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タロット・ミステリー劇場「歌う帽子の声が消えた理由」

古本屋の主人ブラックウッドは名探偵

読み聞かせミステリー「歌う帽子の声が消えた理由」


ロンドンの曇った朝の古本屋「Blackwood’s Books」

ロンドンの曇った朝。
古本屋「Blackwood’s Books」に、息を切らした紳士が飛び込んできた。


奇妙なシルクハット

「ブラックウッド先生! た、大変です!」

胸に抱えたのは、奇妙なシルクハット。
それはただの帽子ではなかった。

——歌うのだ。

紳士が言うには、夜会の余興でこの帽子を被ると、美声でアリアを歌いだす。
だが昨晩、突如として声が消え、帽子はただの布切れと化してしまったのだ。

「これは盗難に違いない! 帽子の“声”を奪った犯人を見つけてください!」

古本屋の主人、エライアス・ブラックウッドは静かに頷いた。
「ふむ……では、帽子自身に尋ねてみよう」

タロットが示すもの

「星(The Star)」のタロットカード

机に帽子を置き、エライアスはタロットカードを一枚引いた。
現れたのは 「星(The Star)」

「星は憧れ、そして“導き”を意味する。
つまり、帽子の声は盗まれたのではなく……空を目指したのだ」

「空を……?」紳士は戸惑った。

エライアスは頷き、帽子をそっと撫でながら言った。
「この帽子は歌うたび、夜空を見上げていたのだろう。
いつか自分の歌を星々に届けたいと願っていたに違いない」

奇想天外な結末

その夜。
紳士とエライアスが夜空を見上げると、一筋の流れ星が走った。

その瞬間、かすかに帽子のアリアが風に混じり、空に響いた。

「……まさか、帽子の声が流れ星になったのか」
紳士は息を呑んだ。

エライアスは微笑んだ。
「そうだ。これからは星が流れるたび、耳を澄ませてみるといい。
その歌声は、空に宿り続ける」

◆エピローグ

その日から、街の人々は夜空を見上げるたびに耳を澄ますようになった。
流れ星が走ると、確かにかすかな歌声が風に混じって届くのだ。


流れ星になった歌う帽子

歌う帽子はもう歌わない。
だがその歌声は空に憧れ、やがて星の一部となった。

——そして、古本屋の探偵は今日も静かに本棚を整理している。

読み聞かせたあと、子供たちに「歌う帽子」の絵を書いてもらい。
その絵を見ながらこのミステリー?のその後を親子でお話ししてもらうとうれしいです。

アベク・トワ

歌:「歌う帽子の声が消えた理由」

夜会にひびく 帽子の歌
ひらひら踊る アリアの調べ

だけどある夜 声は消え
ただの布切れに なっていた

タロットめくれば 星のカード
帽子は憧れ 空を見た

流れ星ひとつ 夜を走り
歌は星々に 宿ったの

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