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わたしの推し本10冊──人生を変えた本、何度も読み返してきた本──

『「好き」を言語化する技術 推しの素晴らしさを語りたいのに「やばい!」しかでてこない』──三宅香帆/ディスカヴァー携書

せっかく出会えた好きなものや人について語ることは、自分の人生の素晴らしさについて語ることでもある。

p.50

この本を読んでいなければ、このZINEを作成することはなかったと思う。

小学生のころから、休み時間でも外遊びには行かず、教室でずっと本を読んでいる子どもだった。読書はずっと好きで、わたしの人生の傍らには、必ず本があった。文章を書くことも、嫌いではなかった。でも、こんなふうに、自分が読んだ本の感想や考えたことを誰かと共有したいと思って、継続的に文章を書くようになったのは、つい最近のことなのだ。

わたしはもともと高校で英語を教えていたのだが、三年前に体調を崩し、一年半ほど休職したあと、退職を決めた。身も心も疲れ切っていたが、「転職」という言葉も頭に浮かんでいて、「自分のほんとうにやりたいことを見つけなければ」と、ただ日々を家の中で過ごすことに焦りも感じていた。

そんなとき、夫が「noteでもはじめてみたら?」と勧めてくれた。

大学生のときにはじめて書いたエッセイのようなものを、夫に読んでもらったことがあった。わたしが文章を書くことに興味があるのを分かっていて、背中を押してくれたのだ。

それで、エッセイをいくつか書いて投稿してみたのだけれど、一か月で書けることがなくなってしまった。心身の調子も良くなかったので、結局、それから約二年間はほとんど書けなかった。

退職して八か月後、すっかり元気を取り戻したわたしは、今のこの気持ちをエッセイにしようと、再び書いてみることにした。

一度書き始めたら、もっと何か書いてみたくなって、読んだ本の感想もいくつか書いてみた。そうして本について書いていると、「読書ってやっぱりいいな、おもしろいな」と改めて感じ、就職してから減っていた読書量が、爆発的に増えた。

そんな読書量が増え始めたころに読んだのが、この『「好き」を言語化する技術』である。

この本には、いわゆる「推し」をはじめとした、自分の「好き」を言語化する技術がつまっている。たとえば、小説を読んで「良かった」と感じたときに、その小説のどこが、なぜ、どのように良いと思ったのか、「細分化することが言語化すること」であったり、「自分の感想を言語化する前に、SNS等で他の人の感想を見ない」であったり、具体的な技術が豊富で、たいへん勉強になる。

そして、それだけではなく、冒頭で引用したように、自分の「好き」を表現したり発信したりすることの「意義」も思い出させてくれる。

この本を読み終わったとき、自分が「好き」だと思うものを、もっとちゃんと表現して、誰かと共有していきたい、と思った。

それから毎月、その月に読んだ本のすべてについて文章を書き、noteに投稿するようになった。三月には十八冊読んで、約一万六千字書いた。

そして、読書を通じて人とつながることにも、前向きになった。根っからのインドア派でもあり、シャイでもあるわたしが、これまでなら絶対に行かなかったであろう読書会に参加してみたりもした。そこで、「好き」を人と共有する楽しさを実感し、シェア型書店 HONBAKO京都宇治で箱主をすることも決めたのだ。

先日、三年ぶりに、中高時代の親友と食事をした。文章を書いていること、五月から箱主をすることなども話した。

「いいなぁ。自分のやりたいことができてるんやな」

ハッとした。
そう親友に言われるまで、気づいていなかったけれど、わたしは今、ほんとうにやりたいことができているのだ、と。休職中に悶々としていたことに対する答えを、気がついたら手にしていた。それは、「仕事」という形ではなかったけれど、まぎれもなく「やりたいこと」だった。

この本を読んでいなければ、継続的に文章を書くことも、読書を通じて人とつながろうとすることも、そして、「自分のほんとうにやりたいこと」を見つけることも、なかったと思う。
間違いなく、わたしの人生を変えた一冊である。




この記事は、シェア型書店 HONBAKO京都宇治の箱主をしているわたしが、箱に並べている推し本10冊について綴った読書エッセイZINEを、note版として修正したものです。

冒頭の『「好き」を言語化する技術』をはじめとして、人生を変えた本三冊と何度も読み返してきた本七冊について紹介しています。
無料部分と有料部分をあわせて、約二万字あります。

書店では500円で販売しているZINEを、内容はそのままで、300円で読むことができます。

目次とまえがきまで無料公開します。
興味を持っていただけましたら、ご購入のうえ、最後まで読んでくださったらうれしいです。

まえがき

シェア型書店では、「手放してもいい本」を置くのが基本だと思うのですが、わたしはそうしたくありませんでした。人生でずっとそばにあってほしいと思う本、ほんとうに大切で大好きな本こそ、みなさまと共有したいと思ったのです。

だから、わたしの箱「TREASURED BOOKS~ときめきの本棚~」には、その名の通り、わたしがときめきを感じる推し本たちだけを並べています。

わたしの箱を見てくださったみなさまに、そんな大切な本たちの良さを最大限伝える方法として、このZINEを作成することにしました。

Vol.1とした今回のZINEでは、わたしに大きな影響を与えた、人生を変えたと言っても過言ではない三冊と、何度も読み返してきた七冊を紹介しています。

あらすじ等の紹介は最小限にして、好きな言葉や場面とそこで感じたこと、その本を読んで考えたことを、思うままに綴りました。あらすじが気になる本があれば、調べたり、箱に置いてある本を手に取ったりしていただければと思います。

また、重大なネタバレは避けていますが、結末にふれる記述はあります。気になる方は、先に作品を読んでいただき、そのあと、またこのZINEに戻ってきていただけたらうれしいです。

ここで紹介する本について、すでに読んだことがある人には共感や再発見をしていただけたら、そして、まだ読んでいない人には、少しでも「読んでみたい」と思っていただけたら、こんなに幸せなことはありません。

はやしあやか

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