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「“勝てる捕手”とは何か──ロートベットが示す、野球の本質」

MLBの世界では「打てる捕手」が評価される時代になった。
だが、ロサンゼルス・ドジャースのベン・ロートベットを見ていると、私は思う。「本当にチームを勝たせる捕手」とは、打率や本塁打数では測れないのではないか――。

試合中、投手と何度も話し合い、攻撃中でさえ戦略を練る。
打撃成績では測れない「勝てる捕手」の価値を、ドジャースのベン・ロートベットは体現している。
捕手というポジションの本質と、野球という競技の奥深さについて、私なりの視点で考えてみたい。


ベン・ロートベットが示すバッテリー像

地優勝間近の常勝チームに溶け込む姿

ロサンゼルス・ドジャースのベン・ロートベット捕手に注目している。

仕事でMLB中継をテレビで見ることが最近多くなり、久しぶりにドジャースの試合をテレビでゆっくり見た。

試合中のドジャースベンチが映し出されると、これまであまり見かけなかった顔の捕手が投手としきりにコミュニケートをとっている。

それだけなら全ての野球チームで見られる光景で、珍しいことではない。

しかしこのワンシーンが、わたしの心を捉えて離さなくなった。
MLB、ドジャースを今後注意深く見ていきたい、ワンシーンを見ただけでそう思った。

ドジャースは地区優勝を通過点としてワールドチャンピオンを目指す球団だ。いわゆる常勝チームのひとつ。

最もプレッシャーのかかる夏場以降の次期に、世界中で最も注目されている野球チームに加わり、しかもレギュラー格の捕手として即抜擢されるということは、余程チームから評価されているのだと思う。

正捕手ウィル・スミスのケガによる離脱が原因であることは理解しているが、ドジャース投手陣はロートベットを信頼していることが画面を通じて伝わってきた。

とにかくロートベットは投手陣と議論する。
時に投手コーチを交え、タブレットで配球や打者の傾向を確認し、ひとときもベンチで休まる時がない。

わたしは日本で野球観戦したときは、結構ベンチを見たりするのだけど、日本でもここまで味方の攻撃中、ベンチでずっと投手と議論しているという光景をみたことがない(わたしの知る限り)。

攻守交代時に、その回の投球の反省や確認をすることは当然どのチームも行っているが、ロートベットはずっと勝つための模索を投手陣と行っている。

いつ中継を見てもそうなのだ。これには驚いた。

プレー中も、1球ごとに投手を鼓舞するジェスチャーを欠かさない。
投手の気持ちを引き立てられていることが、目に見えてわかる。

勝てる捕手とは

ロートベット加入以降、ドジャースは勝率もよくなり、投手陣も成績も上がったらしい。

現実的に見れば、これまでのウィル・スミスやルーキーのダルトン・ラッシングとは異なる配球パターンであるために、相手チームの各打者に戸惑いがあるという側面もあるだろう。

しかし前述のようなシーンを度々目にすると、わたしはロートベットが「勝てる捕手」である要素を有しているのではないかと思っている。

昔は捕手は「打てなくても仕様がない」とされていた。日本でも捕手の打順は9番(セ・リーグなら8番)が定位置だろう。

たまに古田敦也氏や城島健司氏のような打撃も超一流のスーパー捕手が登場したときが例外となるという感じ。

しかし時代は、ポジション問わず「打てる選手」を評価し、求めている。捕手の起用方針も、より打てる選手を優先的に起用するケースも以前より多くなっていると思う。

でもロートベットを見て、わたしはやっぱり捕手は9番バッターでよいのではないかと思うようになっている。

純粋に打席に立つ暇が無いのだ。投手陣と試合に勝つための議論をこれだけ行っていると、相手投手について研究したり、自分のスイングをチェックする時間はほとんど取れそうにない。

わたしはそれでよいと思う。もちろんドジャースは他に打てる選手が揃っているというのもあるけれども、捕手に2割5分を3割にしろと練習させるよりも、他に打てる選手を育てて(あるいは補強して)捕手はもっと投手陣と試合中に議論してほしい。

データ全盛とはいえ、試合は生き物。
その日の投手の調子や相手バッターの傾向を踏まえ、試合に勝つために議論をしなければならない要素はたくさんあるだろうから。

渡部海(青山学院大)に注目する理由

この「勝てる捕手」という観点から見ると、日本の大学野球にも興味深い存在がいる。青山学院大の渡部海だ。

ロートベットと同じく、彼も“投手の力を最大限に引き出す”という点で抜群の評価を受けている。打撃成績ではなく、チームの勝利という結果がそれを証明しているのだ。

プロではなくまだ学生の選手だが、「勝てる捕手」を既に有している選手だと思う。

名門智辯和歌山高校から青山学院大に入学し、なんと1年春からベンチ入りし、リーグ優勝に貢献している。

青山学院大は渡部入学以降、大学野球界で常勝チームの座を不動のものにした印象がある。

なにより組んだ投手の評判がすこぶる良い。「大学野球」という専門誌を読むと、そうした内容の記事に出くわすことが非常に多い。

ロートベットや渡部のような捕手の魅力を数字で説明するのはとても難しいように思う。打率やOPSのような目に見える評価基準ではない。

やはりチームが勝つこと。これが如実な評価ではなかろうか。

だからこそ、わたしは現地観戦を重視している。
わたしはスカウトではないから、ストップウォッチやスピードガンの結果にはあまり興味がない。
それよりも、選手やチームの試合中の動作や姿勢から、強さや魅力の秘訣を読み取っていくことに面白さを感じるのだ。

捕手の動向こそ、その最たるものだと思う。


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