2026年9月30日。

この4連発が、株価を押し上げた直接の燃料です。


2026年度タイムライン

産業用ドローン世界1位という、もう一つの顔

ただ、防衛だけがテラドローンの本質ではありません。

同社は、Drone Industry Insightsが発表する『ドローンサービス企業 世界ランキング』で、産業用ドローンサービス企業として2019年以降連続でトップ2にランクイン。2024年は世界1位を獲得しています。

測量、点検、農業、運航管理(UTM)の分野で累計3,000件以上の実績。グループを通じて提供されるUTM(無人航空機管制システム)は、世界10カ国で導入されています。

つまりテラドローンは、いきなり防衛に出てきた新参者ではなく、産業ドローンで地盤を築いたうえで、その量産技術・品質管理・グローバルネットワークを防衛領域へ転用しようとしている会社なのです。

財務の実像――「赤字グロース」の真実

ここからが、私が読者に必ず伝えたい部分です。

2026年1月期(通期)の連結決算は、こうなっています。

  • 売上高:47.82億円(前期比7.8%増)

  • 営業損失:11.43億円

  • 経常損失:12.84億円

  • 親会社株主に帰属する当期純損失:23.27億円

前期(4.7億円の赤字)から、赤字幅は大幅に拡大しました。原因は、海外を含む体制拡大に伴う人件費増、M&A関連費用、そして2025年12月にインドネシア子会社で発生した火災事故の一過性損失です。

そして翌期(2027年1月期)の会社予想は、売上高50.73億円(前期比6%増)に対して最終損益12億円の赤字。サウジアラビアなどでの受注は伸びるものの、先行投資が続くため黒字化はまだ先、という見立てです。

ここを正直にお伝えします。テラドローンは、配当を出していません。PERでの評価もできません(赤字なので)。教科書的な「割安株」「高配当株」のメガネで見れば、買える銘柄ではないのです。

それでもなお株価が8倍になったのは、市場が「将来の利益」に賭けているからです。


テラドローン売上高と最終損益の推移

参入障壁という名の、もう一つの財務指標

財務諸表だけ見ていると見えないものがあります。それが参入障壁です。

テラドローンが新規参入企業にとって追いつきにくい理由を、4つ挙げます。

①防衛装備庁の認証取得スピード 防衛分野は技術評価・品質管理・セキュリティ要件・供給体制のすべてで、防衛装備庁の厳格な要求を満たす必要があります。3月の参入表明からわずか2ヶ月足らずで初受注を獲得したスピードは、業界関係者の間でも驚きをもって受け止められました。これは「産業ドローンで世界1位の品質管理ノウハウ」を持っていたからこそ可能だった芸当です。

②ウクライナ実戦経験ネットワーク 徳重社長は8回ウクライナを訪問し、現地で100社以上と面会して提携先を選定したと公表しています。アメイジング・ドローンズ社、ウィニーラボ社という二社との資本業務提携を握ったのは、後追いの企業には簡単に再現できない関係資産です。

③世界10カ国のUTM導入実績 運航管理システムは、ドローン市場が拡大した後に「インフラ」として効いてくる事業です。Uniflyを含むグループのUTMが世界10カ国で導入済みという事実は、空のインフラのデファクト争いで先行ポジションを取っていることを意味します。

④国策の追い風 防衛省は令和8年度の防衛予算案で、無人アセット防衛能力の整備に過去最大の約2,773億円を計上しました。多層的沿岸防衛体制「SHIELD」の構築に向け、無人システムは防衛の中核に据えられています。海外製ドローンへの依存リスクが叫ばれる中、国産サプライチェーンの確保は国策そのものです。

国産ドローンの代表選手はテラドローンとACSL(6054)の2社体制ですが、ACSLが「機体製造特化」なのに対し、テラドローンは「機体+UTM+グローバル展開」という三本柱を持つ。性格が違うのです。



参入障壁4項目図解

この勢いは、どこまで続くのか

ここから先は、私個人の見立てです。

短期(数ヶ月):過熱感は否めません。信用買残は2026年2月末時点で53万株、発行済株式数の約5.5%が信用で買われている計算で、新興市場として高水準です。2025年12月には、10,740円から2,000円まで急落した過去もあります。需給的に上値は重く、いつ反落してもおかしくない。

中期(1〜2年):防衛事業の追加受注、Terra A1/A2の量産販売、米国Terra Defenseの本格稼働――これらが計画通り進めば、市場の期待は維持されます。逆に、追加発注が滞れば期待が剥落して2,000〜3,000円台への逆戻りもあり得ます。

長期(3年以上):無人機が「重要な防衛・インフラ設備」へと役割を変えつつある潮流は、もう止まりません。テラドローンが世界の防衛ドローン市場で一定のシェアを取れれば、2028年1月期に黒字転換が視野に入るシナリオも描けます。

100株を握り続ける理由

私が恩株化した100株を、なぜ売らずに残すのか。

理由は、配当SEICOがずっと言ってきた「双刃の戦略(デュアル・ブレイド)」にあります。グロース株のキャピタルゲインを、永続的な配当収入に変える――これが本筋です。

ただし、グロース株のすべてを利益確定して配当株に振り替えてしまうと、その後の上昇を取り逃します。だから、元本回収済みの100株だけは「ロマン枠」として残す。これが下がっても私は損をせず、上がれば配当株購入の追加原資が生まれます。

赤字企業に投資するのは、配当SEICOの本流ではありません。でも、すでに元本を回収した100株を握り続けることは、「負けない」という大原則と完璧に整合します。

テラドローンが10倍株になっても、ゼロになっても、私はもう動じません。ただ、この物語の続きを、当事者として最後まで見届けたいと思っています。


現状の図解

※本記事は個人的な見解・記録であり、 特定の銘柄の購入を推奨するものではありません。 投資判断は必ずご自身の責任において、最新の情報をご確認の上で行ってください。 記事内で言及した株価・財務指標等は執筆時点のものであり、 今後変動する可能性があります。 記載された個別銘柄は配当SEICOが過去または現在保有しているものを含みますが、 今後の保有方針を示すものではありません。


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