絵描きの眉が増えた話
神秘の色も置かれた場所では汚れと化す
現在、夏の展覧に向けての泥くさアナログ作品を制作中であります。
今、手掛けているのは、玄関のドアからギリギリ出すことができる、195cm×135cm程の油画と、パズルのようにいろいろな大きさの作品を、会場の空気感によって組み合わせて、一つの作品にするものを、並行して進めています。
遅々として進まぬのは、気分や体調や、物理的な時間の問題もありますが、エイヤッと描いたりコラージュした後の作業が、その大きさにして、ほぼ面相筆を使用するからです。
マチエールに、ガサガサボコボコと、いろいろな異物(ごみ?)が混入しているので、細い面相筆の絵の具はのりにくく、毛先はあっという間にボウズになってしまいます。
ところで先日も、出掛けギリギリまでその作業をしていて、気がつくと出掛ける時間。
急いで額の汗を拭って、マスクをして、日傘をさして下駄をつっかけて、最寄りの駅まで急ぎます。
(余談ですが、夏になると、私の通勤靴は下駄になります。回りからは、変わってるね、って年中言われますが、ふんわりワンピースに下駄って、結構可愛いと個人的に思っていて、以前からのお気に入りスタイルなのです)
何の脈絡もなく、我が通勤下駄

駅に着いて、再び額の汗を拭おうとカゴをのぞくと、先程使っていた絵の具の筆拭きボロ布が……。
「うっ、間違えて持ってきてしまった!」
気を取り直し、タオルで汗をポンポン拭いて、note散歩などしながら、電車内で涼みます。
職場で白衣に着替え、マスクも手作り布マスクから不織布マスクにチェンジします。
その間、そう、一度も鏡を見る事なく、診察室に入って行ったのでした。
主任さんのナースが、
「弘生さん、どうしたの! か、お!」
「へ?」
「鏡、見てきてごらん」
絶句しました。この顔で電車に乗り、この顔で外をふんわりワンピースと下駄で可愛ぶって歩いていたなんて……。
なんと、私のおでこには、眉が一本増えていました。
すごくよく考えて思い出し、カゴの中の丸まったボロ布を広げてみると、そこにはプルシャンブルーとターコイズを混ぜた色の面相筆をスゥッと拭き取った跡が……。
右手に筆、左手にボロ布を握ったままで作業していて、家を出る前に汗を拭ったのは、このボロ布であったことに、そこで気付いたのでした。
絵の中で神秘的に発色する青も、おでこに付いては恥ずべき汚れ。
おでこに三本の眉……。
ドクター曰く、「もう一本増やせばバランスとれるよ〜」
マスク着用が当たり前になった、このご時世だけど、せめて出掛けくらいは、忘れずに鏡をのぞきましょうね、弘生さん。
という、くだらないボケた話でした。
そして、何の脈絡もなく、そのクリニックにかけてある絵を一点紹介します。
「黄色くなりたい」

F0サイズの油画です。
私は観察するのは大好きですが、そのまま描くのは苦手です。
この花に名前はありません。見る方の自由です。
描いた時期、飴玉が溶けてくっついてしまうように、溶けて黄色くなって、いずれは平らになって消えたい気分だったのが、花のような形にあらわれたのかもしれません。
そういえばこの作品も、以前記事にした、陶芸家さんが「いっちゃってるね〜」と言ったものの一つでありました。
この記事です。よかったら見てください。
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狭いキッチンアトリエで、至近距離で高さ2m近くの平面を描くのは、至難の技であります(自負)! でも、残念ながらこのご時世で、観客はあまり望めないのだろうなって思ってはいます。
