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幼馴染アイドルの妄想告白を一緒に考えてたら、ガチで告白されました

【賀喜遥香 短編物語】

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日曜日の朝9時。

平日なら会社に行って仕事を始める時間だが、今日は天下の日曜日。

目覚ましを無視して二度寝に入ろうとした瞬間――




ピンポーン。 




今この瞬間、ある意味一番聞きたくない音が、一人暮らしの部屋に鳴り響いた。



嫌な予感しかしない。



無視。



布団をかぶり直したが…




ピンポーン。


ピンポーン。ピンポーン。


ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン



このキ〇ガイなインターホンの押し方…

間違いない



諦めてベッドから身を起こし玄関へ。



ドアを開けた瞬間、案の定そこには満面の笑みの幼馴染、賀喜遥香が立っていた。

遥香「おはよ〜〇〇! 暇でしょ?」


〇〇「決めつけるな。てか朝早い」


遥香「もう9時だよ? 社会人なのにそんな生活してていいの?」

〇〇「アホ、今日は日曜日なんだから会社員は休みなんだよ…」



言いながらも、結局は部屋に上げてしまう自分がいる。



昔からこうだ。遥香にはどうしても強く出られない。




--


〇〇「で、何の用だよ」


ソファに座ると、遥香はテーブルに肘をついて身を乗り出してきた。


距離が近い。


やめろ朝の寝起きには心臓に悪い。


遥香「ちょっと〇〇に手伝ってほしいことがあってさぁ〜」


〇〇「嫌な予感しかしない」


遥香「もうすぐゴールデンウィークでしょ?」


〇〇「んー、そだね」


遥香「でね、『乃木坂工事中』でね、妄想告白シチュエーションって企画やるの!」


〇〇「あー、はいはい人気コーナーね」


遥香「そのテーマが帰省した時に幼馴染に告白するっていうのなんだ」


〇〇「へー」


遥香「だからさ!告白の練習付き合って!」


〇〇「は?」


寝ぼけ眼で聞いていたが、そこまで聞いて思わず反応した。


〇〇「そんなの自分で考えろよ!」

遥香「無理! 告白なんてしたことないもん!」

〇〇「お前、国民的アイドルなんだかからイケるだろ!」

遥香「だからだよ! リアルな恋愛経験ゼロなの知ってるでしょ!」


おい、遥香さんよ

なぜそんなにもドヤ顔で。

胸を張って言うことじゃない。

遥香「映画とか漫画とかで見たことしかないんだよ。幼馴染がテレビで変なこと言ってもいいの?」

〇〇「いやいや、何いうつもりだよ」

遥香「言わないための練習!」

〇〇「いや俺を使うなよ」

遥香「いいじゃん幼馴染なんだから! てか、〇〇にしかこんなの頼めないでしょ!」



その一言で、強く拒否できなくなる自分が情けない。


……好きなんだよな、こいつのこと。


でも言えない。



言ったら最後、この関係は壊れそうな気がしたから。




仕方なく、遥香の頼みを受け入れることにした。



遥香「じゃあいくよ」

遥香はすっと立ち上がり、俺の前に立った。


一歩。

また一歩。

距離が、近い。


〇〇「ちょ、ちょっと離れろって」


遥香「ダメ! リアル感大事だから! 告白するのに離れてるなんて変でしょ!」


そう言って、すぐ目の前に立つ遥香。

少し見上げるように真正面から見つめてくる。



真剣な眼差し



……まずい。



その目、知っている。



完全に“スイッチ入ってる”やつ。



遥香は一度、深く息を吸った。





そして――



遥香「……〇〇のことが、ずっと好きでした」




時間が止まった気がした。



遥香「昔から一番近くにいて、当たり前みたいに隣にいたけど……」



声が、やけに静かで。



遥香「気づいたら、誰よりも大事になってて」



視線を逸らせない。



遥香「……私と、付き合ってください」



心臓が、うるさい。




ドクン、ドクン、ドクン――



〇〇「……」



いや、ちょっと待て。


これ、練習だよな?



企画のやつだよな?



〇〇「……お、おう。よかったよ」


必死にそれっぽい感想をひねり出す。


〇〇「自然だったし、いいんじゃないか?」




すると遥香は――



ぷくっと頬を膨らませた。

遥香「それだけ……?」



〇〇「え?」 



遥香「なんかさ、もっとこう……ないの?」



〇〇「いや、急に言われても……」


無茶言わないでくれ


好きな相手に妄想企画の練習とはいえ告白されたのだ。


むしろ、暴走しないだけ褒めてほしいくらいだ。



というか今の、演技にしてはリアルすぎただろ。





遥香「〇〇ってさ、昔からそうだよね」


〇〇「え、何が…?」


遥香「大事なところで逃げる」



ぐさっと刺さる。



〇〇「…別に逃げてねえよ」


遥香「逃げてるよ」


遥香はじっと俺を見つめたまま、言った。




そして――



小さく息を吐く。



遥香「……今の、演技じゃないから」



〇〇「……は?」



遥香「本当の気持ち」



頭が真っ白になる。



〇〇「いやいや、ちょっと待て。だって今の流れ…… 練習ってーー」



遥香「…練習って言えば、聞いてくれると思ったから」



ずるい笑い方をした。


でも、その目は笑ってなかった。



遥香「ずっと待ってたんだよ?」


〇〇「……え」


遥香「〇〇から言ってくれるの」


〇〇「……遥香」


遥香「でも全然言ってくれないから、もう無理って思って」



一歩、近づく。


さっきよりも、もっと近い。


もう、身体が触れ合うほどに。



遥香「だから、私から言った」



逃げ場がない。


遥香「〇〇」



名前を呼ばれるだけで、こんなに胸が苦しくなるなんて知らなかった。



遥香「私、本気だよ」


〇〇「……」


遥香「〇〇は……?」



思わず言葉を失った。



沈黙が、痛い。



ずっと怖かった。



この関係が壊れるのが。





でも――


ここで何も言わなかったら、多分、一生後悔する。



〇〇「……ずるいな、遥香は」



遥香「え?」



〇〇「そんな言い方されたらさ……」



息を吸う。


覚悟を決める。



〇〇「……俺も、好きに決まってんだろ」



一瞬、遥香の目が大きく見開かれる。



〇〇「ずっと前から」


遥香「……」


〇〇「でも遥香は、遠い存在すぎてさ」


遥香「そんなことない」


即答だった。



遥香「ずっと〇〇の隣にいたよ」



柔らかく笑う。


その笑顔に、もう抗えなかった。



〇〇「……遥香、俺と付き合ってください」



遥香「…うん!」



勢いよく頷いた遥香は、そのまま――



ぎゅっと抱きついてきた。



〇〇「ちょ、ちょっと!」


遥香「やっと、やっとだよ……」


耳元で、小さく呟く。


遥香「長かった……ほんとに」


その声が、少し震えていて。


〇〇「あーもう……」


俺はそっと遥香の背中に手を回した。



〇〇「これ、企画どうすんだよ」


遥香「んー?」


〇〇「妄想じゃなくてガチになったぞ」



遥香はくすっと笑って――



遥香「むしろ大成功じゃない?」



確かに。

こんなリアルな告白、そうそうない。



遥香「じゃあ次は――」


〇〇「まだやるのかよ」


遥香「キスの練習」


〇〇「は!?」


遥香「だって必要でしょ?」


にやっと笑うその顔は、さっきまでの真剣さとは別人で。



〇〇「……お前なあ」



でも、まあ。


悪くない休日だ。



むしろ――人生で一番いい日かもしれない。
















設楽「では続いては賀喜の妄想告白、どうぞ!」



放送当日。

テレビの前に並んで座る俺と遥香。

テーブルにはコンビニで買ってきたポテチとコーラ。完全にいつもの休日スタイル。

乃木坂工事中のリアタイ放送を遥香と並んで部屋で見ていた。




設楽の声で、例のシーンが始まる。



あの日、俺の部屋で聞いた言葉。



テレビの中の遥香「ーーのことが、ずっと好きでした」





遥香「うわああああああ!」

隣で遥香がクッションに顔を埋めた。

〇〇「おい自分で見れないのかよ」

遥香「無理無理無理! 恥ずかしい!」


いや今さらだろ。


スタジオでは――


設楽「いいねこれ!」

日村「リアルだね〜!」

と、設楽と日村が頷いている。


さらにメンバーたちからも

「きゃー!」

「やばい!」

「本気っぽい!」

と歓声が上がる。


〇〇「ほら言われてるぞ、“本気っぽい”って」

遥香「やめて! ほんとにやめて!」


遥香は俺の腕をばしばし叩いてくる。



でも画面の中の遥香は、まっすぐ前を見つめて――



あの時と同じ表情で言う。


テレビの中の遥香「……私と、付き合ってください」



スタジオが一瞬静まってから、また歓声。


設楽がニヤニヤしながら言う。


設楽「これさ、ガチじゃないの?」


日村も乗っかる。


日村「いやこれ経験ないと出ないでしょ!」



遥香「してないです〜!」



画面の中の遥香は、完璧な笑顔でごまかしている。



先ほどの告白の表情も含め

その“プロの顔”に、思わず笑ってしまった。



〇〇「よくあんな顔できるな」


遥香「だってバレたら大変じゃん!」


〇〇「まあな。告白シーンもあの時みたいでドキッとした」



不意に遥香が先ほどまでと違った頬の赤らめ方になる。


遥香は少しだけ声を落として、こっちを見る。


遥香「……だって、〇〇のことを思い浮かべながらやったから」


その表情が可愛すぎて


心臓がはち切れそうなくらいうるさかった。



遥香「ねえ〇〇」

〇〇「ん?」

遥香「もう一回やっていい?」

〇〇「え?」

遥香「今度はちゃんと、返事まで込みで」

いたずらっぽく笑う。

〇〇「いやいやさっきあんなに恥ずかしがってたじゃん」

遥香「いいじゃん、もう吹っ切れたから笑」



俺は全然ヤバいんですけど


遥香「それに、あのときちゃんとした返事もらってない気がするし」

〇〇「いや、しただろ!」

遥香「もっとちゃんと!」


ぐいっと距離を詰めてくる。

……近い。


また、あの時と同じ距離感。



遥香は軽く深呼吸して――


遥香「〇〇のことが、ずっと好きです」


さっきテレビで見たばかりのセリフ。

でも、目の前で聞くと全然違う。


遥香「……私と、付き合ってください」


わざとらしく、でも少しだけ真剣に。


〇〇「……はい、喜んで」


そう返すと、遥香は一瞬きょとんとしてから――


遥香「なんかそれ、それ居酒屋みたい」


吹き出した。


〇〇「いーだろ、別に」

遥香「もっとロマンチックにしてよ! 漫画やアニメみたいに!」

〇〇「注文多いな」

遥香「だって私の彼氏なんだから!」


その言葉に、少しだけ胸がくすぐったくなる。


〇〇「……じゃあ改めて」


俺は少しだけ姿勢を正して、遥香を見る。


〇〇「俺も好きだよ、遥香」


遥香「……///」


〇〇「これからもずっと一緒にいよう」


一瞬の沈黙。


それから遥香は――

満面の笑みで頷いた。


遥香「うん!」

そして当たり前みたいに、肩にもたれかかってくる。


テレビはもう別の番組に切り替わっている。



でも、そんなことどうでもよかった。


〇〇「なあ」

遥香「んー?」

〇〇「このあとどうする?」


少し考えてから、遥香はにやっと笑う。


遥香「キスの練習、続き///」

〇〇「……やっぱり?」

遥香「〇〇だって思ってたでしょ?」


はい

期待してました

すいません…///


だって


遥香のその笑顔は、テレビの中の“アイドル賀喜遥香”じゃなくて。


俺の彼女のものだったから。







おわり
※この物語はフィクションです。
※実在する人物などとは一切関係ございません。

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