【詩】夕焼け
夕焼けは まもなく
夕陽が水田の端を指さすと
アメンボがつぃと返事する
今日最期の光を見送るため
牛蛙が朗々と声を響かせる
どれだけ鮮やかで美しい光景を
決して忘れたくないと思っても
私たちは 生まれながらに持つ
忘却という哀しい病に勝てない
けれど今宵の夕焼けは
覚えていられないなら
何度でも見せるからと
穴の空いたバケツで水
を汲むように空を彩る
見たもの、聞いたこと
あの日の消せない記憶
何もかも忘れていいと
水平に広がるすべてを
ゆるすように滲ませて
天球を七色に染める別れの時
何度でも、初めましてと言う
覚悟を秘めた最期の眩しさを
明日にはきっと忘れてしまう
そして 夕暮れ
光を亡くした空はただ
色褪せて、夜に染まる
アメンボは通り過ぎる
牛蛙は頬を膨らませる
****************
暑中お見舞い申し上げます。毎日暑いですが、夕焼けが美しい季節ですね。
詩誌「凪」第2号に以前載せた詩を、♯シロクマ文芸部 のお題に合わせて一部改稿しました。詩誌「凪」にはまもなく発行の第9号より復帰予定です。
「夕焼け」を掲載いただいていた詩誌はこちら。
詩の表現で、初めて中央寄せを使用してみました。
誌面とwebを比べると、また違う印象になるのが不思議です。
いいなと思ったら応援しよう!
よろしければサポートお願いします。これから作る詩集、詩誌などの活動費に充てさせていただきます。